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パオロからの贈り物

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 あっという間に、今年のイタリア行きが2週間後に迫る。
 毎回そうなのだが、あんなに意気込んでいたはずのイタリアなのに、いざ出発前一ヶ月を切ると「ああ、出発があと一ヶ月、先だったらいいのに」と切に思うようになる。
 私はこれを「旅行前シンドローム」と、もうずいぶん前から勝手に名づけているが、いまだに克服できないでいる。
 あれもしなくちゃ、これも持っていかなくちゃ、あれも買いにいかなくちゃ、そうそう行く前にこれを片付けていかなくちゃ…が、子供を連れて行くようになって以来さらに倍増。おまけにこんな時に限って仕事もたてこんだりするものだから首が回らない。
 さらに私の場合、毎回、イタリアの旅をより充実したものにしたい一心で、直前になってデジカメを買い換えてみたり、そしたら今度は前のデジカメ写真の整理をしてみたくなったり、やれ息子の水着は一つでいいのかとか、自分の服も去年とまるで一緒じゃ同じ人に会うときに恥ずかしいから新しいカットソー買っちゃおうかなとか、実は自分で自分どん追い込んでいるふしも否めない。
 イタリア料理旅に対するこの貪欲さと、執拗なまでの用意周到さが、会社の仕事にも発揮していたら、きっと今頃すんごい出世してるに違いないと思うほどだ。

 そんなある日、イタリアから封筒が届いた。
 モデナのパオロからだ。
 私が最初にイタリアに料理修業に行った年、モデナでホームステイしていたシニョーラの長男が、パオロ。耳の遠いシニョーラに代わり、きめ細かい心遣いで不慣れな私をいつも支えてくれた。日本文化に造詣が深く、デザイン会社を経営していることもあって話が合うだけでなく、私の不出来なイタリア語の行間をいつも瞬時に読み取ってくれる、とにもかくにも素晴らしい人格者。
 けず劣らず才媛の妻と、これまたよくできた高校生の長男、中学生の長女に囲まれた幸せな彼の家庭に、今では私たちは毎回欠かさず寄らせてもらっている。
 モデナじゅうの人がバカンスで出払っている夏のまっさかりに私たちが両親を連れてイタリアに行ったときなどは、一人モデナに残り、私たちを食事に連れて行ってくれたりもした。たとえて言うなら、イタリアに住んでる親戚のおじさんみたいな存在だろうか。

 そんなパオロ一家に寄ることを、今回の旅ではどうしてもうまくルート作りができず、いろいろ迷った末に、断念することにした。
 パオロは本当に残念がってくれたが、そんなパオロから、封筒が届いたのだ。ついこの前までメールでやりとりしていたばかりだというのに、いったいなんだろう。

 中には、予想もつかないものが入っていた。
 「リツコが絶対気に入ると思って」とわざわざ送ってくれたそれは、なにやら折りたたまれたパンフレットのようなもの? しかし、その紙を開いて、思わず「うわっ!」と声が出た。
 「野菜カレンダー」とでも言えばいいだろうか。
 先週末、妻とわざわざ行ってきたのだという、トリノにできた話題の食材店のものらしい。
 一年中ある野菜は、その写真が中央の円の中に、その円を囲むように、1月(Gennaio)から12月(Dicembre)まで、その月に出回ってしかるべき野菜の写真が色とりどりに並ぶ。ハウス栽培や輸入物に頼らず、自然の摂理に逆らわず、その季節ごとに、いちばんおいしい旬の野菜を食べることの賢さをアピールしているもの。
 店の名前は「EATALY」。EATとITALIAをひっかけているあたり、お世辞にもオシャレとは言えないネーミングだけど、ネットで調べてみると、同じくピエモンテに本拠地を置くスローフードが監修している食材店とか。やっぱりそうか。
 日本だったら、つい説教臭くなりがちな、もしくはオシャレなデザインに走ってうさんくさくなりがちな自然食啓蒙だけど、イタリア人は本当にこういうところがうまい。

 ああ、そうだったよなー。私は、イタリアの、イタリア人の、こうした食に対するまっすぐなリスペクトや、あるいは誇りから生まれる底力あふれる料理を食べたくて、習いたくて、こうして何年もイタリアに通ってるんだったよなー。
 常識じゃ考えられない長さの有給を消化して、イタリアに行けて、イタリアの田舎を転々とできて、それで料理が習えるだけで本望なはずなのに、余計なスケベ心のせいで、余計な準備に奔走しているにすぎないのだ。

 どー、どー、どー。落ち着け、落ち着け。
 と、なんだかパオロに言われているみたい。
 思いもがけない、パオロから贈り物。今回は会えないけれど、そのかわり、事前に大きなお土産をもらってしまったようだ。
 旅行前シンドロームから、ようやく、抜け出せそうな気がして来た。
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コメント

eri

イタリア行き
もうすぐなのですねー 今回はどちら方面でしょう?

私は7月中旬になりました。
今回はヴェローナでオペラ三昧!(笑)野外劇場でアイーダを観てきます。
宿の都合で3泊なので、ヴェローナに詳しくなるかしら..
その後いつものヴェネツィアです。
私の場合は、やはりテーマは音楽ですね。


ritz

eriさま
行けることになったのですね!いいですね、音楽三昧。
私もいつかは…。憧れます。

今回は、トスカーナ→ボローニャ→ウンブリア→プーリアです。
帰ってきたら、お互いお土産(話)交換しましょうね。

eri

お土産話
美味しそうな日程ですね v-271

>帰ってきたら、お互いお土産(話)交換しましょうね。
はい!是非~
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ritz

広告代理店コピーライター
イタリア家庭料理研究家
HP→http://www.ristorante-ritz.com
著書に「トルテリーニが食べたくて」
日本ソムリエ協会認定ワインアドバイザー
イタリア料理、子育てから、オペラ、日本の旅、秘湯まで。

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