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山荘熱、ふたたび

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 連休の最終日の朝、悔しいくらい晴れている。
 「あー、向こうは、すんげえ気持ちいいんだろうなー」と夫。
 「だから、M平さんのおばちゃまの言うとおり、お山のおうちにお泊りさせてもらえばよかったじゃない」と息子。
 戯れを。自分は、数十キロの渋滞なんて知りもせずにグッスリ、おまけに深夜に帰宅後、一度起こしてパジャマに着替えさせたことすら記憶にないではないか。
 かたや目が充血している夫は、おもちゃや郵便が散乱したテーブルの片隅でトーストをかじりながら、木々の間から朝日の差し込む山荘のテラスで鳥のさえずりを聞きながらコーヒーを飲むオレ…に思いを馳せる。

 「まあ、長野の土地に興味がおありだったの?だったら一度うちの山荘に遊びにいらして!もう40年も経つボロ家なんですけどね」
 数年前に日伊協会で知り合った、イタリア仲間のとっても素敵なおばさま、M平さんからお誘いいただき、連休中に滞在中のところをお邪魔してきた。

 無理して東京の狭い土地に家を建てるより、田舎の広い土地に好きなように家を建てたい。吉村順三の軽井沢の別荘を「理想の家」と崇める夫の、そんな意向もあって、一時期、長野方面で冷やかし半分で物件探しをしていた時期がある。
 しかし、子供が生まれてしばらく遠のくと同時に、冷静になってみると、別荘を持ったところでちょくちょく行けるわけないし、やっぱり憧れと現実は違うのだという、なんとなくそんな結論をここ数年は自分たちに言い聞かせていた。
 でも今回お誘いいただいたとき、なんだかどうしても行かなくちゃいけないような、行くと答えがみつかるような、そんな気がして、二つ返事で伺うことにしたのだ。

 さて、せっかく長野県まで足を伸ばすので、前の日は温泉を一泊くっつけて、二泊目の帰りがけに寄らせていただいた。場所は小諸と軽井沢のちょうど中間くらいといえばいいだろうか。
 しかし、前の日まであんなに晴れ渡っていたというのに、いざ山荘見学という当日は、あいにく小雨まじりの曇り空。そんな中、別荘地の中を、M平さんに案内していただきがてら散歩する。
 「あらー、○○さーん、いらしてたのー!?お元気―?」
 木立の向こうの扉から顔を出したご近所さん、
 「うわー、M平さんのお孫さん、ずいぶん大きくなったわね」
 確かに、どこからどう見ても、私たち、若いバーバに孫、息子と嫁といった光景かもしれない。
 この別荘地、40年以上も前に東京の仲間の数十世帯で「都会の子供たちに田舎を作ろう」という考えのもと、共同購入したものだという。
 時代が変わり、人手にわたった区画もあるけれど、大体が、第二世代へと受け継がれ、家族ぐるみのつきあいも、そのまま受け継がれているようだ。中には地元の人と結婚して永住している世帯もあるらしい。
 だからだろう。別荘地を歩いているという感じがしない。山の中の「村」や「集落」にでもいるような、居心地の良さと安堵感がある。
 軽井沢と違い、湿気も少なく気候もよく、木立だけでなく、すぐ裏手に地元の農家の畑が広がっていたりする、もともとの土地の肥沃さによるところも大きい。
 M平さんがご自分の家を「別荘」ではなく「山荘」とおっしゃる理由がよくわかる。

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 M平さんとともに前を歩く夫が、珍しく自分からいろいろと話しかけている。なにやら質問をしている様子。
 むむむ、山荘熱、再燃か?

 日が暮れて、さあ、そろそろ失礼しようかという時間。なんと、M平さんはすっかりお夕飯の準備までしてくださっていた。
 「ビールも冷えてるのよ。T所さん(夫の名)飲むでしょ?」
 周囲の山で摘んだというタラの芽と地元アスパラの天ぷらが、あまりにもおいしくて、夫のビールも進むこと。
 メインディシュは、豚肉の上に、お米とタマネギ、トマトを載せてオーブンで焼いた珍しいお料理。なんでも、ずいぶん昔に習った「アラブ料理」だとか。これがまた、豚の肉汁で炊き込まれたピラフみたいなお米といい、肉のやわらかさといい、タマネギの甘いことといい、とってもおいしくて、思わずレシピを伺ってしまったほど。
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 「T所さん、白いご飯もあるのよ?お豆腐でお吸い物も作りましょうか?」
 「あ、はい、…えーっと、、、お願いします!」
 夫はとどまるところを知らない様子、かたやお腹がいっぱいになった私は、お手伝いひとつせず、お座敷でゴロゴロ。

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 このテーブルも、どこから見ても、若いバーバと孫と、息子とその嫁。いやいや、これじゃあ、娘と娘ムコ。だよなあ。
 こんなに甘えてしまっていいのだろうか。築40年の小さな山荘だけど、こんなに居心地のいい別荘は初めてお邪魔した。

 「明日特にご予定なければ、このまま泊まっていらしたら?」
 いえいえ、これ以上、居座ってしまったら、あまりの快適さに、このまま根が生えて、大きな木になって、リスの巣穴でも作ってしまいそうです。
 「あら、残念。テラスの朝ごはん、気持ちがいいのに…」
 えっ!?テラスで朝ごはん?す、すてきすぎる。
 うんにゃ、意を決して失礼せねば。
 ということで、夜の9時半に山荘を後にする。

 ううむ、いいなあ。「山荘」。
 夫は、山ぼうしを植えたいという。息子はクワガタを採るという。私は、私は…、カメムシが入ってこない造りにするにはどうしたらいいか、いつの間にか真剣に考えている。
 さて、いい物件に、めぐりあえるだろうか。
 そしてできることなら、M平さんの山荘に、できるだけ近いところがいいなあ。
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コメント

soleil

山荘生活
飛び石連休でも、楽しんでいたのね!本当、M平さんの山荘、いごごちがよさそう!
ぜひ、良い所を、探して!!
お邪魔できるのを、楽しみにしていまーす。

ritz

いつ実現するかわからないけど
実現した絶対に遊びに来て。
やっぱ友達が来てくれないと、寂しい…。
それにしても、ずいぶん夜更ししてたご様子。
大丈夫?
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ritz

広告代理店コピーライター
イタリア家庭料理研究家
HP→http://www.ristorante-ritz.com
著書に「トルテリーニが食べたくて」
日本ソムリエ協会認定ワインアドバイザー
イタリア料理、子育てから、オペラ、日本の旅、秘湯まで。

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Author:ritz
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