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四十路弁当

2008_4_25obentou
 
 いまだに病みあがり感がぬぐえず、いまひとつスッキリしない日が続く。
 私に続いて、次々にダウンした夫と息子はすでに完全に回復しているというのに。
 そもそも、巷でインフルエンザのイの字も聞かなくなって久しい時期に、この自分がウイルスなんぞに侵されてしまったことも含めて、
 ううむ、これが四十路ということなのだろうか。

 だるさが抜けない。6月のイタリア行きでさえ、もう少し先送りしたいと思うほど気分が晴れない。会社に来るとすぐ気が滅入る。打ち合わせが始まると、眠気でいっぱいになる。
 ただの会社イヤイヤ病か。しかし、そんなの今に始まったことじゃないしなあ。
 もしかして、何か心の病?それともプチ更年期?
 栄養ドリンクを飲んでもトイレばかり近くなるだけで、特に効き目なし。早く寝て、たくさん寝ても、まだだるい。
 よし、こうなったら独自療法しかない。

 【独自療法① リコー・GRデジタルⅡを買う】
 10年前、同機のオリジナルであるフィルムカメラ「GR1」を会社の近しい仲間と購入し、プロカメラマンのH氏を囲んで写真勉強会を数か月に一度開催していた時期がある。デジカメの利用頻度が高くなってしまった昨今、あの名機のデジカメ版が出たのならやっぱり欲しい。3年我慢していたら、半年前に「Ⅱ」が出た。30歳でGR1を買ってからちょうど10年、四十路の始まりに新しいGRを購入するというのも悪くないシチュエーション。ええい、買ってしまえっ

【独自療法② かねてから取りたいと思っていたホクロを取る】
 首の後ろだし、大して気にならなかったのだが、ここ数年、髪型をショートにしはじめてから自分でもものすごく気になるように。これを除去すれば少しは気も晴れるかもしれない。ネットで見つけた美容クリニックで、値段はちょっと高めだがレーザー除去。20代そこそこの学生みたいな女医さんに、麻酔を患部に打つときに「この施術の中で唯一痛いのがこの注射ですから。けっこう痛いんですけど、がまんしてくださいね」といわれたものの、チクリとはしても別に痛くもかゆくもなんとも感じない。これも四十路の証なんだろうか…。

【独自療法③ 栄養のつくランチを食べる】
 仕事柄、出先でひとりでランチなんてことはしょっちゅう。でも男性と違って定食屋などに一人では入りづらく結局軽食で済ませてしまうことが多いのだけど、それではいかん。ここはひとつ滋養強壮の食べ物をと、鰻屋に入る。店内は、中高年のおばさまが、しかもひとりでお買い物帰りに寄っているといった風情。隅々まで見回しても、私が一番若い。なるほど、夫子供のいないランチタイムが唯一の「自分へのご褒美タイム」なのだろう。そんな中高年女性の殿堂に私も晴れて仲間入りというわけなのか。


 なあんてことをこの一週間やってみたが、果たして気が晴れたかというと、そうでもない。代わりに、財布の中のお札だけがどんどん消えていった。なあんだ、結局散財しただけか。相変わらず、体調はいまひとつぱっとしない。
 しかし、仕事は自分の体調に甘んじて気合の加減はできても、子供のこととなると加減は許されないのがつらいところ。
 今日は半年に一度の遠足の日。保育園に子供を預ける働くママたちにとっては、情けない話だが、恐怖の早起き弁当作りの日である。

 当然、海苔でポケモンの形を切り抜きをゴハンに乗っけるなんてワザは有り得ない。旗も立ってない。ニンジンが紅葉の形になってたりもしない。
 かわいそうだな、と思うこともあるけれど、保育園っ子は、きっとどのママも一緒なのだろう、他の子たちのお弁当も大差はないらしい。息子本人も多くは望まない。
 お弁当、何がいい?と聞くと、答えは決まって、
 「切干大根と、卵焼きと、あと、なんかお肉がちょっとあって…、それから、おにぎりは小さめにしてね」
 四十路の母を気遣う、四十路のような趣味である。

 6時半にセットした目覚ましがなる前に起き、たらこを焼き、おにぎりを握り、お肉を焼いて、昨日作っておいた切干大根を温め…。意外とテキパキとカラダが動く。いつもは必ず入れるカボチャ煮や肉団子も省略してしまった手抜き弁当だけど、たこウインナーでごまかして、手のひらサイズの小さな弁当箱はぎゅうぎゅう詰めになった。
 さあ、四十路弁当のできあがり。
 いってらっしゃーい。晴れるといいね。
 …あれ?なんだか今日はちょっとカラダが軽いぞ。

 物欲、美容欲、食欲、いろんなことを満たして元気になろうと試みたけど、結局、目の前の子供の用事に背中を押されて初めてカラダが動き出す。
 所詮これが、きっと四十路というものだろう。
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コメント

sicheta_miu

リコーGR1といえば
リコーGR1といえば私も数年前、一眼レフ手前の
高級コンパクトカメラ分野(?)でまさにGR新品とCONTAX T2中古をどちらにするか悩んだ末、結局デジカメの普及幕開けのタイミングと重なり、値崩れしたT2を3万円で買いました。
バブルのころでもT2は高嶺の花で、私にとっては憧れのカメラでしたから。
というわけで世間の動きに取り残されつつも「昭和型ロボ」の私はいまだにデジカメではなく、このフィルムカメラT2をしぶとく使い続けています。
その後、デジカメ競争で敗退した京セラはあっさり撤退してしまいましたが。
確かにデジカメ時代となった今でもGRは選択肢のひとつと思います。今後UPされる写真に注目しつつ、
四十路・・・色々肩にしょい込むモノもふえますが、ま、ぼちぼちといきましょ。

-

T2ですか!
sicheta_miuさま
うちの夫も、会社に入って間もない頃に給料をつぎ込んで買ったT2を
いまだに使い続けてます。
最近ではイタリア人にまで「なんだ?撮ったあとに見れないのか?」なんて言われながらも。
でも、悔しいけど、デジカメにはかなわない何かがありますよね。

いつも、心にしみわたるお言葉、ありがとうございます。
肩に背負い込むもの、背負えるうちが花ですものね、
ボチボチ参ります~。


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ritz

広告代理店コピーライター
イタリア家庭料理研究家
HP→http://www.ristorante-ritz.com
著書に「トルテリーニが食べたくて」
日本ソムリエ協会認定ワインアドバイザー
イタリア料理、子育てから、オペラ、日本の旅、秘湯まで。

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