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うちの花見

08_3_30(1)
 ああ、もう4月か。今年も私の嫌いな季節がやってきた。
 子供の頃から、春ってやつが、どうしても苦手。
 新年度が始まって、新しい環境にがらりと変わる季節。幼稚園から高校まで、なまぬるい一貫校に通っていたくせに、クラス替え、席替えというだけで、とても憂鬱になった。
 不安という気持ちともちょっと違う。新しい環境に、またイチからなじまなければならないという、面倒臭さというべきか。生まれながらのものぐさなのだろう。
 小学生のとき、ある同級生が春をテーマに詩を書いた。
 「新しいノート。あけると、めりめりと音がして、すがすがしい気持ちになる」という内容の詩は、先生に誉められてみんなの前で披露されたのを覚えている。私は、あの、めりめりという音ほど、憂鬱なものはない。

 私が一年で一番好きな冬のピーンと張り詰めた空気が、日に日にゆるみはじめて春の気配を感じる3月頃から気分はいつも下降線だ。
 そんな私の嗜好に合わせるかのように、桜にも、あまりいい思い出がない。
 図らずも妊娠し、まったく予期せぬ事態に不安になり、つわりも始まり、もんもんと過ごしていたのも桜の季節だった。
 1歳になったばかりの息子が、転園したばかりの区立保育園に入園早々、ロタウイルスにかかり、入院して点滴を受けていたときも桜が咲いていたし、昨年水ぼうそうにかかったときも桜が咲いていた。

 だから、桜の開花も、正直あまり興味がないどころか、今年はなにがおこるんだろと心配になってくる。花見もしかり。
 しかし、こんな親では子供のためにならんだろう。
 いざ、「手作りのお弁当を持って、お花見に行く」という、模範的な家族を演じる決意をする。

 さて、どこに行く?
 新宿御苑はこの前行ったばかりだし、代々木公園も混んでるし、家の裏のお寺じゃあんまりだし、上野や千鳥が淵なんてお弁当広げるどころじゃないし…
 結局、桜の名所とは程遠い、浜離宮に繰り出す。ま、桜の木も一本くらいはあるだろう。
 何を隠そう、会社のすぐ目の前にあるこの庭園、しかし意外とゆっくり入ったこともなければ、32階の窓からじっくりと見下ろしたこともない。

 確かに、満開の桜が何本かまとまっている場所もあった。
 でも、圧倒的にきれいだったのは、菜の花畑。目にもまぶしい黄色で一面を埋め尽くす菜の花は、まるで絵に描いたようなお花畑。
08_3_30(2)


 名残の椿や、もくれん、こぶしといった花も、すでに散りかけている姿にすらも、どことなく品があるのは、手入れが行き届いているからか。
 人気を独り占めしている桜より、しっとりと風情に溢れている気がするのは、私がひねくれているからか。
 さらに進むと、まるで深雪の雪山のような、美しいユキヤナギに出会う。圧巻だ。

 椿も、もくれんも、ユキヤナギも、昔は家の庭に当たり前のように咲いていたけど、すっかり目にしなくなって久しい。今の子供たちは、もっとかわいそうだ。
 春の花は、桜だけじゃないんだぞ。
 桜の陰にかくれて目立たないけど、美しい春の花はたくさんある。
 そんなことも、うちの愚息はわかってくれたのだとしたら、来た甲斐もあったというもんだ。

 「ねえ、ママー。公園行くって言ったじゃん」
 「え?何言ってるの?公園来てるじゃない。こうしてたくさんお花見てるじゃない」
 「えー、でもさー、走るところないよー」
 もっぱら、花より団子。もとい、花より運動らしい。だめだ、こりゃ。





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ritz

広告代理店コピーライター
イタリア家庭料理研究家
HP→http://www.ristorante-ritz.com
著書に「トルテリーニが食べたくて」
日本ソムリエ協会認定ワインアドバイザー
イタリア料理、子育てから、オペラ、日本の旅、秘湯まで。

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