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立ち直りパスタ

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 年明けから、会社はのんびりペースで仕事しつつ、イタリア料理&執筆活動に精進しようと思っていたのに、ああ、やはり、サラリーマンはなかなかうまくいかないものだ。しかも、ちょっと腹立たしい一件に巻き込まれる。
 人間、人生の中でとても大事にしている分野において、不条理なことに出くわしたり、突然邪魔が入ったりすると、「えらく腹が立つ」ものだ。
 だから私の場合、大切なイタリアに関することや子育てに関することならともかく、こういっちゃなんだけど出世も地位も求めていない会社の中で、心底腹が立つ出来事に出くわすことはあまりない。
 それなのに、涙が流れるほど悔しい、そして腹が立つというはどういうことか。
 ふと、自分の中で、腹立ちを引き起こすある一定の方程式があることに気づく。
 それは、モラル。
 といったって、他人がどうであれ自分が幸せならそれでよい双子座B型の私であるからして、モラルといっても、普通の人のそれより極めて低い、地を這うようなゆるいモラルである。
 しかしどうやら、ある人間の人として最低限のルールを無視した行動の、自分が犠牲者になったときに、とてつもない腹立ちを覚えるらしいのだ。私は。
 下を利用するだけ利用しておいて、上に進んでいく人間。
 つるむことでしか強く(えらく)なれない人間。
 自分をアピールすることに全力を注いでいる人間。
 そんな最低な人間に、会社員であるからして否応なく関わらなければならず、結果として自分が利用されたり傷つけられたとき、本当に腹が立つ。そして涙が出るものだ。
 別に、地位も名誉もいらない、あたしゃ、ただ気持ちよく仕事がしたい、それだけなのにね。

 いかん、いかん、こんな些細なことで涙を流してるわけには、いかん、いかん。
 私には、会社より何より大切な、イタリア料理があるではないか、息子がいるではないか。
 ならば「イタリア料理+息子」ということで、よし、今夜は息子と二人だけど、奴の好きな蝶々のパスタを作って立ち直ろう。我ながら、なんて安易な発想だろうか。

 しかし、今夜も保育園はぎりぎりのお迎え。買い物して帰る時間もない。頼みの隣の肉屋も閉まってしまった。
 仕方がない。冷蔵庫の中のもので何とかしよう。
 冷凍しておいた自家製トマトソースをまず電子レンジへ。ガス代ではタマネギをたっぷりのオリーブオイルで炒め始める。その間、パスタを茹でるお湯もスタンバイ。で、ファルファッレを…。あっ、ファルファッレが切れている。
 「ごめん、蝶々のパスタなくなっちゃった。違うのでもいい?」
 「えー、いいけどー…。じゃ、ネジネジのは?」
 「あー、フジッリか。それも…今はないんだよ。ペンネじゃだめ?」
 「えー?いっけどさー…」
 と渋々承諾をもらい、沸騰する鍋にペンネを投入。
 さてフライパンのタマネギが透明になったら、適当に切ったベーコンを入れてさらに炒め、つづいて解凍したトマトソースを加えてよく煮詰める。
 この時、息子のための重要な隠し味を私は忘れない。それは、バルサミコ。
 バルサミコを加えて軽く煮詰めることで酸味を通り越し、例えは悪いがケチャップみたいに甘くて濃いトマトソースに変身するのだ。
 さあ、茹で上がったペンネとともに良く和えて、20分で完成!
 題して、「お子様風アマトリチャーナ」。

 息子は席へつくなり
 「えー、これだけー?…」
 と不服そう。そうよね、今日はパスタにしよう!なんて意気込んでおきながら、常備食材だけで作ったパスタなんて、地味よね。しかも一品だけなんて寂しすぎるわよね。
 母は再び、ガックリ肩を落とし、飲みかけの赤ワインのボトルから、ひとりこぽこぽとコップにワインをつぐ。
 「ねえー、これだけー?」
 と再び息子。そう何度も言わないでよ、ママだってわかってるんだからさ…
 「ねえー、これだけー?もっと、よそってよ、パスタ」
 んまあ!そういうことだったのね!息子よ、なんていい奴なんだ。
 「いいよ、いいよ、ママの、半分あげるよ。いっぱい食べてね」
 息子は、もくもくとペンネを食べ始める。
 隣の部屋のテレビからは、彼の大好きな番組「ためしてガッテン」が流れ始めるも、
 「今日は見に行かないよ。耳で聞きながらごはん食べるよ」
 と、椅子から降りたい気持ちもこらえて、一生懸命食べている。
 おお、息子よ、君は母の心を、すべて読んでいるのだろうか。嬉しくて思わず涙ぐむ。
 ただの親バカに成り下がりながら、やっぱり涙は、うれし涙に限るなあ、なんて胸が一杯になったりして。

 胸は一杯になったが、そういえば、私はほんの2~3口しかパスタを食べていなかったことに、夜中の3時に目が覚めたときに気づく。お腹がすいて、朝まで一睡もできなかったのは言うまでもない。

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コメント

bimaまま

人としての最低限のルールを無視した行動・・・う~~んわかります
それってホントに頭にきますよね
私も経験ありますよぉ(なんて言ったら え?いつどこで??と思われてしまうかしら?)

悔しくてたまらない気持ち M君のおかげで立ち直れたようで良かったですぅ
M君サイコ~!!

ritz

bimaまま様
人と接するお仕事ですもの、私などよりいろいろご経験がおありだと思います。

偉そうにいってる私も、実はどこかで誰かの逆鱗に触れているのかもしれないですけどね。笑。

JOYママ

とっても美味しそうなアマチャトリーナですね
バルサミコもさることながら、母の愛情が入ったパスタは
いつか・・・・お子様の懐かしい母の食事となるでしょう

人生、腹立たしい事は周りに溢れてます
私も昔・・・悔し泣きしたなぁ~~
でも、少なくとも自分はそんな人間にならないようにと
プライドを持とうと思いました

突然おじゃまして、勝手な事買いて 失礼致しました

ritz

JOYママ様
何よりのお励ましのお言葉に、
思わずホロリ。これは、うれし涙ですね。
本当に有難うございます。

私も、そんな人間にだけはならないよう、
小さくても確固としたプライドを持って
そして、人とプライドを互いに尊重し合えるような
そんな生き方をしなくてはと誓いました。

eri

こんばんはー

>地位も名誉もいらない、あたしゃ、ただ気持ちよく仕事がしたい
同意しまーす!
>私には、会社より何より大切な、イタリア(私の場合は音楽かな?)
またまた同意!!

私の最近の特技、会社から一歩外に出たら、会社のことはすっかり忘れる。
忘れすぎて、たまに失敗(ごめんなさい..)

人生エンジョイすることが何より大切ですv-20

ritz

eriさま
そう、そうですね。一歩でたら忘れる。鉄則ですね。

eriさんの職場も、女性が少ないとお察ししますが
女性にとっての男女平等って、
別に男性と同じ地位を求めることではないんですよね。
そこんとこ、なんでわかってくれないんだろう。

今度お目にかかったらいろいろお話したいですね。
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ritz

広告代理店コピーライター
イタリア家庭料理研究家
HP→http://www.ristorante-ritz.com
著書に「トルテリーニが食べたくて」
日本ソムリエ協会認定ワインアドバイザー
イタリア料理、子育てから、オペラ、日本の旅、秘湯まで。

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