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メッセージ。

07_12_28massage(1)

 どんなに幼い頃の記憶を辿ってみても、サンタクロースが来るのを信じていた自分が思い出せない。というか、朝起きたら枕元にプレゼントがあったなんて記憶自体、まったくない。
 子煩悩な両親だったと思う。遅くにできた子だったこともあり、玩具だってたくさん買ってもらった方だ。でも、さすがにハイカラな西洋イベントにはついていけなかったのか、クリスマスにサンタがやってくる、なんて演出をしかけてもらったことは一度もなかった。
 そんな親をさらに上回る年齢で子を授かった自分も、サンタクロース神話を敢えて子供に吹き込もうとは思わなかったが、時代変わると、今じゃ「Mくんはサンタさんに何をお願いしたの?」なんて保育園の先生にまで聞かれたりするもんだから、従わないわけにはいかない。
 
 息子は今のところ、まだ存在を信じている。
 今年彼が「指定」したプレゼントは、レゴ。シルバニア・ファミリーと迷ったが、シルバニアだと付属物を牛乳パック工作でごまかされることにうすうす気づき始めたらしい。確かにレゴなら牛乳パックが入り込むスキはない。
 それにしても、カタログに載ってた中でいちばん高額だった「CITY」とかいうこのシリーズ、パーツが細かくて対象年齢6~12歳とかなりハイレベルだが、大きな貨物船と港、そして貨物を運ぶトラックにクレーン…、すべてがセットになっていて大人でも楽しめそうだ。

 25日の朝。目が覚めて、枕もとのプレゼントを発見すると、例年通り、目は半分閉じたままベリベリと激しく紙を破り、いまにも遊び始めようとするも、、、残念ながらこの日は平日。   
 「夜、保育園から帰ってきてからね、ね、ね」となんとかなだめ、夜に持ち越す。
 といいつつ、この日の晩、私は忘年会。息子の迎えは夫に任せ、クリスマスの「ク」の字も忘れてどっぷり宴に浸かり、深夜、家に戻る。
 暗い部屋に入り、電気を点けると、テーブルの上にはレゴの一部と思しきトラックと、
 おや?横になにやら落書きが…ではなく、よく見ると、字だ。酔っ払った頭では解読に手間取ったが、このトラックひとりでつくったんだよ、と書いてある。

 キュートなメッセージに、胸が熱くなる。ああ、息子がプレゼントしてもらったばかりのレゴを開け、そして部品のひとつひとつを手に取り、そして、考えながら一生懸命組み立てていく、そんな姿を見ずして、飲んだくれていたことに、なんともいえない後悔がこみ上げてきたと同時に、息子に根気よくつきあってくれた夫の健気な姿まで想像したりして。
 …ん?しかし、もしかしたら、これも夫のさしがねではないか、ということにすぐに気づく。
 そういえば、先週も、同様の経験をした。深夜に帰宅し、寝静まった廊下をそうっと歩いて風呂場に行くと、風呂場の扉に、息子の字でたどたどしく書かれた、ある張り紙が、ペタリと貼ってあった。
 07_12_28massage(2)

 「おゆすてないで」
 うん、うん、わかったよ、ママお湯すてないわよ、と胸がきゅんとなったのはほんの一瞬で、すぐに、なるほどー、夫はこう来たか、とそのときも思ったものだ。

 洗濯が大嫌いな私と、ご飯が一切作れない夫との間に、おのずと炊事は私、洗濯は夫という分担が確立されて久しいが、洗濯機を回すペースから干し方に至るまで、B型の私には計り知れないこだわりがあるらしいA型の夫。中でも、光熱費を担当する夫にとってエコ家電は長年憧れの商品だったようで、昨年、ようやくお風呂の残り湯を使って洗える洗濯機に買い換えた。
 共働きゆえ、夜のうちに洗濯して干してしまうことが多いのだが、息子と夫が先に風呂に入った後、私がちょっとだけでもテレビなんぞを見ていたものなら
 「ねえ洗濯機回したいんだけど、早く風呂入ってくんない?」
 こっちは色々用事を済ませて、やっとひと段落して一息ついてるっつうのにさ、んもう、なんで節水のために、しかもあなたが早く寝るために、せかされなくちゃいけないわけ!?
 「そんなに早く洗濯したいなら、どーぞ、どーぞ、お湯つかってください。あたしは湯舟が空になってもシャワーでがまんしますから、どーぞ」
 そしたら、なんと本当にさっさと湯を使い、こっちは膝下くらいまでしか残ってない湯に寂しくカラダを屈めて浸かった夜も何度もある。
 翌日が休みの週末であれば、翌朝に洗濯すればいいから入浴を急かされることはないのだが、それでも、こっちはゆったりと湯舟につかっている最中だというのに、突然、ガバッと扉を開けて「明日洗濯するから、お湯、捨てないで」と言いに来る。これがなんとも言えず嫌で、果ては、この「お湯、捨てないで」が耳について離れなくなり、「そんなにいうんなら、あたしが水道代払うわよっ」「金のためじゃない。地球のためだ」なんて口論もしばしば。でも、そのうち夫の方があきらめたのか、最近では「お湯捨てないで」もしばらく聞かずにすんでいたのだった。
 が、しかし、そうか。やっぱり相変わらず捨てて欲しくなかったんだ、お湯。
 「おゆすてないで」の貼紙は、字が書けるようになったばかりの息子を使っての、夫の改めての訴えだったというわけだ。

 見た目には、息子からのキュートなメッセージ、しかしそこに託されたのは、夫から私へのシュールなメッセージとでもいうべきか。
 次の深夜帰宅には、果たしてどんなメッセージが私を待ち受けているんだろう。ちょっと、こわい…。
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ritz

広告代理店コピーライター
イタリア家庭料理研究家
HP→http://www.ristorante-ritz.com
著書に「トルテリーニが食べたくて」
日本ソムリエ協会認定ワインアドバイザー
イタリア料理、子育てから、オペラ、日本の旅、秘湯まで。

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