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イタ馬鹿日誌

昼は会社員、夜は母、週末は自宅で料理教室。ristorante-ritz.comのイタリア馬鹿な日々。

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Buon Natale  &  Viva ACミラン!

07_12_18polloripieno

 あれは2001年の秋、例年通り料理の旅へイタリアに向かう際のこと、
 日本でのコンフェデ・カップを終えてイタリアへ帰る代表選手たちと、運良く同じ飛行機になった。運良くと言ったって、当時まだサッカーなどあまり詳しくなかった私は、どうしても彼らと近づきたかったわけではないが、「悔しかったらビジネスにお乗りなさい」くらいの顔して彼らビジネスシートとこっちのエコノミーの間にスッチーが立ちはだかっていたのが忘れられない。
 エコノミーの殆どの乗客がもどかしい気持ちを募らせていたに違いない。

 さて、マルペンサに着陸し皆が機外へと下りるとビジネスもエコノミーも一緒くたになって出口へ続く長い廊下を歩く。
 一斉に解き放たれた鳥のように、イタリア人の子供たちがどどーっと走っていってサインをおねだりしている。あ、あれはデル・ピエロ。あ、あっちはトッティ。うん、それくらいなら私も知っている。
 アズーリのサインなんて、さぞ自慢できるだろうなあ。しかしさすがにそんな勇気は私にはないわ。
 ふと見ると私の横にも少年たちの人だかりができている。サインをしている彼は誰だか知らないが、とても遠征帰りとは思えないだらーんとしたジャージの上下にスポーツバッグ。部活の帰りみたいないでたち。
 でも、長身に浅黒い甘いマスクで目がきらきらと光っている。こ、こりゃ確かにかっこいいわ。
ひとしきりサインを終えて歩き出した彼の速度と、私の歩く速度がいっしょになった。つまり、まるで連れ合いみたいに歩いているではないか。い、いまが、チャンス…かもっ。
 咄嗟にカバンからノートとペンをとりだし、横を歩く彼に、すっと差し出してみた。すると、ニコリともせず、といって嫌がる様子もなく、ヌボーッとしたまま再びスポーツバッグを足元においてすらすらと名前を書いてくれた。「グラッツエ」というと、小さな声で「プレーゴ」と一言。
やったー、もらえた。でも、彼はいったい、誰?
 現地についてからイタリア人たちにこの話をすると、みな「ブラーヴァ、リッツ!でかしたぞ」。
しかしもらったサインを見せると「誰なんだ!読めないぞ!」と判読不可能。サッカー放映があるたびに
 「こいつか?それともこいつか?」と詰問されるも、あのだら~んとしたジャージの上下にヌボーッとした表情と合致する選手が見つからなくて、ついにわからずじまい。

 判明したのは、その翌年、彼らが日本にやってきた2002年ワールドカップ、
 イタリア対クロアチア戦を観に行って、手元の選手一覧の顔写真で初めて合致した。答えは…ネスタ。
 だら~んジャージの正体は、イタリアのディフェンスを支える強靭な男だった。
 家に帰ってもう一度サインをよく見ると「NESTA」と読める気がしてきた。たった5文字だったのにね。

 そのワールドカップから4年経った昨年のドイツ大会では、イタリアは見事に24年ぶりの優勝を果たしたけれども、残念ながらこれぞという勇姿を見られないままだったネスタ。
 今年に入るとアズーリ引退宣言もしてしまっただけに、ACミランでの活躍がますます頼みになる。
 ここ数週間は、息子にもミランのユニフォームを着せ(ネスタの13番は売っておらず、カカーの背番号でがまん)、今回のクラブカップでの素晴らしい活躍を見せてもらえることを心から楽しみにしていた。

 期待通りの決勝進出。これはもう、テレビにかじりつきの2時間だ、と思っていたのに、はっ、そういえばその晩は…!
 大学時代の友人家族が集まってのクリスマスパーティを我が家で開催することを、すっかり忘れていた。というか、日にちを一日間違えて記憶していた。
 そして、放映日の日曜の昼間、走った先は、新宿ベスト電器。
 で、買ってしまったのだ。「ソニーのブルーレイ」(by 矢沢永吉)ってやつを。

 さて、ここでやっと冒頭の写真に話は戻るけれども、これは、生ハムや豚肉のミンチをお腹に詰め込んで焼くウンブリア料理をアレンジしたローストチキン。ここ数年の、我が家の定番クリスマスチキンだ。
 中まで火が通るのに時間がかかり、焼きあがったのは9時まえくらいだったであろうか。包丁を入刀したちょうどその時、携帯に転送されたイタリア好き仲間のメールで、優勝を知る。
 格別にうまいローストチキンになったことは言うまでもない。
 Buon Natale & VIVA ACミラン!

 翌朝、出勤&登園前にもかかわらず、朝7時から録画した試合を見る。
 おいしいとこだけ、すっとばしながらの観戦だったけど、インザーギが、カカーが、そして、ああ、ディフェンダーのネスタまでもが素晴らしいシュートを決めているではないか。
 ユニフォームを着せてからというもの息子もワケもわからないまま母に洗脳されたらしい。
 「カカー! カカー!よし!いったぞ、いった!決めろ、決めろ!いよっしゃー」
 などと、ルールもわかないくせに叫んでいる。
 親子揃って、大騒ぎ。月曜の朝もはよから、いったいここんちはどうなっているんだと思われているに違いない。やっぱり願わくは、試合はリアルタイムで見るに限る。

 それにしても、マルディーニをはじめ、インザーキ、ネスタ…、自分がやっとイタリアサッカーというものに目覚め始めた当時に活躍していた選手たちが、相変わらずクラブチームを支え続けているところが、イタリアサッカーの強さなんじゃないかと、今回の試合でますます痛感する。
 ころころと選手が世代交代する日本に比べると、イタリアの選手が本当に息が長いのは、単純に身体のつくりの違いだけとはいえない気がする。
 マルディーニなんて父の代から始まって、息子までもがすでにミランのジュニアチームで活躍しているとか。その世界に貢献する責任感というかプロ意識というか。スポーツの世界にまでも、イタリア人の職人気質が脈々と流れているような気がしてならない。自分探しのためにとっととリタイヤしてしまうような国とは、まったくレベルが違うのだろう。
 イタリアって、やっぱりすごい国だ。

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ritz

Author:ritz
イタリア家庭料理研究家
本業は広告代理店コピーライター
1999年以来、毎年有給休暇を使い果たす作戦でイタリアへ料理修行。年に1〜2回のペースで子連れでイタリアの農家やマンマの家々を転々としています。
HP→http://www.ristorante-ritz.com
Facebook"マンマの台所Ristorante Ritz"→https://www.facebook.com/ristoranteritz/

著書に「トルテリーニが食べたくて」
日本ソムリエ協会認定ワインアドバイザー
U.M.A.O.オリーブオイル鑑定士
イタリア料理、子育てから、日本の旅、秘湯まで。

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