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二年連続の七五三

2007.12.5shichigosan(1)

 男の子なのに二度も七五三をやらせるなんて、まったく好きだよね、私も。
 と言いたいところだが、息子本人のたっての希望だった。
 「着物、着たい!桑山又左衛門になる!ママ、剣はどうする?」
 折りしも、本人的には、NHK木曜時代劇ブームとあって、主人公役になりきるべく、やる気まんまんだ。

 先月5歳を迎えたばかりの息子だから、本来なら今年が七五三だが、実は昨年「数え年」でやってしまっていた。
 言いだしっぺは、私の父だった。
 「来年まで元気でいられるかどうかわからんし、今年のうちに数えでやったらどうか。オレが着物を買ってやるから」
 えー、たった一回のために着物を買うなんてもったいないよー、と言いつつ、いろいろ反物を見ていくうちに、こちらもすっかり目が肥えてくる。
 テカテカ光った羊羹色みたいな羽織に、鷹とか兜といった絵が雄雄しく描かれていて…みたいの、着せたくないよなー、うちのカワイイ息子に。とかなんとか、いろいろ欲も出てくるわけだ。
 そんな中、私も母も、一目で気に入ってしまったのが、紫色と小豆色を足したような深い色に、雲とか龍があくまでも上品に描かれているもの。
 「これ、私が着たいくらいだわ。あんた、これにしなさい」
 母の一声で決定する。
 そうして去年の11月末、4歳になったばかりの誕生日の二日後に、七五三を早々と決行。ただでさえクラスで一番小さな息子の、普通より一年早い七五三とあって、着物の「上げ」も相当なもので、メインの絵柄をバランスよく据えるのに、呉服屋さんも相当苦労したと思うほどだった。

 あれから一年、息子の身長は10センチ近く伸び、羽織の上げもなんとかおろせるほどになった。ここらでもう一度着せて置くのもいいだろう。お参りも写真も去年済ませているわけだから、着物だけ着せて、その辺を散歩させればいいだろう。
 「でもさ、着丈がちょうどよくなったところで、一枚だけ、撮っておきたい気もするね~」
 と母が言い出す。そういわれると、確かにそんな気もしてくる。
 婆バカと親バカがひとつになると、それはそれは恐ろしい。

 そして12月2日の日曜日、去年と同じホテルで着付けをしたあと、同じホテル内の写真館へ行き、ほんの一枚だけ撮ることに。
 すると、スタジオの中に、なんと去年撮った息子の、巨大な写真が額装されて飾ってあるではないか。
 写真見本として愚息の写真を使わせて欲しい。とは聞いていたが、よもやこんな立派な状態で飾られているとは想像だにしなかっただけに、思わず感動してしまう。
 「撮っとけ、これ、撮っとけっ」
 と夫が横で、小声でささやくので、思わずパチリ。
 しかし、この写真、千歳飴の下が引きずっている、…のを通り越して二つに折れているではないか。ああ、こんなに小さかったんだな。
 1ポーズだけお願いしたつもりが、サービスでもう2ポーズお撮りします、と言っていただき、結局3ポーズも撮ることに。ズブの素人が、写真館の常連なんてまったく何様だという感じだけど、これも、着物の功名といったところか。馬子にも衣装とは、まさにこのことだ。

 その後、六本木ミッドタウンの庭を散歩してから、車椅子の父に着物姿を見せるべく家に帰る。
2007.12.5shichigosan(2)

 相変わらず、ぴんぴんしている父ではあるが、そういえば今年は大腸ポリープの手術をしたり、大腿骨を骨折したりと災難つづきで、昨年の父本人の「予言」もまんざら外れてもいなかった。オフィシャル版を昨年やっておいたのは正解だったかもしれない。
 しかし、まだまだたっぷりと縫い代の残っている羽織、袴を見るにつけ、来年こそジャストサイズなのではないかと、ふと思う。来年も着せちゃおうかな、来年だったら、父も歩けるようになって、一緒に散歩もできるかも。半ば願掛けのつもりで、私は密かにそう決意する。
 それまで息子が時代劇好きでいてくれるよう、せっせと木曜時代劇を観せようではないか。

 ふと見ると、さすがに窮屈になったか、とっとと脱ぎ始めている息子。そして、パンツ一丁になった瞬間に…、ああ、やっぱりこれだ。
 「でもそんなのカンケーない!そんなのカンケーない!…」
 桑沢又左衛門になったり、小島よしおになったり、そちは、まっこと、いそがしい男じゃのう。
2007.12.5shichigosan(3)



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ritz

広告代理店コピーライター
イタリア家庭料理研究家
HP→http://www.ristorante-ritz.com
著書に「トルテリーニが食べたくて」
日本ソムリエ協会認定ワインアドバイザー
イタリア料理、子育てから、オペラ、日本の旅、秘湯まで。

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