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イタ馬鹿日誌

昼は会社員、夜は母、週末は自宅で料理教室。ristorante-ritz.comのイタリア馬鹿な日々。

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平日のおでかけ

イタリアに子連れで滞在しているときを除けば、考えてみたら、月曜から金曜まで、外が明るいうちに子供と二人で「おでかけ」できる機会が、私にはまずない。
ゆえに、専業主婦のお母さんに聞かれたらあきれられてしまうだろうけど、昼下がりに子供の手を引いて、バスにのったり街を歩いたりすることは、私のちょっとした憧れであり、母としての自分に浸れる貴重な時間だったりする
こんなことはめったにないのだが、今週は、子供の用事で二回も会社を早退。子供と太陽の下を歩ける機会が、二日続けて訪れた。

木曜日。息子が生まれた病院に、4歳児検診に連れて行く。
身長、体重、診察、尿検査と進んで最後は視力検査。
「じゃ、今年はもう4歳になったから、大人と一緒のマークでやろうか」と看護婦さん。
例の、穴のあいた箇所を「上、下、右、左」と指摘するあのマークのことである。
大小いろんな大きさのが、ひとつずつ記されたカードを持ってきて息子の目の前に差し出す。
「やり方わかるかな。じゃ、たとえばこれ。穴があいてるのは、どっち?」
見たこともないマークを見つめ、じっと考えたあと
「…真ん中」
そうか。確かにその通りだ。これには看護婦さんも苦笑い。
「そっか。確かに真ん中に穴開いてるわよね。ごめんごめん…じゃ、やっぱり去年と一緒の動物さんの絵でやろっか」
犬、蝶、魚など絵の、うんと大きなものから小さなものまでが、それぞれ描かれたカードを、数メートルはなれた場所から子供に見せていく。
「じゃ、これは?」「イヌ!」「そうね、じゃ、これは?」「おさかな!」今度は順調だ。
しかし続いて、一回り小さくなった魚の絵を見せられると、いきなりつっかえる。
「これは何かな?」
「…」   え?どうして?わからないのか?
「これは、何かな?」
「…金魚。」
なるほど。魚が小さくなったから金魚か。看護婦さんもウケている。
続いて、豆粒みたいに小さな魚のカードが出てきた。
「じゃ、これは?」
「めだか。」
ううむ、今度はそう来たか。なかなか面白いぞ。
子供ながらの純粋な視線に、わが子ながら感動を覚えずにいられない。

つづいて金曜日。
近所の体操教室に体験入学。自分から習いたいと言い出すくせに、バレエも音楽教室も挫折ばかりしている息子(と私)だが、今度こそという思いで、いざ出陣。
体操教室といっても、最近のこの手の教室はお受験を意識したものがほとんどらしく、半分は知能教育みたいな内容も混ざっている。テレビから出てきた「体操のお兄さん」そのものの若い男の先生だけど、周りに子供たちを座らせて、いろんな質問に答えさせたりする時間もある。こちらも、息子の小さな背中を遠くから見つめながら、思わず耳をそばだてずにいられない。
「好きな動物は何?」とか「じゃあ嫌いな動物は?」など、端から一人ひとりに聞いていく先生。たいていの子供は「ライオン」とか、「サイ。だって角がこわいんだもん」なんて答えている。優等生だ。
しかし最後に回ってきたうちの子供の答えはといえば
「ウサギ」と来た。予想外の答えに先生も思わず
「え?どうして?」と聞き返す。しばらく黙ったあと、息子はえらい小さな声で
「…速すぎて写真に撮れないから」と答えた。
こんな子供らしくない答えで大丈夫なんだろうか。お受験的観点など無縁と思っていたけど、思わず心配になってくる。
続いて、「お母さんを動物にたとえると何?」というちょっと難しい質問。
今度は、たった今嫌いな動物で挙げたばかりの「ウサギ」と答えやがった。
私のどこが速すぎて写真に撮れない動物なわけ!?と不本意に思いつつ…ううむ、そういう時も確かになくはない、とつい反省。ふと、なんだか息子にからかわれているような気がしてきた。
先生の質問はまだ続く。
「じゃ、お母さんを花にたとえたら、どんな花かな?」
これまた母としては非常に気になる質問。
「さくらー」「チューリップ!」「あじさい!」息子の知ってる数少ない花の名前はみんな言われてしまったあとで、息子の番。しばらく黙ったあと、やっと口を開いて
「…バラ」と答えた。
おお!思わず駆け寄って抱きしめたくなった。いいぞ!息子よ!
と今度は先生が間髪いれず、
「素敵な答えだね~。でも、ちょっとトゲがあるけどね」と来た。
おいおい、体操のお兄さん、私の何がわかるというのさ。
先生の突っ込みに、息子はケケケケと笑って応えている。二人ともども、憎たらしい。

こうして、子供と昼下がりを過ごす貴重な機会は、子供の一挙一動に一喜一憂しながら、あっけなく終わってしまった。
昼間一緒に過ごしていない母は、我が子が純粋なのか姑息なのか、まっすぐなのかひねくれてるのか、その本性がいまだに理解できない情けない母である。

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ritz

Author:ritz
イタリア家庭料理研究家
本業は広告代理店コピーライター
1999年以来、毎年有給休暇を使い果たす作戦でイタリアへ料理修行。年に1〜2回のペースで子連れでイタリアの農家やマンマの家々を転々としています。
HP→http://www.ristorante-ritz.com
Facebook"マンマの台所Ristorante Ritz"→https://www.facebook.com/ristoranteritz/

著書に「トルテリーニが食べたくて」
日本ソムリエ協会認定ワインアドバイザー
U.M.A.O.オリーブオイル鑑定士
イタリア料理、子育てから、日本の旅、秘湯まで。

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