2023
Sep
09
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「いつものお家ごはん」にこそヒントがいっぱい。

【8月10日】
「じゃがいもが大量に余ってるからフォカッチャ作ろう」とAntonella。昨夜の「Riso, patate e cozze 」用に用意したじゃがいもを前に、なにやら思いついた様子。
しかしこれ。決して「余り物でアイデア料理」ではなく、じゃがいもの自然発酵を利用するという理に適ったものだった。
小麦粉とセモリナ粉と茹でたじゃがいもを練った生地は、6時間近くじっくり寝かせると、ボールの淵までいっぱいにふくらんで、マグマのようにグツグツ、フツフツ…。生きている!


「マリアはいつもこれを持ってパルマに帰るの。一日経っても二日経っても、“マンマ!まだふかふかよ!”って言ってるわ」
なるほど、焼き上がったのは、フォカッチャというより、もちもちでふかふかの高級パンだ。
イタリアでは全土的に、この手のフォカッチャを「ピッツァ」と呼ぶ地域が多く、人が集まる時などに家庭でよく作るのだけど、この柔らかいフォカッチャは家庭料理のレベルを超えている。
イタリア田舎旅は、車が必須。しかしイタリアのレンタカーはマニュアルがほとんど、おまけに子供を乗せて何かあったらどうしようと、相変わらず自信がなく、母子旅はいつも「車なし」。
それでもこうして「空港まで迎えにいってあげるから問題ない!ぜひいらっしゃい」という彼らの言葉に甘えて、図々しく足を運んでいるわけだが、車がないと夜ご飯も食べに行かれないから、本来はB&Bなのにこうして夜ご飯もご馳走になってしまっている。しかも忙しいハイシーズンに。感謝してもしきれない。
「いいのよ、普段のお家ご飯なんだから」という、この家庭料理の中にこそ、ヒントや発見がいっぱい。
ただのズッキーニが、パプリカが、ナスが、トマトが、ちょっとしたハーブの使い方や、ほんのひと手間、あるパン粉とパルミジャーノの分量の絶妙なバランス、火の丁寧な通し方で、繊細で優しい一皿に変身する。
どんな有名レストランに足を運ぶより、高級レストランの厨房で修行するより、大いに学びがあったりするのだ。



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