スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

年の瀬に今更ふりかえる今年後半のこと⑤神無月の神頼み

2013_12_28kannazuki_1
こうして下半期を振り返ってみると、結局いちばんアグレッシブに過ごしていたのは、落ち込んでいたはずの秋の頃だったかも。
逆境に強いと言えば聞こえはいいが、逆境に直面して初めて、温存していた力を放出するこの性格。これだから神様は次から次へと難題をくださるのかな。

栗ドルチェを食べ歩き、料理をしまくり、たまに何もすることも見つからない日曜も家に籠っていると廃人になりそうで、家族で新宿御苑に繰り出してお弁当を広げてみたり。
はたからみたら秋を満喫してる幸せな人に見えるんだろうけれど、実は私だけでなくMもパッとしないこと続き。藁をもすがりたい気持ちはやっぱり常にある。そんな中、ふと衝動的にある行動を起こしたのも秋真っ只中のことだった。

2013_12_28kannazuki_2
そう、伊勢神宮。
だって、式年遷宮の今年、しかも直後の10月のうちにいくといいらしいってY姐が言うんだもん。伊勢神宮ってのは呼ばれた時が行き時だってお寺の娘のIさんも言うんだもん。

迷える羊と子羊の、二人巡礼旅のつもりが、特に迷いはないけど好奇心旺盛な81歳も急遽参加。「え?明日行くの?私も行きたかったのよ〜。行けるときに行っておかないと。歩けなくなったらもう一生行かれないもの」と。うむ、それもそうかも。「え?パパ?大丈夫よ、T君(私の夫の名)に任せておけば」とこれまた先の東北旅行の時とまったく同じセリフ。
で、今回は父だけでなくNの世話も夫に任せて、Mと母と私という三人で一泊二日の巡礼旅に。
近いようで意外と遠い伊勢。ガイドブック片手に今回もツアコン状態の私。名古屋からの近鉄乗り換えもわかりにくいし、ややこしい。
「あら、新幹線の切符、まだ要るんだったの?あたし、さっきの改札機通したまま取らないで来ちゃったわ」
ああ、子供二人連れて旅するいつものイタリア行きみたいになってきたぞ…。
昨夜ネットで予約した電車より一本早いのに間に合いそうなので窓口で変更。最後の禁煙席になんとか滑り込む。
座席前の足置き台に「すごいね、近鉄って」と小さな子供みたいに感動してるM。そういやN抜きで、Mと二人で遠出なんで何年ぶりだろう。
旅気分を満喫しながら1時間半ほどで伊勢市駅に到着。外宮はここから歩いてすぐ。
予想はしていたけれど、外宮さえもぞろぞろと初詣のような人。「神域に入った瞬間に空気ががらりと変わるのが肌でわかるよ」といろんな人から言われていたのだけど、式年遷宮のご利益にあやかろうとする輩はこんなにたくさんいて、そして自分もそのひとりかと思うと、神気を感じるどころか若干恥ずかしく思えてくる。
2013_12_28kannazuki_3
豊受大御神(とようけおおみかみ)をお祭りしている外宮。その境内の中でもひときときわ大きな人だかりができている場所が正宮。お隣にはついこの前までの「お住まい」だった旧正宮があり、こうして比べて見ることができるのも今の時期だけだろう。たった20年で建て直しちゃうなんてもったいないと思ってたけど、こうしてみると苔むした藁葺き屋根、黒光りした檜の柱は数百年の歳月を経たかのような建物。法隆寺よりも古そうだ。神様がすでにいらっしゃらない“もぬけの殻”のはずなのに、不思議と何かが宿っているかのような気配を感じ、思わずぞぞっと鳥肌が立つ。
2013_12_28kannazuki_4
一方お移りになられたばかりのご新居は、まったく同じ面積、造りであるとは思えないほど、檜の香りに包まれた目にもまぶしい空間。いざ自分の番がくると緊張してしまい、ついお賽銭を入れてしまったほど。
ところで伊勢参りに関してはいろんな決まりごとがあることを、これまたいろんな人がご指南くださっていたのだが、「お賽銭があげないこと」もそのひとつ。外宮、内宮の順でまわることや、鳥居の下をくぐるときは立ち止まって一礼をすることなどは守れたけれど「決してお願いごとをしちゃいけない」に関しても思わず「どうか○○が解決しますように」としっかりお願いしてしまったあとで気がついた…。日本人の総氏神様の前では個人の邪念に満ちた願いごとではなく、世の中の万事さえ願って初めて個々が報われるということなのだろう。しかし内宮と違い外宮の豊受大御神は衣食住の守り神であらせられるので、きっと許してくださるに違いない。

境内の池にかかる「亀石」を渡り別宮へ。石段を上った先にある、多賀宮、つづいて土宮、風宮へもお参り。お恥ずかしい話、今頃知ったのだけど式年遷宮って正宮だけでなく、すべての宮、社様殿から、檜づくりの警備員室まで、ぜ〜んぶ立て直すのね。正宮以外はちょうど工事中、あるいはこれからという感じで、境内のあちこちに漂う檜の香り、宮大工さんが柱を組む音が心地よい。
2013_12_28kannazuki_5
ところで境内の立派な樹々もいわゆるご神木ということなのだろうか。特におばさんたちがひときわ大きな木を見つけてはご利益を期待するようにさすっている。と思ったらウチのあばさんも見事にやっておりました。
2013_12_28kannazuki_6

さて、外宮のお参り終了。ここから5キロ山奥に入った内宮へは、参道の出口からバスが連絡している。大抵の人がそうするようにバスに乗ってこのまま今日のうちに内宮に行ってしまうこともできるのだけど、そういやお昼も食べていない。ていうか、駅前に荷物も預けてしまったからこのまま内宮へは行かれないのだった。
外宮と内宮の参拝が日をまたぐ事になったとしても特に問題はないことはすでに確認済み。で、あっさりと今日の内宮参拝をあきらめることに。参道のビストロで、卵とじココットうどんにバターとだし汁をかけて頂く風変わりな(でもとっても美味しくって一気喰いで写真無し…)うどんを食べて、再び近鉄に乗って今度は鳥羽へ。

たった二日前に伊勢参りを思い立ったのも無謀だけど、三連休とはいえ今日は最終日、平日にかけての一泊であればさすがにホテルも空いてるだろうと鳥羽や志摩あたりのホテルを端から調べたけどどこも満室、ふとガイドブックの片隅に見つけた小さな宿が、たった一部屋空いていた。それが今夜の宿「銀鱗」だ。
電話口に小さな子供がしたから若女将だろうか、とても感じの良い女性が対応してくれて、鳥羽駅から電話すれば駅まで迎えに来てくださるという。
このまま迎えに来て頂いて宿に直行してもいいのだけど、鳥羽といえば有名なのは鳥羽水族館。弟も一緒ならともかく小5で水族館もないかと思ったけど「行きたい!」って言われるとなんだか妙に嬉しくなり、ちょっと寄って行くことに。
2013_12_28kannazuki_7

2013_12_28kannazuki_8
確かジュゴンがいるのは鳥羽水族館だけだっけ。他にもスナメリのような他であまりお目にかかれない海の生き物がたくさん。かと思えばこんなそそられる部屋も。いい年した大人2人+小学校高学年でアシカのショーまで見てしまう。入場料を払うときはあまりの高額に「たかっ」と叫んでしまったけど、いやいや、その価値が十分にある大人でも十分楽しめる水族館だ。

宿に電話してみると水族館まで迎えに来てくださるという。白いバンを運転してやってきたのはおじいさん。妙な落ち着きぶりと余計な愛想のなさぶりからいって先代のご主人かな。牡蠣の養殖場などを左手に見ながら海岸線のカーブを慣れた運転で15分ほど走ると小さな漁港のある岬に到着。ここに小さな料理旅館「銀鱗」がある。
さっそく女将さんと思しき腰の低いお母さんが「お風呂、お湯入れたので皆さんでお入りください」と特別な家族風呂を案内してくれる。
申し込んだときに伝えた、小5の息子+母、祖母という家族構成から察してくれたのだろう。有り難いご配慮だ。
2013_12_28kannazuki_9

2013_12_28kannazuki_10
窓を開けると集落の向こうに海が見える。ポッポッポと漁船のエンジン音が聞こえてなんとものどか。いうなれば気軽な旅館だけど、8室しかないというお部屋も生活感があって居心地がよい。

2013_12_28kannazuki_11
なんといってもびっくりしたのは夕食。ぷりっぷりのお刺身の舟盛りや天ぷらなど、それだけで十分ごちそうなのに、各テーブルに炭がおこしてあり、海の幸、山の幸をここで炭火焼にしていただくのだ。焼き具合も宿の人が各テーブルを回って見てくれるので安心。牡蠣からホタテ、はまぐりの他に、なんといったか名前も覚えられない珍しい貝の数々、そして霜降り松坂牛に、とどめは伊勢エビ。まだ生きて動いている伊勢エビを網の上に載せるとみるみる赤く色が変わっていき…ああ、かわいそうに。
2013_12_28kannazuki_12

2013_12_28kannazuki_13
まるで甘エビでもちゅるっとすするかのような気軽な動作で伊勢エビをすするという、なんたる贅沢。締めはウニの釜飯。これまた美味。普段ウニを食べないMも「これすごいよ!おいしいよ」と大絶賛。
2013_12_28kannazuki_14

えーっと、すっかり忘れてたけど、伊勢参りに来てるんだったよね私たち。外宮と内宮の参拝の間に、温泉に舟盛りに伊勢海老に松坂牛って、ご利益ないかも。罪滅ぼしに勉強するかと手をつけたけど、だめだこりゃ。
2013_12_28kannazuki_15


さて翌朝。
他のお客さんはみんなマイカーだから、好きな時間にお送りしますよ、と、帰りも白いバン貸し切り状態で、昨日のおじいさんが送ってくれる。やっぱり先代のご主人だった。慣れたせいか別人のように今日は饒舌。いまや送迎だけまかされてる悠々自適のご隠居ぐらしってところだろうか。
再び、いや、三たび近鉄に乗り伊勢に戻り五十鈴川駅で下車。内宮への参拝は、外宮のあとにバスで直接行く人がほとんどだからだろうか。内宮にいちばん近い駅であるはずの五十鈴川駅なのに、ひっそりと静まり返っている。外宮のように駅から歩いて行かれる訳ではないので駅前が賑わうこともないのだろう。とりあえずタクシーに乗って内宮へ。
ああ、台風接近の予報通り、ついに雨が降ってきた。
駐車場待ちの長いマイカーの行列、大型バスでごったがえす広場を抜け、大鳥居をくぐって五十鈴川にかかる長い木の橋を渡ると…、不思議なことにまるで現世から切り離された深い山奥に突然足を踏み入れてしまったような不思議な感覚に陥る。外宮よりさらに参拝客は多いのだけど、しとしと小雨降りしきる中、広い広い境内の砂利道を何かに引き寄せられるように進んでく。
2013_12_28kannazuki_16

2013_12_28kannazuki_17
五十鈴川で手を清め、うっそうとした森の中に入っていく。杉林の参道を進み、まずは正宮でお参り。今度こそお賽銭は入れないぞ。でもお願いことは…やっぱりしちゃったかも。
2013_12_28kannazuki_18

天照大神の荒御魂を祀る別宮も、正宮並みの行列。雨の平日なのに初詣みたいだ。新旧ふたつの全く同じ神殿が色違いで並んでいる。稲を祭る高床式の蔵までも式年遷宮。
2013_12_28kannazuki_20

2013_12_28kannazuki_19
途中、縄で囲われた半畳ほどの石の周りに人垣が。パワースポットと巷で話題の発熱する石のことか。外宮でも見かけたのだが、確かに手をかざすと温かい。な、なんで!?現実的で宇宙とか超能力とかまるで信じないMいわく「下で温泉が湧いてんじゃないの?」とのこと。ま、そうかもね…。
外宮でもお札やお守りを頂いたのだけど神様が違うこともあり、内宮でも購入。せっかく来たので、Mの名前でご祈祷もしていただくことに。神楽殿が参拝客でごったがえしていた割には、次の回のご祈祷にぎりぎりセーフ。こうして神社のお座敷にあがるのはお宮参り以来かも。
2013_12_28kannazuki_21

一カ所だけ、人がほとんど足を向けない別宮を発見。川にかかる小さな橋を渡った先にある風日祈宮だけはひっそりとしていて心が洗われるよう。五十鈴川だけは、式年遷宮だろうが人がたくさん来ようが関係ないという感じで、そよそよと流れている。
2013_12_28kannazuki_22

2013_12_28kannazuki_24
内宮の杉の木は、外宮のそれよりさらに巨大。神域の中で生きる木は何かが違うのだろうと思えてきた。水とか光とか、そんなこととはまったく次元の違う何かに生かされてるような気がしてくる。中でもこの風日祈宮のそばにあったこのスギは見事。気がつけば私やMもすっかりベタベタと触りまくっていた。
2013_12_28kannazuki_23

お参りの後はいっそう雨脚が強まる中、鳥居前からつづく商店街、おはらい町へ。牡蠣料理の店に並んで土手鍋にありつく。安いスニーカーを履いて来てしまったMは足の中までぐしょぐしょ。このスニーカーでいいわよ、と言った母が悪かった。すまん。
2013_12_28kannazuki_25

2013_12_28kannazuki_26
伊勢湾台風ってすごいのがあったくらいなんだから、この辺りの台風はすごいんだろうな。着々と台風の目が近づく中、雨にも負けず、お買い物タイム。松阪もめんの店でMはバーバに座布団をおねだり。何もこんな雨の中、ここで座布団買わなくってもと思うけど、藍染めが結構渋くていい感じ。おかげ横丁なる、江戸時代風の建物が並ぶテーマパークのような一角もあり、バーバはここで「赤福しるこ」で一服。冷たい雨もなんのそので歩き回ってしまう。

ひとしきり楽しんで、さあそろそろ帰途につくかと鳥居前のタクシー乗り場まで戻ってみてびっくり。な、なんだこの人の波は!内宮へ向かう橋のたもとから傘、傘、傘の海原。しかもほとんど動かない。
午前中に外宮を回った人たちが内宮に押し掛けてくるとこうなるのだろうか。平日の、しかも雨でこれだもの。昨日、外宮の後にあのまま内宮に来ていたらと思うとゾッとしてしまう。いやあ、つくづく正しい選択であった。

タクシーで再び五十鈴川駅に戻るも、次の名古屋行き特急は満席。「今度の各停でいっちゃえば指定券もいらないし、ここ始発だから絶対座れるしし、その次の特急より早く名古屋に着きますよ」と薦めてもらって各駅でのんびり名古屋へ。
足下からガンガン効いてきた暖房に、雨に濡れて冷えた足も生き返るよう。そしていつしか3人とも熟睡…。
お参りに行っただけなのに、この達成感と疲労感は何だ。行ったことないけど登山旅行の帰りってこんな感じなのかな。

名古屋からの新幹線も混んでいて、空席のある新幹線まで1時間待ち。なんだかんだすごく時間がかかったけど、台風の追っ手から逃げるように、Nの待つ家に無事帰還。ああ、でも参道の和菓子屋さんで買った栗きんとんがこんなことに。
2013_12_28kannazuki_27

2013_12_28kannazuki_28

藁をも掴む思いの神頼みツアー。でも終わってみたらご利益のほどを期待することより、楽しい珍道中だっただけで不思議と十分に満ち足りている。それもこれもひっくるめて、やっぱり天照大神のご加護かな。
スポンサーサイト

コメント

非公開コメント

ritz

広告代理店コピーライター
イタリア家庭料理研究家
HP→http://www.ristorante-ritz.com
著書に「トルテリーニが食べたくて」
日本ソムリエ協会認定ワインアドバイザー
イタリア料理、子育てから、オペラ、日本の旅、秘湯まで。

Profilo

ritz

Author:ritz
広告代理店コピーライター
イタリア家庭料理研究家
HP→http://www.ristorante-ritz.com
著書に「トルテリーニが食べたくて」
日本ソムリエ協会認定ワインアドバイザー
イタリア料理、子育てから、オペラ、日本の旅、秘湯まで。

Calendario

04 | 2018/05 | 06
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -

月別アーカイブ

FC2カウンター

ブロとも申請フォーム

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。