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イタ馬鹿日誌

昼は会社員、夜は母、週末は自宅で料理教室。ristorante-ritz.comのイタリア馬鹿な日々。

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懐かしい人×2

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 懐かしい人と立て続けに再会することができた。

 一人は、私が、まだ入社して間もない頃に、住宅メーカーで宣伝担当をしていたクライアントのKさん。
 当時私は、コピーライターの駆け出しで、社内の厳しいアートディレクターにしごかれまくっていた日々。社内の打ち合わせでは罵倒されてばかりいたけれど、このKさんのところへプレゼンに行くたびに、励まされる気がしたのを今でもよく覚えている。
 年は私より、3つしか違わなかったKさんだけど、どんなときも真摯な姿勢で、そしてこんな私をひとりのコピーライターとして扱ってくれるだけでなく、時には弊社のこわいアートディレクターから私をかばってくれさえする、なんだかお兄さんのような存在だった。

 このクライアントには、実は、お姉さんのような存在のTさんという方もいて、Tさんとは私が担当をはずれてからも、ずっと交流が続いている。というのも、何を隠そう、私をイタリア馬鹿に巻き込んだ張本人で、年季の入ったイタリア通、そして、私が初の料理修行から帰国してから始めた料理教室に、もう8年も通ってくださっているオリジナルメンバー。
 そのTさんも、Kさんが営業に出て別部署になってからはKさんとは疎遠になっていたらしいけれど、Kさんが最近、内勤に戻っていらしたということで「今度、料理教室に連れて行きますよ!」なんて話が進んでいた。

 そして、先週の金曜日、ついに実現の日を迎えたのだ。
 十数年ぶりに会ったKさんは、変わっていないどころか、以前より今どきの人になっているみたい。そういえば、当時も20代後半で早くも2人の子持ちだったけど、そのときの上のお嬢さんは高校生とか!?お嬢さんと歩いていたら、ちょっと年の離れたカップルにしか見えないくらいだ。
 それにしてもKさんって、こんなにしゃべる人だったっけ?こんなに冗談ばっかり言ってる人だっけ?考えてみたら、会議室でしか話したことなかったし、お酒の席をご一緒したこともなかったかも。
 Kさんの方は、めっきりオバサンと化した私を見てどう思っただろう。久々の再会にちょっと緊張して作った料理だったけど、口に合っただろうか。
ホンネはわからないけれど、
誰かが「あ、そろそろ終電だ」と気づくまで、ずっと長居してくださったことが、私にはたまらなく嬉しかった。
 

 そして、立て続けに再会を果たしたもう一人とは、幼馴染じみで同じ年のHちゃん。
 生まれた時から、うちの前に住んでいたHちゃんには、これまた私の姉と同じ年のお姉ちゃんがいて、姉妹同志でよく遊んだ。電車で遠くの学校に通っていた私が近所の子からいじめられたりすると、この姉妹がいじめっこをやっつけてくれた。
 おばあちゃんが染物屋さんをしていて、お母さんは働きに出ていたと思う。女だけの家庭だったけど、両親そろったうちなんかより、ずっと強い絆と思いやりで結ばれた家族は、幼かった私から見ても、いつも羨ましかったくらいだ。
 でも、家主の蕎麦屋が、マンションに建て代えるに際し、おばあちゃんも店を閉め、みんなで引越していってからは、ほとんど連絡をとりあっていなかった。
 Hちゃんはその後、世界的なウインドサーファーと結婚し、グアムに住んで、子供4人を育てながら幸せそうに暮らしているという話を、品川に居を構えたお姉ちゃんからの手紙などから伝え聞いてはいた。
 子供の頃から、天然の明るさと、典型的な次女体質の甘えん坊のHちゃんだったけど、素直でまっすぐで無欲で、いってみれば天使のような女の子には、神様が、たくさんの幸せを与えてくれているのだろうと、遠巻きながら思っていた。
 でも、そんなHちゃんに突然不幸が襲ったことを、私は、テレビで知った。
 そう、Hちゃんの旦那さんは、「ガンに生かされて」や「天国で君に逢えたら」などの著書がベストセラーになった、元ワールドカップチャンピオンのウインドサーファーで、肝臓がんで壮絶な死を遂げた、故飯島夏樹氏である。
 それからのHちゃんと、その家族の悲しみは、いくばくだったかと思う。
 特に連絡を取る手だても、おそらく資格もなかった私は、陰ながらご冥福を祈るしかなかったけれど、それから5年が経ち、久しぶりにHちゃんのお姉ちゃんから手紙をもらった。二人の、そして家族の話が、この夏には映画化され、それを機に、Hちゃんと4人の子供たちも日本に一時帰国すると。
 どきどきしながら、お姉ちゃんにメールをしてみると、Hちゃんたちは、なんと私の著書や、料理教室をやっていることまで知っていてくれて、「みんなでイタリアン、食べに行きたいな」と言ってくれたのだ。
 そうして実現したのが、先週の日曜日。20年近く会っていなかったかもしれない。
 でも、そんなブランクがあったことを忘れてしまうくらい、昔のまんまの空気の中で話がどんどん進む。唯一不思議だったのは、私たち以外に、子供たちがその場にいることくらいだろうか。
 Hちゃんは、以前にも増してかわいくて、相変わらずスタイルもよくて、グアムやハワイの日差しをたくさん浴びているというのにシワひとつなくて、とてもじゃないけど、13歳を筆頭に4人も子供がいるなんて、信じられない。
 とにかくイキイキとしている。自分よりも背の高い長女と、自分の二倍くらい横幅のあるたくましい双子の長男次男と、パパに一番よく似た三男に囲まれて、輝いている。
 それは、大きな困難を、完全に克服したからこその輝きなのだろう。こんなに有名人になってしまったというのに、ぜんぜんきどってなくって、むしろ子供の頃のまんまの天然で、まっすぐできれいな心が透けてみえるようだ。

 家で、子供たちにお腹いっぱいラグーのパスタを食べてもらったあとは
 「ママたちが遊んだ場所を見に行こう」と、みんなで近所を散策することに。
 あ、この路地、6時の鐘がなるまで遊んだよね。ドロケンも、缶蹴りも、かくれんぼも、ドンジャンポンも、ハンカチおとしも、はないちもんめも、この路地でやったよね。こんなに小さい路地だったっけ?昔はひろーく感じたのにね。
 次はお寺にもいってみよう。うわ、なんだかきれいになったね。
 えー、昔はここから裏の公園に抜けられたのに、柵ができちゃったの?! じゃ、いいわ、こっちから公園に行こう。懐かしいー!ここでも、ママたちよく遊んだのよ~。
 Hちゃんが子供たちに熱心に聞かせようとしているのに、子供たちは耳も貸さずに、すでに夢中で遊び始めている。垣根を越えて木によじのぼったり、巨大滑り台を逆行のぼりしたり、うちの4歳のチビも、4人のお姉ちゃん、お兄ちゃんのあとをついてまわって、あっという間に泥だらけだ。
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 こうして、自分たちが遊んだ公園で、自分たちの子供たちが遊んでいる姿を見ることになるなんて、なんともいえず感慨深いものがある。Hちゃんたちがうちに来てくれなかったら、こんな機会もなかっただろう。

 もしかしたら、このまま一生会うことなかったかもしれない昔の知人や、旧友と、
立て続けに再会することに恵まれた一週間。
 十数年、二十年というサイクルで、人生の中には大きな再会がやってくるものなのかもしれない。そう考えると、なんだか長生きも悪くない。
 お互いが、いろんな経験をした後に再会するからこそ、わかりあえることもある。

 そして、家でのイタリア料理を通じて、それがひとつの後押しやきっかけになって、こうして時間のブランクを超えて人がやってきてくれることが、今の私には何よりもうれしい。
 そういえば、会社の同期で、彼女が退社して以来、ずーっと会っていなかったE利も、料理教室がきっかけで6年ぶりくらいに再会できた。しかも、会社で会っていたときよりも、何倍も距離が近くなれたような、そんな気がする。

 ただ料理を教えるためだけの場所ではなく、新しいご縁が生まれたり、昔のご縁が復活したり。
 私が、小さなこの台所でつくる素朴なイタリア料理が、そんな風に人を誘い、そしてまた人が人を呼び、そんなつながりがずーっとつづいていったら、きっとすごく幸せだな。そして、そんなつながりで、この小さな台所がいつも笑い声であふれていたら、この上なく本望だな。
 私の目指す料理って、つまるところは、そういうことなのかもしれない。



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コメント

ジーン~~~
新入社員の頃Ritzが何かの時に、人間の欲求の中で食欲がいちばんスバラシー。と言い切っていたのを思い出しました。
「そんなに食うのが好きなのかぁ」と、浅い考えで思っていたけど、あれから十数年、こういう形でそれを証明しているRitzはホントにスゴイよ。

そういえば、そんなこと

言ったよね、私。ああ、恥ずかしい。しかも、確か役員面接のときじゃなかったっけ?
それを証明しているかどうかは、自信がないけど、
あいかわらずただの食い好きってことで…。
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Profilo

ritz

Author:ritz
イタリア家庭料理研究家
本業は広告代理店コピーライター
1999年以来、毎年有給休暇を使い果たす作戦でイタリアへ料理修行。年に1〜2回のペースで子連れでイタリアの農家やマンマの家々を転々としています。
HP→http://www.ristorante-ritz.com
Facebook"マンマの台所Ristorante Ritz"→https://www.facebook.com/ristoranteritz/

著書に「トルテリーニが食べたくて」
日本ソムリエ協会認定ワインアドバイザー
U.M.A.O.オリーブオイル鑑定士
イタリア料理、子育てから、日本の旅、秘湯まで。

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