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春まっさかりの九州④ 最後は、絶景唐津!

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遠くの山並みの雲がどんどん掃けていく。今日はいい天気になりそうだ。
あっこさんちから眺めるこの景色を見ると、図々しくも、ああ、帰って来たな、と思うようになってしまった。
博多市内からクルマで30〜40分ほど行っただけでこの緑、この空気。いつ来てもうらやましい。

前回はちょうど2年前の同じく春休み。まだNが4ヶ月の頃だ。東日本大震災で学校もずっと休校のまま、周囲の親子連れは放射線がこわいといってどんどん東京脱出。水道水からも基準値を上回る放射線物質が出て町中のミネラルウォーターも売り切れ続出、ほうれん草からも牛乳からも…なんて中、田舎もない我が家、母子3人で家の中でひたすら引きこもっていたとき「気分転換に遊びに来れば?」と声をかけてくれたのもあっこさんだった。
今回も、九州の歴児&鉄児の旅を思い立ったはいいが、旦那はとんぼ返りでその後どうしようと尻込みしかけた私を、「ここまでおいで」とばかりに最終日のゴールを用意してくれたというわけだ。

息子のゲンちゃんはMより二つ上。二年前はちょうど今回のMみたいに、春期講習の合間をぬって私たちにつきあってくれたっけ。受験も晴れてクリアし、4月からは中学1年生だ。おめでとう!
お父さんが出張でお留守のときに押し掛けることになった私たち、母子家庭×2だけど「その方が気楽でいいじゃん。どっか遠出しようよ」と、あっこさんが唐津に連れて行ってくれた。
唐津と言えば、20年近く前に会社の上司たちと、料亭旅館に泊まり窯元をめぐるというバブルな旅行で訪ねたことがあるが、街の記憶はほとんどないから楽しみだ。
息子二人を先導していた昨日までの緊張感も一気になくなって、運転もなにも全ておまかせですっかりお客さん気分。どんな道をどう走ったかも知らないまま小一時間、気がつけば右手に大海原が広がっている。

まずは虹の松原を通って海沿いへ。
これがかの有名な、日本三大松原のひとつ、虹の松原か。17世紀の初めに唐津藩主が防風林、防砂林として植樹した黒松が唐津湾沿い続く。全長5キロというのもすごいけど、幅1キロというのもすごい。走っても走っても松林で、なかなか海が見えない。やっと視界が開けたところに見えてきたのは唐津シーサイドホテル。
ちょこっとだけ駐車場に車をとめて、脇の柵を乗り越えて浜に出てみると、広い広い浜辺が。子供たちは一目散に海めがけて走り出した。誰もいないプライベートビーチみたい。
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久々のゲンちゃんとの再会で昨夜からずっとハイのM。昨夜は12時まで二人でWiiをやっていたかとおもえばその後も布団の中で枕の投げっ子。今日はさらに開放しっぱなしで、二人してズボンも靴も濡らして波打ち際を飛び回っては、競い合うように貝殻を拾って私たちのところに走って戻り、そしてまた駆けずり回り…。まるで犬だ。
活発な方とはいえ都会で生まれ育ったMにとっては、釣りも虫取りも貝殻集めも上手で、自然を完全に味方につけてるゲンちゃんはちょっとした憧れなのだろう。Mがいつも付き合っている友達と比べれば、言葉使いも違う、ベシっとすぐ頭もたたく、下ネタも大きな声で連発する、もし仮に東京でそういうタイプの子がいたらすぐに遠ざけてしまうMなのに、ゲンちゃんの場合は違う。そこには、やはりある種のリスペクトがあるのだ。
田舎の子と一口にくくってしまうのとは全く違う。ゲンちゃんを見ていて思うのは、大人の私に対しても年下のMに対してもスタンスは常に一定だということ。大人だからと顔色をうかがったり、年下だからといって偉そうな自分を見せつけたりもしない。なんといってもそこが、Mをはじめとする都会の器用貧乏な子供たちと圧倒的に違うのだ。だからMも、こうしてゲンちゃんの子分でいることが、心から居心地がいいのだろう。そして、ゲンちゃんの言動をそっくりそのまま真似するわけではないのだけど、しかし確実に、ゲンちゃんに会うたびに我が息子が大切な何かをインスパイアされてるような気がしてならない。

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このシーサイドホテル、知らない人が見ればパッと見はただの古いホテル、でも中に一歩入るとどこか老舗感ただよういい感じ。「ここのカフェがまたいいんだよ」とあっこさんに言われ、ちょっと覗いて納得。
なるほど~。これはいい。天井の低いレトロな雰囲気、籐の椅子にタイル張りのカフェテーブル。中でも窓際の特等席は唐津湾を独り占め。ここで何時間もぼーっと海を見つめたり、本を読んだりして過ごしてみたいものだ。
ホテルの人が「どうぞ、もっと中にお進みになってお写真お撮りください」と。お茶もしないのに、感じがよくて恐縮してしまう。

再び車に戻り虹の松原を抜け、海を右手に見ながら市内をめざす。唐津湾に注ぐ大きな松浦川にかかる長い橋を渡ると、あ!唐津城だ!
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唐津湾に突き出た、一見、島のような満島山(そういや名前にも島がついている)を利用して作られた城。山のてっぺんに昭和41年に再現された天守がそびえる。先の見えない長い石段、学童2人はすでに石段を駆け上がっているが、2歳児の手を引いて登るのは苦痛、かといって抱っこで登るのも苦痛、困ったなと思ったところへ有料レベータ発見!四十路母たちは迷わずお金を払うのであった。

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エレベータをおりてびっくり、そこは満開の桜が咲き誇る公園。柵のところまで歩み進んでもっとびっくり、下を見下ろしても桜、桜、桜。まるで桜に持ち上げられてるみたい。桜の花を上から目線で見下ろす花見というのは、そういえば経験したことがない。周囲は紺碧の海に囲まれ、ピンクとブルーのコントラストが素晴らしい。
興奮してみんなで写真を撮りまくったあと、ふと振り返ると城が。はっ、そうか、そういや城を見に来たんだっけ。
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関ヶ原の戦いのときに東軍についた寺沢広高によって築城された唐津城、お家断絶などで歴代の城主は入れ替わり激しかったものの、激戦の舞台になったり戦火に巻き込まれたりすることなく明治維新を迎え、払下げで解体されたのだとか。
これもまた、外見は天守閣でも中は資料館という、ただの鉄筋コンクリート、お金払う価値あるのかね、なんて言いながら最上階まで登ってみて、しかし、大きく前言撤回。うわーっ。すごい、すごい、すごい、を連発する私たち。
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博多方面に目をやれば、さっき通った虹の松原の緑の帯は大きく弧を描いている。この城山を中心に鶴が羽を広げているように見えるから別名舞鶴城と呼ばれるようになったのもよくわかる。
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このまま玄界灘を羽ばたきたくなるような。空に浮かぶ城は他にもあれど、海に浮かぶ城というのはそうないだろう。
天守閣を出て、帰りは石垣を歩いて下ってみれば、山のてっぺんに本丸、山麓が二の丸といったように、山全体がひとつの城郭になっている構造がよくわかる。さっきのエレベータの乗り口のあったあたり、海水に直接面した石垣も、実は城の石垣であったことにも今頃気づく。木漏れ日ならぬ、桜の花の間から漏れる光、ひらひらと舞い落ちる花びら、こんなシーン、藤沢周平の小説に出てきそう。
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一昨日の人吉城もそうだけど、歴史の激動の波に巻き込まれることなく、地元サイズで栄えた城というのは、のどかでありながら凛とした誇りがあってなんだかいいな。熊本城のような豪華絢爛のお城もいいけれど、もし自分が城主になれるなら、人吉城か唐津城がいいな。
ん?そういえば、初日の鹿児島城に始まり、なんと4日連続で城を制覇してしまったではないか。まったく好きね~。しかしこうして集中していろんな城を見てきて改めて思う。城ってのはその町いちばんの絶景を独り占めできるところに建っているのだ。


お昼もまわってお腹がすいてきた。ゲンちゃんの提案で呼子のイカを食べに行く。港沿いにはイカ料理の食堂が並ぶ、干しイカも並ぶ。
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イカ刺の踊り食い。まだピクピクというイカを、割箸でいじめるゲンちゃん、Nは遠巻きながら釘づけ。これまたすっかりゲンちゃんになついてしまい、どんなにぐずっても「ゲンちゃんも食べた方がいいって言ってるよ」といえばコロッと治ってご飯を食べだす。ゲンちゃん、東京に連れて帰りたいよ。

ガソリン満タンになって再びエンジン全開になったゲンちゃんとM、私とあっこさんが一瞬目を離したときに、二人の姿が見えなくなってものすごく心配した。もしものことがあったら…と。数分後、桟橋の向こうから、はしゃいで走ってきた二人を、私とあっこさんが、それぞれに自分の息子を、なんたって命にかかわることゆえそれはそれはきつく叱りつける。あっこさんに激しく叱られてもいつもと何一つ変わることなくひょうひょうと交わすゲンちゃん、かたや、私をすごい目つきで睨みつけながらポロポロと涙を落とし始めたM。おそらくMには人前で叱られることへの不本意さというか、妙な見栄があるのだろう。それまではしゃいでいたのに急に反省しなくちゃいけないのがカッコ悪いとも思うのだろう。これも都会っ子ゆ
えの、ちょっと残念なところかもしれない。
そんな息子をふりかえることなくとっとと歩き始めた私の背後で、ゲンちゃんが、博多風イントネーションで小声で言う。「もんど、泣くな」
ゲンちゃん、おまえ、本当にいいやつだな。今度は私が、涙出てきたよ。
こんなに遠く離れたところに住んでるのに、2年に一度くらいし
か会わないのに、性格だって全然違うのに、会えばまるで昔からの幼なじみみたいにじゃれ合える、支え合える友達がいる。そんな息子を心底羨ましく思う。


さて、飛行機の時間まで、まだ少し時間がある。といって、鏡山まで行くほど時間に余裕はない。「おかあさん、久々に七ツ釜、行かん?」またしてもゲンちゃんが提案してくれて七ツ釜へ。
呼子からさらに岬を進んで、突端の突端。ね、ところで七ツ釜って何?
わけもわからず、広いのっぱらを海に向かって延々と歩くと、突然目の前にすごい景色が。
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海食によってできた7つの胴で、国の天然記念物でもあるらしい。ジャック・マイヨールがお気に入りのダイビングスポットだったとか。見れば見るほど、怖くて足がすくむ。
日もかたむいてきて、西日に照らされた海がまた、きらきらと美しい。子供たちの影もだいぶ長くなってきた。さすがに疲れたのか、それとももうすぐお別れが近づいてきて悲しいのか、子供たちも口数が減ってきた。なんか、青春してるなあ、この写真。ちょっと「俺たちの旅」っぽい。いや、すばり「岬めぐり」だな。
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雨の熊本から一転、雲一つない青空。汗ばむほどの初夏の陽気だった今日、一日だけでものすごい充実。いやあ、いい夏休みだったな。じゃなくって、連休だよ。ん?違う違う、まだ春休みだよ。思わず錯覚してしまうほど。それくらい、父不在でも充実した最終日が過ごせたのも、あっこさん親子のおかげだ。
ありがとう。

振り返れば、初日から4日間、どこを切り取っても絵になった。とっくに葉桜だろうと諦めていたけど、どこを切り取っても満開の桜があった。
実を言うと、新しいスタートや変化が苦手な私は、春がとっても苦手、そしてその象徴である桜も苦手、そんな桜に群がる人ごみも本当に苦手。
でも、そんな私が、九州で出会った桜たちにはこんなにも魅了されてしまったのはなぜなんだろう。誰に媚びるわけでもなく、誰のために咲くわけでもなく、ただ自然に身をまかせて咲いているのに、凛として美しいからかな。ふくよかで幸せそうだからかな。
今年の4月は、こんな私も新しい始まりを、春を、前向きに歩みだせそうな、そんな気がしてきたかも。春らんまんの九州に、感謝。
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ritz

広告代理店コピーライター
イタリア家庭料理研究家
HP→http://www.ristorante-ritz.com
著書に「トルテリーニが食べたくて」
日本ソムリエ協会認定ワインアドバイザー
イタリア料理、子育てから、オペラ、日本の旅、秘湯まで。

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ritz

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