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春まっさかりの九州② SL人吉で熊本へ

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翌朝の朝食は突き当りの一番大きな茅葺の家で。寝ぼけまなこで歩く子供たちの前にいきなり立ちはだかるのはニワトリ親子の行列。だ、だっこ…、と怖がるN。ここではニワトリ様が優先だ。
朝食処の手前の小屋で「どうぞお好きなお魚を選んでいってください」と。サバ、きびなご、鰆…などから選んだ魚を、ここで炭火焼きにして食卓に持ってきてくれるのだ。井戸水で野菜を冷やす場所もあったりしてちょっとしたオープン台所みたい。
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朝食で初めて、他の宿泊客を目にすることになるのだけど平日とあって10室ほどあるうちの半分くらいだろうか、私たちを入れて4組の朝食が用意されている。三々五語起きてくる人を見れば、なんとうち2人がおひとり様。しかも40代くらいの男性。でも、その気持ち、すごくよくわかる。「忘れの里」とはいえ各部屋に無線LAN完備でPCで世間とつながっていることは担保にしつつ、でも誰ともかかわらずに、おいしいものと素晴らしいお湯を楽しみながら一週間くらい雲隠れする。ちょっと憧れる…。

朝食後は部屋の露天風呂を堪能。一晩中、流しっぱなしの源泉、湯船の湯も冷えてることなくちょうどいい。
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ああ、これでチェックアウト12時まで存分に堪能できたらな。でも今日の午後はSL人吉に乗って熊本へ行くという一大イベントが待っている。人吉の市内も少し見て回りたいので、またまた後ろ髪を引かれる思いで宿を発つ。
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山里を抜けるきもちのいい道、途中「100年の駅舎 嘉例川駅」の文字につられてちょっと立ち寄り。
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本格的なカメラをかかえたマニアが何人もいてびっくり。ホームに入るとさらにびっくり。山の桜と古い駅舎がとてもきれい。ああ、ここに電車が来ればなあ。と、そういや昨日も同じセリフ言ってたな…。しかし一時間に2本の肥薩線を待つわけにもいかず、人吉へ。

球磨川が見えてきたらそこはもう熊本県、人吉市。真っ先に向かう人吉城址は球磨川とその支流の胸川のちょうど支点になる丘が、まるまる丘ごとが、城になっているという感じ。その歴史は意外と古く、鎌倉時代、頼朝から人吉荘の地頭を命じられ赴任した相良氏が城の基礎を作ったと言われている。以来、戦国の世の数々の危機も乗り越え、代々城を治めるというのも珍しい。
江戸時代に大火で全焼した建物はその後再建されたそうだが、それも西南戦争で西郷軍の拠点となったために全焼してしまったとか。
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今では公園としてきれいに整備されている丘のすそ野で地元の人が花見弁当を広げるのを横目に、「本丸、二の丸、三の丸」を目指して上へ、上へ。
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長い石段を上がるとそこはだだっ広い芝生の公園…ではなくてここが三の丸跡か、で、もう一つ石段を上がると今度は木々の林立したこれまた広~い公園…じゃなくてここが二の丸跡なのね、という具合に、とにかく広大。城というより山登りだ。
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言ってみれば球磨川が天然のお堀に、背後の山が天然の城郭なっているというなんともスケールの大きな城。
気が付けば、お花見で盛り上がる市井の人々はすっかり下界。庶民の幸せな日常を見下ろす城主の気分って、こんな感じなんだろうな。
地方の豪族が脈々と繁栄し、守り続けた城というのは、派手さはなくてもどこかゆったりとした空気が流れているものだ。
下りは反対側の石段をおり北側の球磨川沿いへ。桜はちょっと散り始めているけれど、新緑もまた美しい。
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平成に入って再建されたという堀合門、その目の前にはこんな場所が。ここから船ですぐに出入りできるようになっている。川がそのままお堀になっているとこんなこともできるのね。
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このあたりの石垣は、上の部分がまるでテーブルトップみたいに一石分飛び出ている。これは、幕末に導入された西洋式築城のひとつとか。塀をよじのぼっても乗り越えることができない、いわゆる武者返しだ。
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SLの発車時刻は午後二時半すぎ。お昼は駅弁にすれば、川向うの市内もまだ少し見て回れる時間ができるぞ。誰もいなくてかわいそうなくらいの観光案内のテントで道を聞くと、おばさんが「今日はどちらから?」と。東京ですと答えると「うわーっ、それはわざわざ!ありがとうね」とお礼を言われてしまった。熊本からSL人吉に乗る首都圏のマニアはたくさんいるだろうに、みんな人吉をぶらつくこともなく在来線でトンボ返りしちゃうのかな。もったいないな。

人吉にはもうひとつ意外な見どころが。なんと国宝があるのだ。それが青井阿蘇神社。806年創建の古い神社で本殿、楼門、拝殿など5つの建物すべてが平成20年に国宝に指定されている。
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さて、いよいよSLの出発時間が近づいてきた。レンタカーを返す場所はてっきり駅前にあるのかと思っていたが結構遠いぞトヨタレンタカー。店のおじさんに駅まで送ってもらう。
あれ?火事?民家の向こうからもくもくと白い煙が。でも白すぎるな、煙と言うより水蒸気という感じ。ん?も、もしかして、もしかして~!
おじさんがハンドルを切るとそこはもう線路沿い。ホームより数百メートル手前の車庫の中で客車をつける前の蒸気機関車が思いきり煙をあげているではないか。「あっ!トーマスだ。ほら見て!トーマス」2歳の鉄児もさっそく反応している。
駅まで送ってもらった後、このSLの雄姿を撮りにMと走って戻るも、白い煙はおさまっちゃっていた…。
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SLが客車を付けてホームに入ってくるまでの間、駅弁を買ったり、売店でSLグッズを買ったり。初日の雨の鹿児島の夜から一転、昨日、今日と晴天に恵まれているが、明日は九州全土が雨の予報。傘なんて持って歩いたらほんとに雨降っちゃうからやめなさい、と言ってるのに、戦国傘を持ち歩きたくて仕方がないんだと。
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いよいよホームにSLが客車を付けてすべりこんできた。といっても熊本方面は車庫のあった方角になるから、後ろからバックで入ってくることになる。ここでSLにすぐに乗り込んで車内弁当を予約するか、先にSLの先頭に回って写真を撮るか悩みどころ。夫に荷物の搬入と弁当予約をまかせ、私と子供たちは先頭へ。記念撮影の列にやむなく並んでパネル持たされてパチリ。
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かのデザイナー水戸岡鋭治さんによって次々にかっこいい鉄道を登場させているJR九州、このSL人吉も彼の手によりデザインされた客車も、たしかに、噂通り。床や壁、シート、細部の木の色や天井にほどこされた飾りまで、ちょっとレトロでどこか温もりのある懐かしい感じは、九州の山里を駆け抜ける蒸気機関車の雰囲気そのもの。
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客車が3両しかないのもこじんまりしていていい。しかもそのうち真ん中の2号車はビュッフェ車両、客席は前後の1号車と3号車のみ。おまけにそれぞれ車両の半分が誰でも出入り自由のガラス張りの展望ラウンジになっているから、乗客の座席といったら合わせて一両分くらいしかないのではなかろうか。競争率がますます高くなるわけだ。
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この展望ラウンジ、人吉行きでは3号車が最後尾になるため3号車の展望ラウンジがパノラマビューになり、熊本行きでは反対に1号車のそれがパノラマビューを楽しめるようになっている。先端には小さな木の子供用の椅子が2つ並んで設置されていてまさしく特等席だ。
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私たちの席は1号車の一番展望ラウンジ寄り、つまりパノラマビューにパッと行けるというベストポジション。
幸先いいところで、いよいよ出発進行!

まずは夫が予約した弁当をビュッフェ車両まで買いに行く。コーヒーや車内限定グッズを買い求める人ですごい列。係りのお姉さんも丁寧すぎてなかなか進まない。ここで車内アナウンス。「西人吉」駅の桜のトンネルをお楽しみください、と。しまった。狭くて窓も小さいビュッフェ車両からは桜のトンネルも思うように見えないではないかっ。それこそ展望ラウンジで見るべきであったと大後悔。SLが速度を落として走ると、桜は見えないけど窓から差し込む光が一瞬にしてピンク色になった。きっとものすごい桜並木なんだろうな。窓からは線路の両脇にぎっりしと並ぶ撮り鉄たちしか見えないけど…。

席に戻って今度こそはラウンジに行くもすでに椅子もあいてない。鉄のひとり旅と思しき中年のおっさん。角の椅子に最初から座ったまま動こうとしない親子連れ。デジカメでとりまくる写真を周囲の人に見せてまわるフレンドリータイプの鉄。なるほど、自分の座席にいるより、ずっとここにいるという選択肢があったのかと今頃気づく。
しかしなぜか例の子供用特等席だけは誰が言い出すわけでもなく、代わる代わる譲り合うという空気が流れている。これも鉄のマナー(?)だろうか。
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去りゆく景色をパノラマビューで眺めるというのはこれまた気持ちがいい。
桜のトンネルは逃したけれど、その後はひらすら球磨川沿いを走る肥薩線、車窓からは、いつ、どこを向けてシャッターを切っても必ず満開の桜が写るといってもいいくらい。作られた桜並木よりも、自然に、さりげなく、そしてのびのび咲いている山里の桜をSLの最後部から見送りつづける。しかもこうして汽笛を聞きながら。間違いなく、今まで生きてきた中で最高の「花見」だ。
田んぼの中でおじさんが、散歩途中の親子が、みんな、みんな、こちらに向かって手をふってくれる。なんだか、あったかいな。
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トンネルを通り抜けるたびに、自分たちのSLがトンネル内で吐いた煙がトンネルの中から噴き出してくるという、こんな光景が見られるのも最後尾ならでは。
途中の停車駅では、5~6分時間停車して撮影時間を設けてくれたり、名物の焼き鯖寿司をホームで売る駅があったり、そんな時間を共に過ごしているうち、わざわざ人吉までSLを乗りに来た者同士、おのずと心が通じ合うというか、なにより、SL人吉の一年でもっとも美しい景色を自分たちが独占している自負で満たされた者同士、展望ラウンジではいつしか会話もはずむ。Nも気が付けば知らないお兄ちゃんたちに紛れて戯れている。
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そうこうしてるうち、熊本まであとわずか。新八代を過ぎると球磨川ともお別れ。最後に1両目を偵察にいってみると、3両目とはがらっと雰囲気が変わり、シートの模様や木の色調もぐっと落ち着いた感じ。SL文庫なるコーナーには機関車にちなんだ本がずらりと並ぶ。
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終着駅、熊本に到着する直前、「最後のお楽しみイベントがありますので1号車にお集まりください」とのアナウンス。窓際に座る子供達に一枚ずつ文字の書かれたカードが渡され窓に掲げると、東の方角から同じく熊本駅にむかって入ってくる電車「特急あそBOY」が近づいてくるではないか。やがて二つの鉄道はぴったりと並走し、「あそBOY」に乗ってる子供たちとメッセージ交換という、なんとも子供たちが喜びそうなイベント。それにしても、阿蘇を抜けて同じく熊本を終着駅とする「あそBOY」と、このためにわざわざ運行時間まで調整してしまうなんて、粋な計らいと運転手さんの腕に思わず感心してしまう。
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熊本駅には17時23分着。駅を出ると、そこは久々の大都会の匂い。人も多い。車も多い。ビルも多い。東京を出てたった二日しか経ってないんだけど、山里を抜けてきた者は面喰ってしまう。
まずはホテルに荷物を置いて、桜の時期だけ夜間開園している熊本城へ。時間もないので頬当御門までタクシーで行ってしまう。運転手さんによると、熊本でも今年は観測史上もっとも早かった桜の開花。それでもこうして満開のタイミングに間に合ったのはラッキーだったかもしれない。しかも明日は雨確実。「今夜の桜が今年で一番きれい。でもこれも今夜で見納めですよ」そう言われると、なんだか熊本城に来るべくして来たような気がしてくる。
御門の前で母子3人の写真を撮ってもらったあと、入園せずして夫はここでタイムアップとなり、空港行きのシャトルバスに乗るべく、タクシーで去ったのであった。寝てしまったNはパパが東京に帰ってしまったのも知らないまま。
ここから先は、母子3人旅。
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夜間開園の入園料は通常の半額くらい。城の中は明日あらためて見学しようという者にとってはありがたい。
それにしても熊本城の桜はすごい。門を入り、中に進んで行けば行くほど、これでもか、こでれもかとベストスポットがつづく。城も絢爛なら、桜も派手というか、花のひとつひとつが豊満でぽってりとしている。桜と言うのはつくづく場をわきまえた咲き方を心得ているものだなと思ったりして。
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今夜は夜桜を楽しむだけにして、帰りはタクシーで来た道をゆっくり歩いて帰ることに。頬当門から行幸橋に向かって下りる長い坂道、いわば城の参道は、上から下まで見事なまでの桜並木。提灯の明かりにも負けない光を放っていてでとてもきれい。これも夜ならではの体験だ。
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あとで聞いた話だが、熊本城の敷地内にある何種類もの桜、例年なら種類によって、あるいは場所によって少しずつずれながら満開の時期を迎えるところ、今年は開花が早かっただけでなく、すべての木がいっぺんに花を咲かせたとか。だから地元の人でも「こんなにすごい光景はみたことがない」というほどだったとか。うむ、やっぱり私たちは熊本城に、清盛公に呼ばれて来たんだな、きっと。
ふもとのお土産村施設でくまもんグッズをいろいろ買わされ、清盛像の前で写真を撮り、なんてやっていたら8時近くになってしまった。
本当は太平燕という熊本のソウルフードが食べたかったのだけど、「もういいよ、ママ。ホテルの中で食べよう」と珍しく弱気のM。私もさすがに疲れたし、Nもまだ寝てるし、結局20分ほど歩いて帰り、ホテルの中の中華料理屋へ。
熊本らしい料理はまったく期待しないで入ったのだけど、なんとメニューに「太平燕」が!うれしい。なんだか、ついてるな~、熊本。
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スプーンおとしまくり、床よごしまくり、お茶こぼしまくりでも、優しいお店のお兄さんはさすが熊本一の日航ホテル。母子の旅はやっぱりケチっちゃいけないのだ。
部屋に戻って子供たちをお風呂に入れ、荷物を片付け、さ、明日も早いからそろそろ寝ようと思ったのに…、
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熊本城ライトアップを背に、鹿児島で買った戦国刀傘をなぜか横に置いて宿題する兄。こっちでは自らバギーによじのぼりベルトまでパッチンしてホテルについてたクマ型スポンジに話しかけてる弟。変な兄弟。早く寝ようよ。
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ritz

広告代理店コピーライター
イタリア家庭料理研究家
HP→http://www.ristorante-ritz.com
著書に「トルテリーニが食べたくて」
日本ソムリエ協会認定ワインアドバイザー
イタリア料理、子育てから、オペラ、日本の旅、秘湯まで。

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