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春まっさかりの九州① 鹿児島は、よかね~

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進学塾の世界では2月からが新年度。つまり4月を待たずしてMもいよいよ5年生。塾は週三回になり、年間予定表を見れば春休みも春期講習がびっしり、夏休みも夏期講習がび~っしり。男子なんて親とべったりいてくれるのは小学生のうちだというのに、その最後の二年間を受験のために奪われてしまうのかと思うと本当にせつない。よし、こうなったらちょっとの休みも無駄にはするまい。どうせ6年になったら死ぬ思いで突進しないといけないんだ。だったら今のうちに遊んでしまえ。

というわけで春期講習が始まる直前に、九州へ。といっても実際は通常の塾の授業を二回も休ませちゃっての強行旅行。ま、いっか。
去年の春休みは、そういえば東北へ行き冬の名残を堪能してきたのだけど、今年は正反対で春を先取りしにいく旅になった。
実は九州は、博多に友達一家が住んでいることもありMも小さな頃から2年に1度のペースで訪れ、全県行ったことがあるほど。質の高い温泉につかり、おいしいものを食べ、窯元をめぐったりするのには絶好の地だけど、それ以上に、歴児と鉄児を満足させる旅としても、九州ほど申し分のない場所は他にないのではないだろうか。

そして計画したのが、鹿児島から熊本、博多へと北上する旅。城好き男子のために各所で城をおさえつつ、JR九州自慢のSLにも乗り、一目見ておきゃ試験に出たら絶対書けるでしょとばかりにカルデラof阿蘇山もおさえるという盛りだくさんな内容を4日間の中にどうにか詰め込んで、うむ、なんとも知的な旅程が仕上がった。

3月24日(日)、どうしても休めなかった合唱団の特訓のあと、そのまま羽田へ。夜の便で鹿児島へ向かう。夜に着いたってどうせ観光もできないんだし翌朝いちばんの飛行機でいいじゃないと人は言うかもしれない。しかしこの前泊というのは意外とあなどれない。だって一食分を現地で食べることができるんだもん。これ、とっても大事。
空港に着いたのはすでに8時半。日本でも屈指の市街から離れた空港、鹿児島空港からレンタカーをし、ホテルにも寄らずに執念で直行したのがここ。豚とろラーメン。時刻は10時近く。でもお腹すかせて我慢した甲斐があった。
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読んで字のごとく、とろとろの角煮入りラーメンなのだけど見た目よりさっぱり。スープもいわゆる天下一品系かと思いきやさらさらとしている。うん、おいしい。しかしこの時間にこのハイカロリー。これであとはホテルにチェックインして寝るだけって恐ろしいな。
今回の旅で唯一夫に手配を任せた鹿児島のホテル、ドーミーインはここからほど近いところにあった。間口が狭くてフロントも二階にあると思しき寂しいエントランスを見るなり「え~、ビジネスホテルじゃん。やっぱりパパってケチだね」と小声でつぶやくM。部屋も確かに超狭い。お風呂にいたってはシャワーしかついてない。その理由は…、なんと屋上に大浴場があること。しかも露天風呂やサウナ付き。各部屋に風呂をつくらないことでコスト削減、おまけに狭い建坪でも客室数を確保できるというわけか、なるほど。
思いもかけず、初日の晩からいい湯だな、でラーメンのカロリーもすっかり消費した気分。

さて、翌朝は家族を叩き起こしてとっとと市内観光開始。なんたって、今宵の宿は霧島温泉のあたりだから市内からちょっと遠い。今回の旅で唯一の温泉旅館になるのでかなり奮発することにしたこともありできるだけ早くチェックインしたい。となると市内観光に充てる時間はいっそう限られるからだ。
まずは真っ先に桜島を拝むべく、いったん鶴丸城の正面を素通りして背後の城山へ。西南戦争最後の激戦地となった城山、そのちょうど中腹に西郷隆盛が仲間とともに最後の5日間身を潜めたという洞窟がある。
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あの西郷どんがこんなところで飲まず食わずのまま5日間も息を潜めていたなんて。鹿児島市内観光一カ所目にして早くも激動の幕末に魂ゆさぶられたいモード全開である。
その横には一軒だけ土産屋が。売り物に埃がたまってるような薄暗い店内にひやかし半分で入っていったはずの夫と子供たちがなかなか出てこないので様子を見に行くと、店の奥の壁一面に張り出された古い写真の数々に見入っている。幕末の志士たちをはじめ、西郷隆盛の3人の歴代妻たちや一族の写真や家系図などなど。細かい説明も記してあってちょっとした西郷記念館だ。横から店のおばちゃんがさらに詳細な歴史解説をしてくれたあと「ここでしか売ってないよ」とこの店が出版してる手作り風の書籍の数々は西南戦争前後の資料や写真満載で思わず一冊買ってしまう。なるほど、土産物にはほこりがたまっていてもいいわけだ。

つづいて丘の上まで車を走らせ、城山公園へ。駐車場から歩いて林の中をぬけると展望台。いまひとつ霞んでいる桜島。でもこれから晴れそうな空の光だ。
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駐車場に面した土産屋の前を通り過ぎると、色黒で顔中しわだらけの店のおばちゃんが「お兄ちゃん、これどう?ここでしか売ってないよ」と、ここでも“ここでしか売ってない”戦術で薦められたのは、見た目は刀の形をした「戦国傘」、Mは私と夫の顔を交互に見ながら、ニヤニヤ、モジモジ。も、もしかして、5年生にもなって、これ欲しいの~っ!?
で、結局ご購入。どっから来たの?東京はどこ?下の子も男の子かい?よかよか、私なんか男欲しくて5人目でやっと男だったわ…。みたいな立ち話。
お土産やのおばちゃんたちが強引なようでいて、話し始めるとなんだかあったかくて、気がつけば完全にあっちのペース。

再びさっきの洞窟の前を通って城山をおり、城の正面に向かわずに東に逸れて小道を進んだ住宅地の中にひっそりとあるのが西郷隆盛終焉の地。城山での激戦から山の中腹の洞窟で5日間身を潜めた後、最後は足と腹に銃団を受けながらもここまで逃れたのちに、仲間の別府晋介に介錯を頼み自刃した。
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説明書きのパネルの前にはまるで西郷さんみたいな恰幅のいいおっさんがさっきから微動だにせず立っている。すっごい熟読してるなと思いきや手にしているのはスマホ。背中丸めてなんともたどたどしい手つきでいじってる。おっさんのその大きな背中越しに説明書きを覗き込んでいると、やっと気づいてくれて「あ!ごめんね、ごめんね」と振り返ったその顔は、なんと西郷さんそっくり。「あ!写真、撮ってあげようか?家族で。ね。」と写真まで撮ってくれた。ありがとう、“西郷さん”。
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(ちなみに、この写真、今回の旅で唯一の家族写真となった)
西郷さん、今度は階段に座ってまだスマホいじっているよ。時代の波についていけなかった西郷さんの終焉の地で、時代の波に一生懸命ついていこうとする西郷さんソックリさんの図。
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再び城郭まで戻り車を止めて、今度は徒歩で鶴丸城の周囲を見て回る。
さすがお堀の周囲と城郭内は、桜のきれいなこと。今年の開花は観測史上もっとも早く東京でもとっくに満開なくらいだから、九州は葉桜かもしれないと半ばあきらめていたのだけど、そんなことない。こっちの桜も今がちょうど満開だ。
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Mが持参した山川出版のムック本「日本の城」によると石垣の東北、すみっこがきれいに欠けているのは鬼門除けなのだそう。天守も櫓もなく、ただの更地があるだけのいわゆる城址公園だけど、こうして城好きの息子につきあってじっくり見てみると、お堀や石垣ひとつとっても特徴があって面白い。当時の城がよみがえってくるような、なんともいえない高揚感を覚えるのは、…もしや私も城好きの要素があるのかもしれん。
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明治に入ってすぐの大火で焼失した本丸跡地には今は資料センター黎明館が立っているが残念ながら月曜休館。せめてもの記念に篤姫像と写真撮影。
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小さい頃からチャンバラ好きだったMではあるが、幕末に目覚めたのは、実は、保育園の年長時にオンエアしていた大河ドラマ「篤姫」がきっかけ。鹿児島市内はMが3歳の頃にも一度訪れているが当然記憶にもなく、一度でいいから篤姫の地をじっくり見せてやりたいと常々思っていたのが5年越しで実現したことになる。
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史跡めぐりをしていてますます鹿児島が好きになっちゃったのは、史跡各所に設けられているこうした説明書きのパネルだ。
西郷が政界を退いた後に帰郷して建てた私学校、しかしその生徒たちの暴徒を機に勃発したのが西南戦争。私学校跡地の石垣には政府軍が浴びせた銃弾の跡が。その説明板のタイトルにも当時の西郷の言葉が引用されている。
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ところで「篤姫」を観ていた当時、Mは瑛太が演じた小松帯刀が特にお気に入りで、晩年足を患った帯刀が座る時も胡坐がかけず前に投げ出さないと腰を下ろせない右足を布で覆って偉い人に謁見するというシーンを真似する姿は写真にも残っている。というわけで小松帯刀像にも会っておこう。
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史跡ではないけれど途中こんな鹿児島らしい光景も。さっき一瞬だけ強風がふいたとき、ざざーっと目に砂のようなものが入ったけど、これだったのね。
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続いて向かったのは城山から少し離れた高台にある南州墓地。字のごとく、西郷とその仲間が眠る場所だ。平日とあってか、鶴丸城近辺にも観光客はほとんどいなかったけど、ここはまた輪をかけて静か。最期を共に遂げた者たちといっしょに、鹿児島市内を見下ろすように眠っている。城山から見るよりずっと美しい桜島、まさに桜越しに島を見ながら、西郷さんなら今の時代にどんなことを思うかな。
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さて、さすがに小腹がすいてきた。一軒だけあったお茶処に「石焼いも」の文字を見つけひとつ購入。「はい、ひとつでいいのね~」とおじいちゃんがトースターの中から出してくれたさつま芋は、「くくくっ。石焼きじゃないじゃん」と笑いをこらえつつ頬張ったMだが「おいしい!」だそう。この近くにあるはずの「篤姫」の生家、今和泉島津家の跡地への行き方をついでに聞いて、車で前を通ってみる。
お茶処のおじいちゃんによると今和泉島津家の敷地は今では地元のデパートの社長が購入し家を建てているけれど、土産屋の石垣だけは当時のものが残ってるとか。教わった通りの、その社長の名前の表札になっていたからすぐわかった。篤姫を斉彬公の養女に差し出すとき、この石垣の前で父母が地面に頭をつけてわが娘の籠を見送ったのね、と思うと感慨深い。でも、こんなとこまで見に来る家族、いないよな。
それにしても史跡を見ようと思うと、こんなに見るところがあるんだな。7年前に来たときなんて、城山すら行かなかったし、城跡の中にさえ足を踏み入れなかった。ちょっと恥ずかしい気分…。

あ~、これだけ回ってやっと昼ごはん。疲れた~。お腹すいた~。黒豚しゃぶしゃぶ~!
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せっかくご飯にありついたというのにそんなにゆっくりする間もなく、午後は市内からちょっと離れた島津家別邸「仙巌園」へ。
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下の写真は8年間にほぼ同じ場所で撮った写真。M小さい。私若い。
こことて前に来たときは庭をぶらついただけで御殿内の見学すらパスしちゃったけど、いざ中に入ってみると御殿も当然のことながらすごい。撮影禁止だけど建物越しに外の景色は可ということで何気なくシャッター押した写真にも、立派な白薩摩の壺が写ってる。
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敷地内の奥に進めばさらに見どころや美しい光景がたくさんあることも知らなかった。中には「篤姫」のロケで実際に使われたこんな場所も。
瑛太演じる肝付尚五郎(のちの帯刀)が雨の中かけあがるシーン。
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同じく尚五郎が「えっ!篤姫様がみだいどころに!?」と団子をつまらせたシーン(たぶん)。
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さらに奥に進み敷地の突き当りにこんな場所発見。
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ツアー客の集合時間まで休憩してると思しき旅行会社の添乗員の人たちがいるくらいで他には誰もいない。広い芝生の向こうにはどど~んと桜島。おそらく鹿児島の中で最も美しく見られるスポットだろう。やはりその権利は、島津のお殿さまの手の中にあったというわけか。
ついでにいうと、すぐ下には線路が。電車が来たら最高のショットなんだけど、こういう時に限って電車は来ない…。
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隣接の資料館もじっくり見ていたらすっかり日がかたむいてきた。まだまだ見るべきところはたくさんあったはずだけど、後ろ髪引かれる思いで一路、霧島温泉方面めざして北へ。

一時間くらいで到着した今宵の宿は、メディアなどにもたびたび登場する「忘れの里、雅叙園」。川を挟んで反対側にある「石原荘」とともに有名な宿。8年間は石原荘に泊まりながら(ここも良いお宿だったけど)、向こう岸の雅叙園も一回泊まってみてえな~と思っていただけに、今回は迷わず“向こう岸”を予約。

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車から降りた瞬間から、異空間体験が始まるのがこの宿のすごいところ。茅葺屋根の小さな小屋がいくつも立ち並び、客室はもちろん、フロントでさえもそのうちの一つの小屋。たとえが適切でないかもしれないけど、南イタリアのアルベロベッロのトゥルッリの街並みを茅葺屋根にしたみないな、そんな感じ。
部屋にもそれぞれ風合いの違った露天風呂がついているのだけど、まずは「ラムネ湯」へ。
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貸切風呂ときいて、早いもの勝ちとばかりに急いでいったけど他に人がくる気配もなさそうなのは、おしゃれな風呂じゃないからか。粗野なつくりだけどそれもまた「狙い」であるのを感じさせる。ちょっとテルマエロマエみたいでもあり、また浅い子供用プールみたいでもあり、MもNも面白がってなかなかあがろうとしない。
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部屋に食事を運んでもらった時以外、宿の人と顔を合わせることもない。他のお客さんたちにも会うこともない。談話室で本を読み、夜通し火を入れている囲炉裏小屋の中で焼酎を飲み、掘っ立て小屋風の中の大きな石風呂で怒涛のように湧き出る温泉につかる。
自分たちが独占する日本の原風景。計算しつくされた、まるで山里リゾートだ。
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濃くて長~い一日目が終わって床に就く。何にもないけど、何にもないことだけをひたすら楽しみたい宿。急ぐ旅には、ああ、もったいなさすぎる。
明日は、熊本へ。
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ritz

広告代理店コピーライター
イタリア家庭料理研究家
HP→http://www.ristorante-ritz.com
著書に「トルテリーニが食べたくて」
日本ソムリエ協会認定ワインアドバイザー
イタリア料理、子育てから、オペラ、日本の旅、秘湯まで。

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