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媚びないイタリア料理、であり続けること。

2012_1_22

結婚前に住んでいたワンルームを料理教室用にリフォームしてから丸7年になる。マンションの北側斜線に無理やり捻出した、もともと屋根裏部屋の小さなスペース。10人も集まればぎゅうぎゅう詰めだけど、それでも私生活とは隔たれた私の小さな城であり、会社の仕事とはまったく違う別の自分を営むための拠点。ここでの活動は、あと数年後にはどんなふうに実を結んでいるだろうと胸を膨らませてスタートしたものだけれど、さて、それから7年、なんだ、結局、活動の幅は特に広がってるわけでもなんでもないじゃん。これでご飯食べて行こうと思ったらとっくに潰れてるな、と思うわけで。

唯一、大きな成果があったとすれば、そんな狭苦しい屋根裏部屋にも、おまけにこんなに人付き合いが苦手な私だというのに、いろんな人が集ってくれるようになったことだろうか。料理教室だけでなく、めったに会えない同級生が久々に集まってくれたり、わざわざ外の店で約束して会うような関係ではない人たちが「イタリアン食べに行ってもいい?」と遊びに来てくれたり、十数年ぶりに連絡をくれた昔の友達が家族と足しげく遊びに来てくれるようになったり。サラリーマンの世界だけでは、あるいはママ友の世界だけでは、決して得ることのできない仲間が足を運んでくれること。それだけは大きな財産だ。

この週末も、生ハムやパルミジャーノなどを扱うイタリア輸入食材店PIATTIの岡田さん夫妻と、お世話になっている日伊協会のKさん一家、Hさんご夫妻が4カ月ぶりに集合。
岡田さんがスライスした生ハムどうしてこんなにおいしいんだろう。正直、イタリアで食べるよりおいしい。つまり世界一おいしい生ハムたちをさらにおいしくすべく、モデナ名物の揚げパン「ニョッコフリット」で応戦。不覚にも塩を入れ忘れて後から即席ハーブ塩をふりかける始末となったものの、これもまた悪くない。ほかの料理にも思わず気合が入る。
このメンバーの集い、もともとは5年ほど前に日伊協会で行われたイベント(岡田さんがパルミジャーノの固まりをその場で切り分け、私がパルミジャーノを使った料理を紹介して試食してもらうという)でコラボさせていただき、その打ち上げと称してうちに集まるようになったのが、きっかけ。以来、年に一度はこうして集まる定例会になった。
思い起こせば、そのイベントの際、高級パルミジャーノと聞いて人々が期待するお洒落な料理を作らないといけないのかと悩む私に岡田さんが投げかけてくれた言葉、
「山中さん、“媚びないイタリア料理”で行きましょう」
が、今でも私の中で大きな指針のひとつになっている。
「ここはずばり、トルテッリーニでいいじゃないですか。そこに、パルミジャーノをドバっとかけて食べてもらいましょうよ。粗野だろうがなんだろうが、媚びる必要なんてない。僕たちの知る本場の飾らないイタリア料理をそのまま披露すればいいじゃないですか」
そう背中を押してくれた岡田さんこそ、採算より利益より、何よりも大事にしてるのは自分が本当に伝えたいと思う味だけを提供するということ。自ら現地に赴き生産現場に足を踏み入れ、生産者たちの胸に飛び込み、そうして仕入れた食材たちは、一口運んだだけで生産者の努力が見える、風土が見える、人柄が見える。だから岡田さんの仕入れる生ハムは、どこで食べる生ハムよりおいしいんだな。イタリアで食べるより、イタリアの味がするんだな。口に入れた瞬間にとろけていく脂の甘みと熟成された肉の旨みをしっかりと感じながら、ふと、初めてイベントでご一緒した日を思い出し、改めて、媚びないイタリア料理であることの大切さを実感する。

私の料理には相変わらず、「わー、きれーい!」と言ってもらえるような上品なデコレーションも特にない。「わー、レストランに来たみたーい」と言ってもらえるサプライズもきっとない。日本人受けしなかろうが、想像と違おうが、誰に媚びることもなく、私はただただ、教えてもらったマンマたちの顔を思い浮かべながら、自分も一人のマンマとしてめいっぱい愛情を注いで料理をつくる。それ以上でも以下でもない。
それでも、こうしてコツコツと料理をつくっているからこそ、巡り合える人がいて、育める関係がある。それこそがこの7年の大きな成果。そしてこれもまた、それ以上をのぞんでも、またそれ以下になりさがってもいけないのだ。
誰にも媚びない私のイタリア料理がひとつの共通語になって、こうして今日も集ってくれる仲間がいる。どんなに儲からなくても、どんなに無名でも、それはきっとリストランテの理想形に違いない。

こんな話、そういえば当時のブログにも書いたっけかな?とチェックしてみると、おほほほ、おんなじことが書いてある。http://ristoranteritz.blog92.fc2.com/blog-date-20080223.html成長してないなあ。いや、そうじゃなくて、ちゃんと志は守り続けてるな。と思うことにしよう。
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コメント

naocci

とりあえずトルテッリーニ・・・ですか 汗っ めちゃくちゃ手が込んでるのに食べるときはあっとゆーま、、、手間は餃子(しかも皮から作ったやつね)の数倍なのに!!しかもこっちはブロードも!でもまぁ確かにトルテッリーニはあの作業工程にしては日本人が感動するような味ではない、、、のかもしれませんね。そしてわたしはその「媚びないイタリアン」が大好きなのです。なので数年に一度しか行けないけれどその屋根裏部屋でみなさんと交わす会話とひと時と料理が大好きなのです。 また次回もよろしくお願いしますね^^ 

ritz

naocciありがとう。イタリアに嫁いで、しかもボローニャに住んでいるnaocciにそんな風に言ってもらえるなんてものすごく身に余る…、でも、ものすごく嬉しい、そしてものすごく励みになります。
次回のご帰国、今から楽しみに待ってますよ!
イタリアも日本も、感染症の嵐ようだけど姫たちともども元気で冬を乗り切ってね。
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ritz

広告代理店コピーライター
イタリア家庭料理研究家
HP→http://www.ristorante-ritz.com
著書に「トルテリーニが食べたくて」
日本ソムリエ協会認定ワインアドバイザー
イタリア料理、子育てから、オペラ、日本の旅、秘湯まで。

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ritz

Author:ritz
広告代理店コピーライター
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HP→http://www.ristorante-ritz.com
著書に「トルテリーニが食べたくて」
日本ソムリエ協会認定ワインアドバイザー
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