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はじめての″年越し温泉″

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一度でいいからやってみたかった、おせち作り放棄の旅。ちょっと罰が当たりそうだけど、2012年はいろいろあったし、今年は許されるかな。
インフル学童もなんとか復活し、大晦日からほんの二泊だけ福島の二岐(ふたまた)温泉へ。

秘湯を守る会にも名を連ねている「大丸あすなろ荘」。Mがまだ3歳くらいの頃に一度訪れて以来の再訪だ。
師走に入ってから急に冷え込んできたことだし、今年はたっぷり雪があるに違いない。東北自動車道の白河ICを下りてしばらくは、そんな期待も裏切るかのように雪の「ゆ」の字すら見当たらなかったけど、羽鳥湖にさしかかったたりからふと気づけば辺り一面白銀の世界。そして携帯も気がつけばとっくに圏外だ。しまった、年を越す前に出しておきたいメールなどあったのに…。
「ん?ゆき?ゆきか。ゆきだね~」2歳になったばかりだというのに口だけは恐ろしく達者なNがまるで自分に言い聞かせるようにひとりごとを言っている。そうか、去年の雪見温泉の記憶など彼にはあるはずもなく、白い世界は初めて目にするのも同然かもしれない。

これだけ温泉を旅していると、お風呂がどうだったとか、どんな料理だったとか、どんな部屋だったとか、記憶がごっちゃになっていたり全く覚えてなかったりするのだけど、不思議と子供の映像と一緒になるとビジュアルとして鮮明に覚えていることが多い。大丸あすなろ荘といえば、宿の入り口が急な坂道になっていて、まだスキーもできない頃のMとソリ遊びしたっけ、そのときはモンベルで買った黄色いつなぎを着せてたっけ、てな具合に。そしてもう一つ、この宿で覚えている映像が、川沿いの雪の中にいくつか点在している露天風呂のうちの一つだ。宿のサンダルで足元を取られないよう、Mを抱いて慎重に一歩一歩あるいてたどり着いた脱衣小屋。凍りついた引き戸を力づくで開け、凍てつく脱衣場で急いで服を脱がせ、逃げるように飛び込んだ内湯の気持ち良かったこと。そこから肝心の露天風呂へと続いていたはずなのに、古びた内湯のことしか覚えていない。湯船のへりの木が、ちょっとぬるっとしていて、でも幅があって、小さな子供を座らせておくにちょうどいい感じ。当時から早くも風呂好きの才覚を表していたMは、私が何度「出ようよ」といっても「嫌だ」といって聞かず、この湯船のへりに座って遊んだりしていた。湯あたりしても困るし、いいかげん出ようと説得し、脱衣場に出る前にしっかり体をふいてやり、ちょっと待っててね、ママも身体ふいちゃうからね、と目を離した瞬間、ドボン!と頭から落ちたのだ。足を滑らせてというより、もう一度湯船につかりたい一心で身を乗り出したのではないかと想像するが、それはそれは慌てたものだ。幸い水を飲みこむこともなく、当の本人はあっけらかんとしてたけど。

kodakara_koya
まずは真っ先に、その思い出の風呂に6~7年ぶりでMと行ってみる。あの当時、私が転ぶまいと必死で腕に抱えていた子は、いまや大人用のサンダルをつっかけて「ママ、ここ滑るから気をつけたほうがいいよ」など言いながらひょいひょいと駆け下りていく。しんしんと降り積もる雪の中にある掘っ立て小屋、その相変わらず凍りつく引き戸を開け、急いで服を脱いで扉を開けると…あれ?いきなり露天風呂。内湯はどこに行っちゃったの??川沿いにもうひとつあるお風呂は男湯だし、当時も女風呂に入ってたはずだから、例の内湯はここのはずなのに。
悶々としながら入る露天風呂。しかしこれはこれで、どうして記憶に残ってなかったんだろうというくらい風情ある風呂だ。
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不思議に思って宿の人に聞いてみると、震災でこの内湯だけが大きく損壊し、復旧をあきらめ塞いで脱衣場にしてしまったとのこと。なるほど、凍てつく脱衣場だったはずが、今回は言われてみれば足元も温かく壁も床もピカピカ。その手前の靴脱ぎ場と化してぶ凍てつく小部屋、あれが今までの脱衣場だったことを知ると、逆に従来がいかに、よりいっそう野趣に富んでいたかも実感する。
それにしても小さな木造りのお風呂が修復できないほど壊れたなんて。今はただ静かなこの川沿いの一帯が、大地ごと激しく揺さぶり動いた様子をふと想像すると胸が痛む。震災の被害だけでなくその後は風評被害にも振り回された福島の観光業界。こうしてまた満室で賑わうお正月を迎えることができた裏には、宿の人たちの並みならぬ苦労があったに違いない。しかし、この内湯のことにしても私が聞いたからわかったこと。宿泊客に復旧に費やした苦労を感じさせない、震災をネタにしない、逆に、過度でおしつけがましいサービスもない。それもさりげない宿の心配りなのかもしれない。
そんな宿に居心地の良さを覚えるのは、やはり家族連れではないようで、この宿に来て思うのは、なぜか男の人が多いこと。食事処の大広間、背後には男同士の3人グループが、なんと二組も。奥さんは?家族は??
「今日って大晦日だよね…。明日は正月だよね…」夫も愕然としている。
Nが騒いでも深いな顔で振り向く人もいない。Nが歌を歌ってもかわいいわねと振り向く人もいない。慣れてしまうと、なんとも楽ちんだったりする。

豚鍋と天ぷらが並ぶ山のごちそうを食べた後は、部屋に戻って紅白歌合戦。毎年、終わらないおせちの準備と大掃除の残りに髪振り乱しながら「耳」でしか聞けない紅白とは偉い違いだ。じっくり見ると、褒めたり貶したり、意外と楽しいな。特に美輪明宏「ヨイトマケの唄」には衝撃。これ出されちゃ誰も敵わないよ。すごい、すばらしいとしか言いようがない。
部屋に運ばれてきた年越しそばをすすりながら、こたつにはいってだらだらと。テレビではいつの間にか「行く年来る年」が始まって、Mと夫が再び風呂に行っている間にアナウンサーの「おめでとうございます」の声。あ。年越しちゃったんだ。泊まってる人たちはみんな酔っぱらって寝ちゃったのかな、隣からも階上からも廊下からも物音ひとつしない。
いつもは、寺の山道に位置する我が屋での年越し、初詣に繰り出す人々の喧騒と終わりなき除夜の鐘を聞きながら眠りにつく大晦日の晩だけど、ただただ雪が降り積もるだけの、なーんにもない、なーんにも聞こえない場所で迎える新年もいいものだ。




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元日の朝、家族が寝ている間にまっさきに、朝食前の時間帯だけが女性専用になる「自噴泉の岩風呂」とやらにいってみる。この足跡からすると、今朝はまだ一人しか入ってなさそう。
その先客の女性とは脱衣小屋で入れ違いになり、たった一人に。なんと300年近く前に作られた渓流の自然温泉を岩ごとそのまま湯船にした風呂とかで、湯船の底からぷくぷくと温泉が噴き出ている。アリ地獄のような穴が3つほどあり、吸い込まれるかのような恐怖を覚えつつ恐る恐る足を突っ込んでみたりしたのだけど、後で調べたら、温泉が自噴してるのは岩の割れ目からで、この「アリ地獄」は数百年前の川だった当時に、小石が水流で転がって長年にわたり削られた穴なんだとか。私の2013年の初風呂は、ずいぶん渋い風呂であった。
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息子にとって冬の温泉宿のもうひとつの楽しみはスキー。同じ宿に連泊できると荷物をまとめたりする慌ただしさもなくゆったりと時間が流れるのがうれしい。
羽鳥湖の近くにあるクルマで30~40分くらいのスキー場へ。
低学年の頃は冬休みも春休みも子供だけのスキー合宿へ参加させていたけれど、塾だの習い事だのと時間が束縛されがちになると今しかない親子で過ごす時間を大事にしたくなったのは、息子のほうも同じ気持ちだったのか、いや或いはただの温泉好きの怠け者だからか、息子の方から「もう合宿はいいよ。温泉の時にスキー場に寄ればいいよ」と言い出した。以来、スキーはこうして雪見温泉の時を利用して楽しむ程度に甘んじて久しい。
Nが生まれてからは私はもっぱらNとレストハウスでゲレンデを見つめながら留守番役。
あ~あ、またボーゲン直滑降で一気に下りてるよ。もったいない。あれじゃいつまでたっても上達なんかしやしない。と、この日もいつものパターン。
akeome
ゲレンデから戻ってきた彼らのリフト券には「あけおめ」の文字。田舎の小さなスキー場だけど、けっこう粋だな。2013年元日の記念に取っておきたくなる。
ひとしきり滑った後、最後はNも外に出てソリ遊び。
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ソリ引きずってせっかく登ったのに、ソリの跡見て「線路~は続く~よ~」と歌いながら、トコトコとひとりで下りて行ってしまった、線路好きだよどこまでも。兄に負けず劣らずのこのマイペースぶり。どんな兄弟になっちゃうんだろ。
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レンタルスキーを返しに行くと、お店のお姉さんが「あれあれ~。もう眠いんだべかあ?」と、ごくごく普通にバリバリの会津弁をしゃべりながら両手にあふれんばかりのチョコレートをMとNに持たせてくれた。ソリ遊びで冷え切った体も、飾らない福島の人の温もりに、ほっこり緩んでいく。こんなに温かい人たちが暮らす故郷に、震災が、原発が、そして私たちの風評が、とんでもない痛手を追わせてしまったことを改めて思う。


宿に帰って、再び風呂三昧。夜6時~8時の間だけ女湯になる、もうひとつの名物風呂である渓流露天へMと二人で行ってみる。あれ?6時過ぎてるのにまだ「男湯」になってる。ま、いっか。
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こうして売りのお風呂って往々にして男湯で、ほんの少しの時間帯だけ女湯という苦々しいケースには多々出くわすけれど、この宿に関してはオッサン客が大半を占めるので甘んじて受け入れよう。それに宿は満室だというのに、そんなわけで女湯の時間帯にはいつ入っても他に人がいたためしがない。これまた、いまだにMを引き連れて入ってる身としては好都合だったりする。
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岩をくりぬいた湯船が川にせり出しているこの露天は、写真などで見るとまるで川の中に浸かってるかのように見えるのだけど、すっかり日が暮れた闇の中、そんな景色を楽しむどころか、川から獣やお化けでも這い上がって来そうな気配、と思ったら最後、背筋がぞぞ~っと…、ああ、Mと一緒で本当によかった。
しかし息子とこうして女湯に入れるのも、きっと今回が最後かも。と、ここのところ毎回思っている。二人目が男だとわかったとき、真っ先に悲しくなった理由は、将来私が温泉に一人で入らなくてはならないことが確定したことだ。とはいえ、こうして素っ裸の写真をブログに掲載する事なんて、逆に女子だったら許されない年頃だろう。そう思えば、Mが女湯を卒業しても私にはまだ次のモデルがいてくれるわけで、私の温泉ブログはしばらく安泰だ。そう思うことにしよう。それに、人目を気にして女湯に息子たちを連れて入るより、私が堂々と男湯に乱入する日の方が近いんじゃないかって気もしてきたぞ。いや、まじで。




翌日も見事な晴天、ゆっくりチェックアウトしてから、南会津の大内宿を目指す。
昨夏に奈良井宿を訪れてから、秋には妻籠・馬篭宿となぜか宿場好いてる我が家。またあ?とも思ったが、昨日スキーの帰りに立ち寄った喫茶店のマスターの「雪の大内宿は本当に見応えありますよ」の言葉につられて行ってみることに。
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確かにこれは絶景。道も茅葺屋根も何もかもすっぽりと雪に包まれ、現代文明のわずかな片鱗すら見当たらないせいだろうか、江戸時代にタイムスリップしたみたい。
両脇の家々はすべてここの住人たちが先祖代々守っている、いってみれば普通の民家。その店も手作り感たっぷりで、縁側を開放して手作りの味噌や民芸品を売っていたりする。
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街道沿いにふと大きな鳥居を見つける。観光客は素通りしているけど、この路地を入れば神社があるはず。初詣に行ってみるか。
小学校のグランドも雪の中。ブ、ブランコが…。
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雪の大地、田んぼの中の一本道。いったいどこに神社があるのかと思いながらひたすら歩くと…、あ!うんと遠くの林のたもとに小さな鳥居が見えてきた。
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鳥居を一つ、また一つとくぐりながらてっぺんの本殿に到着。去年はいろいろあったけど、今年はどうか家族みんな健康で、与えられた道を胸を張って邁進することができますように。どうか、どうか、お願いします。
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なんて謙虚な気持ちでお参りしたのに、帰りは雪遊び。
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雪玉をつくって頭上に投げてヘディング、今度は鏡餅みたいに大小の雪玉を頭に乗せて変顔、そんな兄を見て、大喜びの弟の笑い声が、人っ子ひとりいない杉林に響き渡る。
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いいかげん弟の方が飽きて兄は置き去りにされるも…、ずっとひとりでやってるよ。ほんと、アホ…。
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ほれ、もう行くぞ~。
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高倉神社というこの神社、あとで調べたら、平清盛の全盛期に反平氏の挙兵をしたものの敗北し、この村に身を潜めていたと言われる後白河天皇第二王子「高倉以仁王」の霊を祀った由緒ある神社らしい。思いがけず、趣ある初詣ができたことに満足。
神社を後にするころには、まだ1時過ぎだというのに短い冬の陽が傾き始めていた。
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さあ、最後に遅めの昼ご飯を食べて帰ろう。大内宿の一番の名物は、知らなかったけど長ネギを箸に見立てて食す(実際には箸で食べて可)「高遠そば」といもの。中でも三澤屋という老舗が人気で、これも昨日の喫茶店のマスターに指南されたとおりに、大内宿について真っ先に店で整理札をもらっていた。土間で順番待ちでごったがえす観光客を横目に、すんなり席に案内してもらう。
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宿場町にありがちな観光客相手の蕎麦屋だろうと高をくくっていたものの、どっこい、そんな自分を大反省。まずは突出しにどんぶり一杯の大根の煮物、山盛りの白菜の漬物も。つまみも充実していて出し巻き卵も天ぷらの盛り合わせも旨い。こづゆといった会津の郷土料理や、おじさんが囲炉裏で黙々と焼いているイワナの塩焼きも焼き加減が絶妙。これだけおふくろの郷土料理が充実している上に、特筆すべきは蕎麦の素晴らしいことといったら。ネギがどど~んと鎮座してる野性的なビジュアルに反して、お味の方は東京の本格的な蕎麦屋にも引けを取らないさらし系。
そしてなんといっても、こんなに順番待ちの人がいるのに、こんなに多くの客を次々と案内しているのに、てきぱきと働くおばさんたちの中に、テンパった感じがまるでないのが素晴らしい。とことん感じがよくて、優しくて、あったかい。なぜそんなすごい技がなせるのか、同じ「働く女性」として教えを乞いたいくらいだ。

終わってみればあっという間だった年越し温泉@福島の旅。
いろいろあった去年と、きっと今年もいろいろあるであろう私に、大きな勇気をくれたような。そんな福島の自然と人々に、私も心からエールを送りたくなった。
また行かなくちゃ。福島。
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コメント

十夜

お久しぶりですv-393
そして今年もよろしくお願いしますv-391

うちも友達と最近やっぱ温泉はいいねなど話したりしてました。
子供たちも温泉好きですかv-361

ボランティアで子供達の相手を相変わらずしてるのですが、元気さに負けてばかりです(笑)
今年も頑張らないといけないですv-406
今年は、スイミングでもやろうかなと考えています

ritz

十夜様 カビ生えかけのBlogを覗いてくださってありがとうございます。こちらこそ今年もよろしくお願いします。
子供たちに元気をもらいながら、お互い今年も元気でがんばりましょう。
スイミング、いいですね。

うちの息子たちはすっかり温泉好きです。冬のうちにもう一度くらい行きたいです。
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ritz

広告代理店コピーライター
イタリア家庭料理研究家
HP→http://www.ristorante-ritz.com
著書に「トルテリーニが食べたくて」
日本ソムリエ協会認定ワインアドバイザー
イタリア料理、子育てから、オペラ、日本の旅、秘湯まで。

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ritz

Author:ritz
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日本ソムリエ協会認定ワインアドバイザー
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