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東北の旅(1)まずは仙台へ出陣じゃ。

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うわっ。一カ月以上もブログを放置してしまった。
新年度ってやつは子供の時分からどうも苦手で、気忙しいふりして実はやる気が停滞してるのが正直なところ。
最近なにか楽しい事ってあったっけと考えてみれば、春休みの旅行にまでさかのぼってしまう。そういや、その話も、4月の心の低気圧のせいで書きそびれていたな。
というわけで、鮮度もクソもない私のブログゆえ、今更ながら3月末の旅の話を…。

4月からいよいよMも4年生。この先は、わが家も不本意ながら中学受験体制に巻き込まれていくことになると思うと、子供と過ごせる一つひとつのチャンスを一日たりとて無駄にしてたまるか、という気がますますしてきたこの頃。
3月末、春季講習とやらが始まる前の日まで、4日間つづけてフリーの日があることを発見。ちょうどスキー合宿に参加できる日程だったけど、M自身も「スキーより、どっか行きたいな…」と言い出した。
思い立ってから出発まで一週間を切っていたという俄か仕込みの旅、…Mが思いついたのは奥州藤原氏の都、平泉中尊寺。せっかくなので、宮城から岩手に向かって北上しながら「東北にお金を落とそう旅行」に決めた。

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E5系に乗っていざ北へ。
新幹線は鉄ゴコロをそそらないはずだったんだけど、ホームに上がってグリーンのボディを目の当たりにすると、これが結構、かっこよかったりして。
出発まであと3分。走れ!先頭まで走って行ってMと撮影大会。久々の鉄道に旅に、つい鉄ゴコロが踊ってしまう。

これから3泊かけて、北に向かって温泉宿を転々としながら最後は盛岡を目指す旅。
一泊目の宿は宮城県北部の山間部、鳴子のあたり。近くはスキー場だらけだしせっかくなら初日はスキーにする?という選択肢もあったのだけど「いや、仙台に寄っていきたい」とM。
仙台市内から今宵の宿まで車で二時間。となると市内観光も3時半までには切り上げたいところ。動線的にはちょっと無理があるのだけど、スキーより伊達正宗公を選んだ歴児のために、仙台おいしいとこ取りスピード観光を試みる。

仙台駅を降り、レンタカーに乗った瞬間から、ストップウオッチが頭の中でチ、チ、チ…と動き出した気分。時刻はすでに11時過ぎ。さ、急げっ。
真っ先に向かうは青葉山公園。お馴染み政宗騎馬像のある山の上の仙台城跡は後で向かうとして、まずはふもとの仙台市立博物館へ。
見どころはなんといっても伊達正宗の甲冑。しかし展示されるのはゴールデンウイークやお盆休みなど、年に数回に限定されていて、普段は、代わりに肖像画や甲冑のレプリカなどで我慢しないといけないらしい。ちぇ…という思いで足を踏み入れたのだが、あれ?展示室の奥の奥の、明らかに特別の思われる小さな部屋、ガラスの向こうに3体の甲冑が。中央のものは、なんと政宗公のものではないか!
聞けば、これは直系の伊達家に伝わる甲冑ではなく、家臣の菅野家に保存されていたものとか。それとて政宗のものには変わりはない。肖像画や複製甲冑でごまかされるよりラッキーだったと思おうではないか。
この政宗公の甲冑。正確には黒漆五枚胴具足伊達政宗所用。胴は鉄板に黒い漆が施されていて5枚に分割されてるのが特徴で正宗以降の歴代藩主もこのスタイルを踏襲したとか。なあんてことはさておきミーハー歴児とその母にはやっぱり三日月型の前立てだろう。
これかあ…としみじみ眺めてしまう。当時の日本人が小柄であったことを改めて認識する小ぶりな甲冑にあって、この細くて長い三日月の前立だけが、しゅるんと、まるで刀のように鋭く光る。いや本当は500年も前のものが光ってるはずないんだけど、光ってるような気がしちゃう。
それこそ愛だの恋だのと(恋は無いか…)戦国武将たちがこれみよがしな兜の前立てで競っていた中、あまりにもシンプルな極細三日月とは、相当いいセンスをしていたのね。
この前立て付きの政宗兜は、キッズコーナーで実際と同じ重さでできたレプリカをかぶってみることもできる。
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「うわっ、重っ。ママ、どう?」
とMがふりかえるだけで
「あ、あぶないっ!Nちゃんの顔に三日月がささりそうだったよ!」と叫んでしまう。
そうか、この三日月の前立て、刀っぽいのはあながちスタイリッシュなだけじゃなかったんだな。なあんて。

仙台市博物館には、たとえ甲冑が見られなかったとしても来場者を落胆させないお宝がたくさん展示されている。
慶長遣欧使節の支倉常長像はなんと国宝。一行がローマで謁見した教皇パオロ5世像も「完成度はいまひとつで、皇庁の関係者に配るために制作された複数生産品のうちの一つだった」とされているのにやっぱり国宝。どうやら使節関係の資料は全部まとめて国宝らしい。
殿様とはいえ、一地方の権限で当時の日本で唯一の、そして初の独自外交権を家康から許された政宗、その真の目的には諸説あれど、遣欧使節には相当な気合と覚悟があっただろう。結局、常長が帰国したときは世はキリスト教弾圧まっさかりで、結局なんの成果ももたらさないまま終わってしまうのだけど、遣欧使節に関する数々の歴史資料が「慶長遣欧使節関係資料」としてまるごと、しかも”歴史資料”という類で日本初の国宝指定を得るあたり、政宗の時代から脈々と受け継がれる仙台人のプライドのようなものを見る気がする。
そんなお宝たちに埋もれてしまってるけど、個人的には林子平の「海国兵談」が見られたのが意外な収穫。なぜ仙台に?も不思議だが、子平の姉が仙台藩主宗村に嫁いだのを機に仙台の禄を受けていたとかでお墓も仙台にあるらしい。
歴児につき合うつもりが、思いのほか充実した時間に。大学受験の時に使い込んだ「山川の日本史」のチェックペンだらけで真っ赤になったページが、頭の中でめくるめくった時間であった。

次に目指すは博物館の裏山の頂、仙台城跡。ガイドブックの地図によると、伊達政宗騎馬像のすぐ近くにも駐車場あるみたいだから車で移動したほうがよさそうだ。
いちおう念のため博物館のボランティア案内のお姉さんに聞いてみると、なんと3.11の震災で石垣が崩れ、城跡へ続く道は通行止めになったままだとか。車で移動するとなると、東北大学の敷地をぐる~っとまわって、わかりにくい上にかなり遠回りになるそうだ。
ならば歩いていっちゃえ!と、お姉さんに教わった通り、博物館の裏庭から山の頂を目指すも、ところどころに雪が残ったぬかるんだうっそうとした山道、これも震災の傷跡かところどころにカラマツ(?)が倒れていて、足元を取られそうになる。途中から通行止め中の舗装道路に出るも、これも車で走ればあっという間の距離だろうが、歩くと結構きつい。縁石もガタガタになっているのをみると、本当に大きな地震だったんだな…と、改めて思う。
そうしてやっと到着。ほんの20分、でも情けないことに足はガクガク。一歳児を抱っこひもでくくりつけて登った夫も顔にこそ出さないものの結構きつかったにちがいない。
「あ、あった、あった、政宗の像、あった~!」
Mだけが元気に政宗像めがけて走りだす。
仙台市を一望に見下ろす山の上には、気持ちのよい風が吹いている。東の方角に目をやると、一年前に恐ろしい牙をむいたとは思えないほど、静かで美しい海が見える。
静かな公園に突然、日光江戸村から抜け出してきたみたいな3人組が現れて(支倉常長、伊達政宗、あとひとりは…誰?)「みなさんお集まりくだされ~」といきなり歴史解説が始まる。ボランティアでやってるのだろうか、でもなかなか話も上手であっという間に人だかりが。最後は彼らと記念撮影の列…。
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そんなこんなで予定より時間押し気味で時刻は1時過ぎ。どうりでお腹も空くはずだ。仙台といえば…やっぱ牛タン!というわけで仙台出身の旧友Kくんから教えてもらったガイドブックには乗ってなかった店「司」へ。通な店と聞いていたから子連れに敷居が高いと思いきや
「お子さん用に小さくお切りしますか?何枚分をそうします?」と慣れた対応。子供用の食器セットまで出てきた。
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まだ前歯しか生えてないNには牛タンシチューをオーダー。しかし口にいれてやると瞬時に「ペッ」。臭みが嫌なのか?困った、食べさせるものがない…。ダメもとで牛タンを口に入れてやると、”お店の人が切ってくれないと子供用に切り分けられないほど固い牛タン“を、くちゃくちゃとガムみたいに噛み続けてからごくん。「もっと~」だそう。

さて、牛タンを堪能したら、食休みする間もなく市の南の高台にある政宗公の霊廟「瑞宝殿」へ。
駐車場に「ご自由にお使いください」と杖がおいてあったので、ん?と思いきや、杉林に囲まれた坂道、うわ、結構きつい。つづいて階段、うわ、結構長い…。さっきまで穏やかな午後の日差しにつつまれていたのに、ここにはひんやりとした空気が流れている。
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この丘の上には、政宗公の眠る瑞宝殿のほかに、二代藩主忠宗、三代藩主綱宗が眠る霊屋が、文字通りそれぞれが立派な御殿のように、林の中に点在している。中でもやっぱり政宗の「瑞宝殿」が一番立派。門をくぐって階段のぼってまた門をくぐってやっと霊廟に着くこの感じといい、色とりどりで豪華絢爛な装飾といい、まるで「プチ東照宮」のよう。当時の建物は残念ながら終戦間際の戦災で焼失してしまい、現在のは昭和54年に再建されたものだけど、それでも厳かな空気が流れている。
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隣接する小さな資料館では再建の際に行われた発掘調査で発見された資料が細かく展示してあるのが興味深かった。貴重な副葬品の数々はもちろんだけど、中でも遺骨まで調査して伊達正宗本人であることが確証されたこと、また遺骨のレプリカから見事に復元された「リアルサイズ」の政宗、忠宗、忠宗の三藩主の容貌像の展示などは食い入るようにみてしまう。
あと数か月早く戦争が終わっていたら400年前の建物が今ここで見られたのにと思うと惜しい気にもなるが、再建がなかったら、禁断の発掘調査に踏み込むことあり得なかったと思うと、これはこれで400年前のもっとも貴重なものを見せてもらえたようで、なんともいえない気持ちになる。
政宗公の、まさに魂に触れた後、再び駐車場めざして坂道を降りてくる際にふと見つけた「鹿児島県人七士の墓」。木立を抜けると仙台市を見下ろすように、古いお墓が並んでいる。
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明治10年の西南戦争で敗れた薩摩軍の兵士たちのうち、西郷隆盛の叔父をはじめとする305名が仙台の監獄署へ。うち、収監中に病死し故郷へ戻ることのできなかった7人の墓だそう。国事犯といえど温かい待遇で迎えた仙台の人たち、それは自分たちもいろんな歴史を背負ってきたからできることなのかもしれない。

仙台には政宗にまつわる見どころはまだまだあれど、温泉宿で夕飯前に一風呂浴びることを考えると、そろそろ行かなくは。後ろ髪を引かれる思いで仙台を後にする。
北へ向かって車で一時間半。気が付くと空も急に暗くなり、雪がしんしんと降っている。仙台のうららかな春の日差しからは一転してあたりは真冬の光景。
高速を下りてからも、特に山道を走ったわけでもなく、ずっと平坦な国道を走り、うんと山奥に来た感じもしないまま、今宵の宿、鳴子中山平温泉「うなぎ湯の宿琢秀」に到着。でも車をおりると、雪につつまれたし~んとした山里だ。周囲にはさびれたカラオケ飲み屋もあったりするが決して下世話な温泉街ではなく、あくまでも静かな山里。いかにも気取りのない東北の温泉郷という感じ。

「秘湯を守る会」にも入っているこの宿、名物の大浴場「長生の湯」が震災の影響で使用できなくなっているから宿泊代を割引きますと言ってくれたほどだったけど、大浴場以外にも風情ある露天がふたつ、丸いヒノキ桶の露店風呂がついた内湯も二つと、大いに充実。しかもそれぞれ全く趣の違う作りになっていて男女入れ替え制、つまり、異なるぜ~んぶのお風呂を楽しめる仕組みになっている。
夕食前に、まずはMと一緒に露天風呂へ。宿の裏手から専用の草履に履き替え渓谷に向かって下りていく。夕方から降り出した雪がすでに数センチもつもっていて足を取られそうになりながら小さな小屋にたどりつく。「茅葺風呂」と「岩風呂」の二つに分かれていて、今の時間が「茅葺風呂」が女湯のようだ。
さ、さむ~~~。震えながら大急ぎで服を脱ぎ、そそくさと湯船へ…。すれ違いでこれから上がろうとする若い女性が「ぬるぬるして滑りますよ。お子さん、気を付けてくださいね」と丁寧に声をかけてくれる。ぬるりとしたとろみのある湯がここの温泉の特徴。ん?だから「うなぎ湯」というのか?
ふたりきりになったところで、写真撮影。
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Mといまだにこうして女湯に同行できるのも、女の子っぽい風貌もあるけど、やっぱり小柄でせいぜい低学年にしか見えないからかもしれない。そのうち、本人が嫌がるが早いか、宿泊客からクレームが出るが早いか、一緒に入れなくなる日もそう遠くないことを思うと、最近、温泉にくる度にさみしくなってしまう。こんなとき、うちに男の子しかいないことに、ものすごく憂いを覚えたりして。でも、女の子だったら、それこそこんな風に入浴シーンの写真をブログにアップなんて、できないわな。これこそ、男子でよかったと思わねば。雪ふりしきる露天に傘をかぶってあぐらかき…うわ、なんかオヤジくさいぞ。

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夕食は、専用の和室を家族で貸切。若い女将自らが、次々に食事を運んできてくださる。気取りがなくても美味な料理というのはこういうのを言うのだろうか。刺身の盛り合わせも新鮮でものすごくおいしい。びっくりしたのは、いわゆる各人ごとに「固形燃料」を使う系の料理が二つもあったこと。これだけ温泉宿泊まっていながらここが初めてかも。最初の鍋は地元の豚肉を使った「豆乳しゃぶしゃぶ」用。つづいては、これまた地元の和牛の「ステーキ」用。チャッカマン役のMは3×2ラウンドで、計6回も着火できたのが嬉しかったか、妙にご機嫌である。
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父と母には酒をついでまわり、弟には水を強制的に飲ませ…
部屋に帰ったらこの始末。酒乱童子みたい。
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歴児とゆく旅、明日はいよいよ中尊寺です。
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コメント

十夜

初めましてv-222
おもしろい記事だったのでコメントしました。
完全に酔った大人みたいでした(笑)

うちの自己紹介も含めこれからよろしくお願いします。
秋田市に住んでますv-222
今度遊びに来て下さいv-221いい温泉もたくさんありますよv-221
今、4月の誕生日が終わり29歳です。
独身の男ですv-222
本職をしてますが、他に子供達のボランティアを3件してますv-91
秋田市で一番大きな少年サッカーチームで応急処置のボランティア。
ジュニアスイミングのボランティア。
児童センターでのボランティア。
子供達と楽しく、うちもたくさんの笑顔に支えられ毎回頑張っておりますv-91

こちらには結構前から見ていたんですけどねv-15
最近他のご家族のブログにコメントして仲良くなってる方が増えて来てるんでv-34
今回書いてみました。

ritz

十夜様
コメントありがとうございます。
秋田には手つかずのいい温泉がたくさんあると私も聞きました。
今回の旅でも、「ここをもうちょっと山の方へ走って行けば、秋田なのに…」なんて話しながら。
次回はぜひお邪魔したいと思います。
子供たちのボランティアばかり3件も!お若いのにお偉いですね。
でも子供の笑顔にはなにより勇気づけられるお気持ち、わかります~。
気まぐれ更新もいい加減にしろ!の怠慢ブログにおつきあい頂いて本当に感謝です。
これからもどうぞよろしく。
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ritz

広告代理店コピーライター
イタリア家庭料理研究家
HP→http://www.ristorante-ritz.com
著書に「トルテリーニが食べたくて」
日本ソムリエ協会認定ワインアドバイザー
イタリア料理、子育てから、オペラ、日本の旅、秘湯まで。

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Author:ritz
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