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努力賞

2012_3_22
長男Mが入っている少年合唱団の一年間の集大成である定期演奏会も無事終了。
一年生で入団したばかりのころは毎週二回の練習も行くのがやっと。泣き出すこともしばしばで、じゃ辞める?と促せば、いやだ辞めない、歌いたい、でも練習行きたくない、の繰り返し、そんな日々だった。
それでも少しずつ慣れるにつれ、歌うことが好きで好きで仕方がない仲間たちと同じ時を共有する楽しさ、そんな仲間と力を合わせて何倍、何十倍ものハーモニーを築き上げる達成感に目覚め、気がつけば、 海外オペラに出演して世界の一流歌手たちと同じ舞台に立ったり、アニメの吹き替えに挑戦させてもらったりと、いつのまにか親も羨ましくなるような貴重な経験を積むまでになった。
まず感謝すべきは、やんちゃ盛りの男子たちの尻をたたきながら、親よりも厳しく、でも親以上の懐の深さで指導してくださった先生方。
そしてやっぱり褒め称えるべきは、いろんなことを我慢して練習に励んだ子供達であろう。オペラ出演前やクリスマスコンサート、定期演奏会が近づけば、土日とも弁当持ちで特訓、特訓、また特訓。そんな生活を学校と並行してやってのけるなんて、もし自分だったらと思うととてもじゃないが耐えられない。

さて、そんな私がなんとこの一年間、私だったら耐えられないであろう日々を、息子と一緒に送ることになった。つまり、母たちの間で一度は果たさねばならぬ役員仕事である。
団体種目、それが子供のこととあらば、技術に限らずいろんな意味でのクオリティを維持していくためには、月謝払って、ハイ、あとはお任せ~ではなく、こうした親組織のバックアップ体制があってからこそ。それは重々わかっていたのだけれど、子供たちの練習日に合わせてほぼ毎週土曜、特訓に入れば土日とも…、働く母にとって、これが結構つらかった。

週末に開催していた料理教室も思うようにできない。今まで週末で済ませていたはずの用事もすべて滞る。二男はいつの間にかトコトコ歩き、いつの間にかいろんな言葉を覚えているけれど、私はその成長の瞬間、瞬間すら見届けていない。土日とも一日中夫と留守番させていたらすっかり夫になついてしまい「パパ、パパ」とは言うけれど私のことは「オッパイ」としか言ってくれない。子供が一生で一番、日々変化するこの大切な時期を、母である私が共にできないことのもどかしさたるや幾ばくか。
考えてみたら、ちょっと家族で近所に買い物に行く、夫に言いそびれていた平日のできごとを話す、休日のそんな些細な時間ですら、共働きの家にとっては貴重な時間だったはずだ。
どこかで歯車がギシギシと嫌な音を立て始めた感じというか、なんというか。
仕事・家庭・イタリア料理活動の3つのバランスは、土日で帳尻を合わせていたからこそ成り立っていたことを、初めて痛感する。
特に、クリスマスコンサート、1月のオペラ出演、そして今回の定期演奏会と続いた後半はますます殺気立っていたかも。
その間に、母が倒れる騒動があったり、Mの塾通いが始まったり、夢中で目の前の用事をこなすので精一杯。思えば、昨秋11月の夢のようなイタリアの旅から帰国してからというもの、一転して一時も休む間もなかった4か月間は、でも、自分の中では空白のような4か月なのはなぜだろう。

そして迎えた一年のしめくくり、定期演奏会。
一年がかりで練習を重ね、積み上げてきた子供たちの天使の歌声を聴けば、しかしやっぱり、母の苦労なんてあっさり帳消しになってしまうものなのだ。
どんな難産の苦しみも、生まれた子供の顔見た瞬間に忘れてしまうようなものかな。
そしてまた、そんな子供たちの舞台の成功の一端を役員の母たちが大きく担っていることも、誰かにわかってもらおうなんて気もまったく起こらなくなる。
そう、なんてたって、やっぱり一番ほめたたえるべきは、子供たちなんだから。

定期演奏会が終わり、翌々日の卒団式で今年度の活動も終了。
ほとんどの団員が皆勤賞、もしくは精勤賞をもらう中、遅刻やずる休みの常習犯のMは、お情けで授与される、その名も努力賞。
でも本人は「これって努力した人しかもらえないんでしょ?」と自慢顔。
この超ポジティブ思考、少しでいいから母にも分けてほしいものだ。
「どこに飾ろうかな~。ここがいっかな」
と一番邪魔になるキッチンのカウンターに置こうとするので「自分の机の上に置いておけばいいでしょ!」と撤去させたはずなのだが…
Mが寝た後、居間のテーブルに戻ると、私がPCをいじるときの定位置にこれ見よがしに置いてある。
しつこいなあ。もう見たってば、わかったってば。

と、呆れかけたとき、ふと、思う。
これって、もしかして母への「努力賞」おすそ分けってこと?
私の方に向かっておかれた努力賞の盾が、なんだか息子からのねぎらいのように思えてきた。

と、いい気分になりかけたところで、ふと、思う。
これって、もしかして息子に勝る超ポジティブ思考ではないか。

ま、いっか。とにもかくにも、終わった終わった~。
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ritz

広告代理店コピーライター
イタリア家庭料理研究家
HP→http://www.ristorante-ritz.com
著書に「トルテリーニが食べたくて」
日本ソムリエ協会認定ワインアドバイザー
イタリア料理、子育てから、オペラ、日本の旅、秘湯まで。

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