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イタ馬鹿日誌

昼は会社員、夜は母、週末は自宅で料理教室。ristorante-ritz.comのイタリア馬鹿な日々。

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走りっぱなしの一年でした。

Onsen
40をとうに過ぎてから、こんなに走りっぱなしの一年を送ることになるなんて思ってもみなかった。
年の瀬ぎりぎりまで走って走って…2011年の最後は深雪にすっぽり包まれた「天空の宿」に到着。
Mが来月にちょこっと出演させていただくオペラの衣装合わせの後、そのまま直行したので辺りはすでに夕闇の中。夕飯までにひとっ風呂浴びる時間にはぎりぎり間に合った。

ブログもすっかり更新できなかったこの一か月半。11月のMN兄弟の誕生日を過ぎてからというもの、年末に向けてはとにかく目まぐるしい毎日だった。といっても主に子供のことで。母親業を全力でやろうとすると、こうも大変なものかと、恥ずかしいことに初めて気づく。世の専業主婦のお母さんたちを改めて尊敬しなおしてしまうけど、サラリーマンやりながら、専業主婦と同じだけのことをしようとすること自体に、そもそも大きな無理があるというものだ。

イタリアから帰って、兄弟の誕生日を無事に祝い終えたと思いきや、Nのお腹のプチ風邪が飛び火して、私が発熱、つづいて夫がと、どんどん強力になっていく厄介な風邪に次々に打ちのめされ、やっと復活したのが2週間後。さあ、気を取り直して、Nも無事に一歳になったことだし、これからは私の時間、何か習い事でもはじめちゃおっかな~と思った矢先、そんなこと許されるわけないじゃん!ということを思い知る。
具体的にここで列挙するのはやめるとして…
そうこうするうち、Mの入っている少年合唱団のクリスマスコンサートが近づいてくる。水曜、土曜の練習日に加え、日曜も特訓つづき。今年度は母も役員としてご奉公している身、子供たちの練習日に合わせ、毎週土日は役員母たちの作業日と化す。
折しも仕事の休日出勤も重なって、私の貴重な「息をつくための週末」が一切なくなる。これがまたイタリア料理活動には決定的に痛手。毎年12月はクリスマス料理のリクエストに応えて料理教室もフル回転のところ、今年はもう9月からずっと開催できていないではないか。

そんな中、たった一日だけど、無理やりクリスマス料理教室を開催することに成功。一年のしめくくりにどうしてもお目にかかっておきたかった面々と、どうしても作っておきたかった料理。
pollofarcirto
恒例の丸どりは豚肉やレバー、ベーコンなどのペーストを詰めたウンブリア風。縫合から切開まで外科医のH先生による見事な手さばき。鶏さんのお尻は、なんと針もないのに楊枝と糸だけで縫い上げられ…す、すばらしい、財前教授!じゃなくってH教授です。
gnoccofritto
モデナ名物ニョッコフリット。秋のイタリアで、当然死ぬほど食べることになるだろうと予想したにもかかわらず、なんと一度も食べる機会なく終わってしまったニョッコ。となると、寝ても覚めても食べたくて食べたくて、帰国して最初の料理教室で絶対メニューに載せようと決めていた。
risotto
これまた行ってきたばかりのピエモンテのお料理。ラスケーラという貴重なチーズをふんだんに使うリゾット。今回、このリゾットをより正確に再現したくて、修行先だったカステッロのリゼッタにわざわざ馴染みのチーズ屋を紹介してもらい隣町にまで買いに行ったのだが、阿呆なことにそのチーズを、最後のステイ先のモデナのパオロんちの冷蔵庫に忘れてきてしまったという顛末。挨拶回りに奔走した今回の旅は、実は、すべての滞在場所に忘れ物をしてきてしまったといってもいいほど失態続きだったのだが、これぞ、最後の最後をしめくくるにふさわしいくらいの最大の大失敗。
で、私たちの2週間後に同じくピエモンテを旅したM子さんが、同じチーズ屋にわざわざ出向き、同じチーズを買ってきてくださったという次第。
お騒がせリゾットのお味は…好評のようで、まずはひと安心。これで無事に年も越せる気がしてきた。
tavola


仕事に、料理教室に、役員仕事に、なんたって乳児の世話に…日々忙殺されながら、クリスマスコンサートの本番だけが忍び寄る毎日。
弱冠9歳の子供に、ろくにクリスマス気分を味あわせてやることもできない自分がなんとも情けない母に思えてくる。
「ママ、すごいの持って帰ってくるから。楽しみにしててね」
学校の図工の時間につくったクリスマス用の紙製ステンドグラスも、他のお母さんたちは、ステンドグラスを手に自慢げに帰宅した子供を「すごいね~」と、いの一番で迎え入れてあげるのであろうけど、私は、翌朝、Mが学校にでかけて行ったあとで初めて気づく。
窓に張られたステンドグラス。きっと昨日の午後、学校から帰って真っ先に、ひとりで窓に張り付けたのであろう。
朝の陽を受けてテーブルいっぱいに差し込む色とりどりの光。Nが楽しげにケタケタ笑っている。
ごめんね、M。ダメ母を許してね。Nちゃんも気に入ったみたいだよ。なにより、殺風景な我が家にクリスマスの光をともしてくれて、本当にありがとう。
vetratacolorata

クリスマスで賑わう街に繰り出す機会もないMだけど、文句ひとつ言わずに土曜も日曜も特訓に通う、そんな姿もまた、成長を感じずにいられない。
サンタさんからもらうプレゼントに思いをめぐらす時間も、まさになかったということだろう。彼の机の前にはこんな手紙が張られていた。
lettera
おまかせの結果、届いたのはマンガ日本の歴史全23巻。サンタさんも、いよいよ2月から彼の生活が一変するであろうことをわかってるのね…。せめて日本史くらいは遊びながら学んでよし!ということだろう。がんばれ、歴児。

一方、合唱の方は、今年もズバリ24日、25日のクリスマス両日にコンサート。
母同士のつきあい&母としての仕事がもっぱら不得手ゆえ、役員仕事も他のお母さんがたに迷惑かけっぱなし。せめてもの罪滅ぼしに、バザーで販売するためのお菓子づくりとりんごジャムづくりに精を出す。
久々のクチーナ引き籠り作業、ついつい悦に入ってしまい、二日続けてほとんど徹夜。
それでも、1年前の今頃に授乳、授乳でオッパイマシンと化していた、あの頃の徹夜つづきに比べればなんとも本望な夜なべ作業だ。産後の完璧な肥立ちは1年と聞いたことがあるけれど、その通りかも。あっという間の1年だったけど考えてみたら一歩一歩長い道のりの一年だったのかもしれない。やっと自分が戻ってきた、そんな感傷に浸りながら、3つのオーブンをフル回転させつつ、白々と夜は明けていくのだった…。
dolci
marmellata
さて肝心のコンサートの方は、子供たちの日ごろの努力の集大成、男子だけの天使の歌声に親バカ母たちは懲りもせず今年もうるうる…。どこにも遊びに行かれなかったクリスマスだけど、これだけ多くのお客様たちにとびきり素敵なクリスマスプレゼントもお届けできる、そんな経験こそ誰にだってできることじゃない。
ここまで、会社の仕事も料理の仕事も、そして乳児Nのことすらもさておいて注力そそいだ母だけど、そんな頑張りなんて、彼の頑張りに比べたら鼻くそみたいなもんだ。
素敵なクリスマスを、ありがとうM。


さて、余韻に浸る間もなく翌26日は久々にまともに会社に顔を出し、今度はこっちの罪滅ぼし。
そんでもって27日は、今度は1月のオペラにちょこっと出演させていただくMたちの衣装合わせ。
で、その衣装合わせが終わるのを待って、そのまま高速をぶっとばして雪山にたどり着いたというわけだ。

年末年始もこのオペラのリハーサルが入るため、泣く泣くスキー合宿をキャンセルした経緯もあって、27日から2泊で予約していたのだけど、正直、旅の支度にとりかかる時間すらなかったのと、とにかく家で一息つきたいのとで、まったく気が進まなかったのだが…

長野県は須坂市から山を登ること数十分。山田温泉からさらに雪道を上った果ての果て、小さな温泉集落、奥山田温泉に到着したのは、日も暮れかけた5時半ちかく。
車から出て、し~んと静まり返った雪の中に降り立つと、そこはもう天空の別世界。きゅ、きゅ、と雪を踏む音を聞きながら研ぎ澄まされた空気を吸うと、下界で汚れた身と心がすーっときれいに洗われていくような気もちを覚える。
この宿、訪れるのは実に5シーズンぶり。
前回、初めてここを訪れた際に記したブログを掘り起こして読んでみると…なんだか同じようなことが書いてあるぞ。
↓↓↓
http://ristoranteritz.blog92.fc2.com/blog-date-20070212.html


Panorama_tramonte
ちょうど沈みゆく夕日と、今宵の三日月が、北アルプスの上でバトンタッチする時間帯。
こんな荘厳な景色を見ながらお湯に浸かれるなんて、まさにこの世の極楽だ。
これだけのロケーションにありながら、いや、あるがゆえに、ここまで完璧な夕景を見れる機会は一年の間でもそうそうないのだとか。確かに、前回訪れた時はここまで景色に感動した記憶がない。

「おっちゃんが若い時は、もっとすんげ~きれいに見えたのよ。アルプスも、端から端までぜ~んぶ。こんなもんじゃないよ」
そう語るのは、今回も元気な姿を見せてくれたのが何より嬉しい、先代の文四郎おじいちゃん、昭和4年生まれ。
今回、連泊したこともあり、またおじいちゃんの海軍兵学校時代の話に私たちが興味を持ったこともあり、すっかりお親しくなってしまった。
bunshiro
朝ご飯時、夕ご飯時、こうして毎回私たちのテーブルに足を運んでは、4人兄弟の末っ子でお兄さん二人は特攻隊で玉砕したこと、山本五十六やマッカーサーの話から始まって、終戦後アメリカ兵に「日本の海軍にはこんなかわいい少年がいるのか」と可愛がってもらったこと、はたまた奥山田温泉の集落が一頃より半分近くに減ってしまったこと、あんたら奥山田に家を買わんかね、なんて話まで延々と。
ご飯処から他の宿泊客もとっくにいなくなり、最後は、おじいちゃんの娘さんで宿の創意工夫にあふれた料理人でもあるおばさんが、「はい、こちら、お下げしてよろしいですかね~」と割って入り、(お父さん、もういいかげんにしてくださいよ)といった合図で本日も講義終了となる。

さて、宿に続けて二泊することにしたのは他でもない、中一日でMにスキーをさせてやるためだ。
宿のすぐ裏手には古びた小さなスキー場。5年前に来た時は当時まだ4歳になったばかりのMとは雪遊びで終わってしまったけれど、すいているし、のんびり滑るには打ってつけ、しかも新たに乳児の増えた今となっては、部屋で待機していられるのも便利。
で、夫とMを送り出した後、私はNと、布団も敷きっぱなしの温かい部屋でひたすらゴロゴロ…。

このあたり、完全に「圏外」で、メールもできなけりゃFacebookものぞけない。まさに俗世からシャットアウトされた天上人の気分。
部屋の窓から、昨日の夕景とはまた違う雄々しき北アルプスの姿、遠く長野市街が一望に。ぼ~っと見ていたら、この一年、下界で味わったさまざさまできごと、嫌なこともつらかったことも、小さなことに思えてきた。
Panorama_giorno


人間って忙しいと、そして忙しい人と人とで何かコトを進めなくちぇいけないとなると、誤解や軋轢も生じるというもの。年の瀬は特にそれが顕著で、この歳になって傷つくことも久々に味わった。それでも成りふり構わず走って走って走り続けて埃だらけになった身と心が、気乗りしないまま駆け込んだ雪山ではからずも浄化されていくのがわかる。
ああ、来てよかった…。

午後はNも外に連れ出して、雪山初体験!
camera
slitta_Neo

宿のご飯処から望む長野市街の夜景。できれば、あと5回くらい見続けたい。つまりおさんどんつきの天国で、このまま年を越せたら、ほんとの極楽なんだけどな…。
dallafinestra


完全浄化したばかりだというのにそんな俗っぽい考えが頭をもたげたところで、さあ、下界にもどってまた日常のはじまりだ。まずは何も手を付けられずにいた大掃除、正月の支度もしなくっちゃ、おかざりは?鏡持ちは?おせちの準備もしないと。あ、そうそう、録画したままずっと見る時間のなかった「坂の上の雲」もまとめて見るぞ~!

なんて息まきながら家に帰ると、なんと、母が28日に緊急入院。二日で退院したと思ったら、大晦日に再び救急車のお世話に。
幸い大事には至らず、年明けにいろいろ検査をするまで自宅安静、なんとか無事に三世代揃って年越しできたものの、結局買物も行けないまま、おせちの準備にとりかかったのは大晦日の夕方。
紅白歌合戦聞きながら、栗きんとん、田作り、黒豆、鶏松風、出し巻き卵、お雑煮で、除夜の鐘のタイムアップ。人生で最高に質素なおせち料理となる。
ええい、今年は思いきり手抜き正月だ、寢正月だ、と決め込んだら、今度は丈夫だけが取り柄の一歳児が発熱。
神様はなかなか私を立ち止まらせてくださらなようで。
今年も走りっぱなしの一年なのだろうか。そんなあ…。
tavoladelcapodanno

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ritz

Author:ritz
イタリア家庭料理研究家
本業は広告代理店コピーライター
1999年以来、毎年有給休暇を使い果たす作戦でイタリアへ料理修行。年に1〜2回のペースで子連れでイタリアの農家やマンマの家々を転々としています。
HP→http://www.ristorante-ritz.com
Facebook"マンマの台所Ristorante Ritz"→https://www.facebook.com/ristoranteritz/

著書に「トルテリーニが食べたくて」
日本ソムリエ協会認定ワインアドバイザー
U.M.A.O.オリーブオイル鑑定士
イタリア料理、子育てから、日本の旅、秘湯まで。

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