FC2ブログ

親は放電。子は自家発電。

2011_10_10_torta

長男Mが所属している少年合唱団の、年に一度の家族向けコンサート。
会場の賑やかしのひとつ、バザーで売るお菓子を焼きまくる。
Torta di Castagna(栗のケーキ)は和栗入り。八百屋で買い占めた茨城県産の栗をせっせと剥いて軽く甘露煮にし底に敷き詰めてみた。Torta di nocciola(ヘーゼルナッツのケーキ)はイタリアのお土産に頂いたヘーゼルナッツを使用、ピエモンテ州修行時代を思い出しながら作ってみた。さて、売れるかな。

毎年秋に開催されるこの内輪コンサートは、4月に入った新入団生の初舞台でもあり、親睦を深める懇親会でもある。歌ありジャンケン大会あり、最後には上半期に外部出演などで活躍した団員たちを先生が父兄の前で表彰してくださる機会もある。
1~2年生の頃は、ふ~ん、あんな風に活躍する日がいつかうちの愚息にも訪れるものなのかね…と他人事のように上級生たちを見ていたものだが、なななんと想定外なことに、早くもMが表彰してもらえる時が訪れてしまった。

CSで来春放映開始予定のディズニーのアニメ、その一つの役の吹き替えオーディションに、合唱団からMを含む4名が送り込まれたのが5月末(確か私の誕生日だったような)。
オーディション要因に選ばれただけでも、こりゃビックリな話だったのに、他から集まった多くの子供たちの中からうちのMが選ばれてしまったなんて、一生分の運を使い果たしてしまったんじゃないかと不安になってくる。

その収録が、7月から9月末まで3カ月に渡って、ほぼ毎週日曜日、時には平日も。
イタリアに行っていた時を除けば夏休みも返上して通った息子。
帰国の翌日から、合唱団の特訓に、さらに居残りでアニメ用の歌の練習に、そんでそのまま収録なんてこともあったし、学校の運動会のあとにスタジオに駆け込んだこともあった。
家に帰れば原語の元DVDを観ながら台本片手に歌と吹き替えの練習。あ、いけない宿題忘れてた、と慌てて算数と漢字のプリントにとりかかり夜中の12時を回ってしまうことも多々あった。
こんなにタイトでぶっ倒れるんじゃないかと気が気じゃなかったけれど、当の本人は疲れた顔一つ見せず、道を歩いていても車に乗っていてもお風呂に入っていても歯磨きしていても、とにもかくにも鼻歌ばかり。練習中の歌が無意識について出てくるらしい。
「♪フオッホ~ホホホ~ゥ♪ いいなあ、かっこいいな、この部分。ボクも歌いたかったな」などと他の子のパートまで完璧におぼえていたりする。
親の心配をよそに、むしろ大好きな「歌」漬けの日々を心から謳歌していたような、今にして思えばそんな気がする。

そのMがこうしてステージの上にひとり呼ばれて、先生から表彰して頂いているのを、やはり涙なしでは見ていられない。
記念品はアニメの配給元にちなんでディズニーランドの家族分入場券。そしてもうひとつは本人には内緒のサプライズ。
事前に合唱団の事務局の方から「Mくん、最近なにか欲しがってるものありますか?」と聞かれ、実は私の方からお耳に入れさせていただいたのだが、それはなんと…
“指揮棒”。

6月のメトロポリタンオペラに出たのを機に、なぜか急に指揮に興味を持つようになったM。
舞台側から間近に目にしたピットの中のファビオ・ルイジは相当かっこよく彼の目に映ったらしく、以来、箸、鉛筆、定規、楊枝…棒という棒を手にしては、宿題も食事も中断し指揮者をまねて振り回しては「こらっ!Nの前で危ないからやめなさいっ」と私に怒鳴られるの繰り返し。先日たまたま通りがかった楽器屋で指揮棒を見つけ、仕方なく夫が一番安い600円の指揮棒を買ってやったものの、「これじゃ、なんだかプラスチックの箸みたいで安っぽいよ。もうちょっとちゃんとしたのが欲しかった…」などと小声でブツブツ言っていたのだった。

もじもじとステージに立ちながら、記念品を受け取るM。がんばったね!と心からそう言いたい。
「あんなに小ちゃかったMくんがこんなに頑張って…なんだかうるうる来ちゃった」
入団同期生のお母さんが温かい声をかけてくださり、再びじ~ん。
ほんとうに、ついこの間まで背丈だって下級生が入団しても相変わらず一番チビだったのに、そういえばいつの間にか、一番チビも免れている。やだ、やだ、合唱行きたくないと泣いてぐずっていた頃が今となっては懐かしい。たった2年でずいぶん成長したものだ。

そんな兄の姿に感動しきりで、またもや弟の存在を忘れていたが、そういや連れて来てたんだっけ。祖母の膝の上にちょこんと座ったまま、泣きもぐずりもせず兄たちのステージにつきあっている弟もまた、考えてみたらずいぶん成長したものだなと思う。
2011_10_10_hall

私がぼ~っと放電している間に、子供たちはすくすくと育つ。かまわなくても自家発電して勝手に育つ。発電したそばから電気を消費して、どんどん動いて、成長して…。

コンサートの帰りは、頑張ったごほうびにMのリクエストでホテルのレストランへ。
さっそく指揮棒をとりだしたMと、こんなときはせっかくだから記念写真。
と思ったのに、げげっ、また変顔してるよ、アホ息子。やめなさいっちゅうのに、ほんとアホ…。

無駄な電気を消費するのもまた、子供ならでは。それでも電池切れには程遠いんだから、ああ、若いって羨ましい。母にもその電力を分けておくれ。
2011_10_10_hengao


スポンサーサイト



コメント

非公開コメント

ritz

広告代理店コピーライター
イタリア家庭料理研究家
HP→http://www.ristorante-ritz.com
著書に「トルテリーニが食べたくて」
日本ソムリエ協会認定ワインアドバイザー
イタリア料理、子育てから、オペラ、日本の旅、秘湯まで。

Profilo

ritz

Author:ritz
広告代理店コピーライター
イタリア家庭料理研究家
HP→http://www.ristorante-ritz.com
著書に「トルテリーニが食べたくて」
日本ソムリエ協会認定ワインアドバイザー
イタリア料理、子育てから、オペラ、日本の旅、秘湯まで。

Calendario

01 | 2020/02 | 03
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29

月別アーカイブ

FC2カウンター

ブロとも申請フォーム