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大沢館3年ぶり

furo_yori
さて、そんな合唱レッスンの合間を縫うようにして、行ってきました「大沢館」3年ぶり。
宿に電話してみたのはつい先日だというのに、こんなゴールデンウイークまっただ中にあの大沢館が空いていたなんて奇跡に近い。やっぱり震災の影響だろうか。

新潟県南魚沼郡塩沢町。日本一の米どころにあるこの宿は、白いご飯が日本一おいしい宿でもある。おそらく日本一ぶっきらぼうなご主人なのに誰もがもう一度会いたいと思って通ってしまう宿でもあり、素朴な食材しかないのに日本一飽食の宿でもある。
…と私なりに感じる日本一を数えあげればきりがないが、つまるところ12000円~15000円という価格帯でこんなにもいい気分にさせてくれる宿は、ここを置いて他にないことだけは確かだろう。
なんてあたりのことは、前回訪れた際に確かブログでも…すでに語りつくし済み。(http://ristoranteritz.blog92.fc2.com/blog-date-20080123.html

私たちも1~2年に一度は足を運ばないと気が済まない「大沢館」、今回は実に3年ぶり。
「天地人」の舞台として地元がブームで湧くさなかの2年前に来る予定だったところ、「天地人」にはまり最も楽しみにしていたM自身がインフルエンザになってしまい、泣く泣くキャンセルした経緯がある。

久々の大沢館に逸る気持ちにさらに輪をかける理由がもうひとつ。今回は、学校の仲良し、Sちゃん親子も一緒の旅。
さっぱりした性格のSちゃんと、バーバの血を思い切り受け継いだMは、二人とも、どちらかというと「中性」っぽい。不思議と男女の枠を超えた共通項があるようで喧嘩もしなけりゃべたべたもしない、お互い延々と自然体でいられるところが居心地がいいのだろう。子供もそうならママ同士もしかりで、仕事で休めなかったパパを置いて母子で合流してくれた。
Nのチャイルドシートが車内で幅を利かせる今となっては、さすがに定員オーバーでの長距離もかえってキケンなので、Sちゃん親子には新幹線で来てもらい越後湯沢駅でピックアップ。

東京は汗ばむほどの初夏の陽気だったというのに、こっちは道路の脇にまだ雪がたくさん残っていて、スキー場の上のほうには十分滑れそうなくらいの雪がついている。それでも目を下にやれば田んぼのあちこちに点在する満開の桜の木。雪と桜を一度に見る機会なんてそうそうない。
そんな山里の光景を堪能しながら、まず向かった先は、手打ちそば体験のできる「上田の郷」。
体験施設というより、地元のおばあちゃんが始めた食堂で、家庭に伝わるおそばの作り方を体験させてくれるといった感じで、お客さんはむしろ蕎麦を食べにくる人のほうが多い。
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そば粉の中におばあちゃんが布海苔をどば~っと注いで、まずは捏ねる、捏ねる。
「布海苔でつくるのが、いわゆる越後の“へぎそば”っていうことなんですかね?」
と尋ねるも
「いや~、アタシらもよくわかんねえで。普通の蕎麦とどう違うんだか。ね~」
蕎麦といえば、子供のころから食べてるへぎそばのことを指す、と言わんばかりの、おばあちゃんのあまりの無頓着さに、心が和む。
こんなチビでも、やはり男子は力があるのね。Mが全体重を麺棒にかけると蕎麦の生地がどんどん伸びて行く。
そしてこんな小さくてもやはり女子は器用なのね。Sちゃんが切る蕎麦は、ほそ~いのに幅がきちんと揃っていて本当にきれい。一方、Mのそれはまるで別物、「タリアテッレ」になっている。
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厨房で茹で上げ、運ばれてきた蕎麦は、なんとまあいい香り。太さはまちまちだけど、そこはご愛嬌。蕎麦つゆにつけるのがもったいないくらい、蕎麦だけをかみしめているだけで十分においしい。
手打ち体験させてもらった蕎麦は3人分。ちょっと足りないかなと思って追加でうどんを注文してしまったことを、蕎麦を食べ始めてからすぐに後悔する。大人3人はもちろん、食の細いMやSちゃんまでもが何度も何度もおかわりしているというのに、食べても食べても減らないのだ。
soba_yude

やばいぞ。ここでお腹いっぱいになって果ててしまうわけにはいかない。腹ごなし、腹ごなし、というわけで、すぐ近くの禅寺「雲洞庵」へ。
大沢館の近くの観光どころといったらこの「雲洞庵」くらいしかないので何度も来たことがあるのだが、この寺が何を隠そう、あの直江兼続が幼少期に修行に出させられた(例の「こんなところに、来とうはなかった!」という、あの)寺であることは、大河ドラマを見て初めて知った次第。
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相変わらず、苔むした庭、草ボーボーの境内、暗くて寒い廊下…、これを侘びの世界というか、手入れが行き届いていないというかは微妙なところ…。

「雲洞庵」を隅から隅まで歩き回っても、まだお腹がすかない。ううむ、困った。が、チェックインまであと少ししかないので、宿に向かおう。
お腹をできるだけ減らさなくちぇいけないのも、宿でできるだけ多くの時間を費やしたいのにもワケがある。
それは、宿のいたるところに「おやつ」が用意されているからだ。

国道を逸れ、山道を数百メートルのぼり、勢いよく流れる沢を渡ると、宿に到着。
「まずはね、玄関入る前に焼き芋スポットがあるの。これがまたおいしいのよ。今日は焼けてるかな…」
なんてSちゃんママに“先輩風”を吹かしながら門をくぐると…
「ど~ぞ~!よかったら焼き芋どうぞ。持ってらしてくださ~い」
玄関の扉があいて宿の人が叫んでいる。
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この宿には女将も何もなくい。名物(?)主人を除けば、奥さんと近所のお手伝いさんのおばさんとの区別もつかず、みんなエプロン姿。今回も、エプロン姿のおばさんに案内されて部屋へ。リピーター客がほとんどだから、これといって説明もないまま部屋に通されるというのが大沢館のスタイル。
まずは真っ先にお風呂へ。
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男湯の半露天風呂は湯船の端っこが部屋から丸見え。この半露天風呂がまた、冬に来ると深い雪山の中にすっぽり包まれたようになり、すごくいいのだ。今年は寒波つづきの冬だったこともあり、宿の周りにもまだまだ雪が残っている。

半露天へとつづく渡廊下に用意された何種類ものアイスキャンディーは風呂上りの楽しみ。子供たちは、すでに宿に到着早々、群がっている。
渡り廊下の手前には、甘酒も。その隣には、お湯をはった石桶の中にこんにゃくがぷかぷか浮いている。これは隣に置かれた自家製味噌をつけて頂く。
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しまった!こんなにおやつに手を出してしまったら夕飯が食べられないじゃないか!
と不安になるも、日本一のコシヒカリの前では、否が応でも箸を止められないのが日本人というもの。MもSちゃんも、昼間のお蕎麦から、ずっと食べどおしでまるで別人だ。いつもこうなら、二人とも小3の平均身長をたやすく上回れるのにね~。
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この宿のもうひとつの「夜ご飯の名物」といえば、なんといってもここのご主人。
昼間はそっけないし、電話の対応も無愛想なんだけど、夕飯時になると、顔を赤くして各部屋に一升瓶片手にやってくるのだ。
夕飯の最初に、おばさんが「飲み物はどうします?日本酒は…あとでうちの社長がまわってくるからねー。日本酒以外にしておけば?」的な言い方をしていたのがつくづく納得。
なんたって、ご主人、ビール用のグラスを無理やり空けさせ、「これ、八海山の新酒ね」といってドバドバとついでいくのだから。
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それでも今回は、早々にやってきたからまだこれから他の部屋を回るのだろう。
「赤ちゃん、お風呂入るとき気をつけてね。滑るからね」
と言って夕飯時にしては珍しく言葉少なに部屋を出て行った。

ご飯が終わると、またお風呂。今度は内風呂で、Sちゃんママに手伝ってもらってNも湯に浸からせてやる。お湯が熱いので、家から持参した沐浴桶を持ち込んで。こんなことを許してもらえるでのもまた、この宿の魅力。
お風呂上りに、今度は玄関入ってすぐの、冷水を張った中にたくさん泳いでいるリンゴを収穫。
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寝る前は、囲炉裏の部屋で焼きおにぎりを焼き、おもちを焼いて…いったいいつまで食べ続けるの、この子たち…。

翌朝はさすがにお腹いっぱいの子供たち。
それでも宿にはまだまだ新しいアメニティが。半露天への渡り廊下で、昨日の夕食にもでてきた山菜、コゴミと土筆をSちゃんママが発見!
ここでは、どんな子供だって、テレビもゲームも必要ないはずだ。
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これだけ宿で自然の恵みを堪能し、とどめは…
実は、九州のあっこさんが湧き水を入れて送ってくれた20リットルの空いたポリタンクをしのばせてきた我々。最後に勇気を出してご主人に聞いてみる。
「あの…この辺で、飲み水用の湧き水を汲ませてもらえるようなところって…ありますかね?」
するとご主人、ひとこと。
「んなの、ウチだよ」
なんでも、大沢館の館内の水はすべて湧き水をひいていて、お米がおいしいのもその水のおかげだ、とご主人。
「どこの蛇口ひねっても、おいしい湧き水だから、好きなだけ持って帰りな」
う、うれしい~。
お土産に買った八海山、そのお釣りをせめてものお礼にと
「お釣りはいいです」と言うも
「いや、釣りは釣りだ。水はタダだ」
うう、ありがとう、ご主人。
そんなやりとりをしながら、ふとうちの愚息と目があったご主人は
「ボク、将来なにになりたいの?」
「…都知事です」
「いーね!最近さ、この質問するとみんな消防士か自衛隊っていうのよ。もうつまんないくらい。都知事ときたか、いーね!」
と褒められたそばから「あ!部屋に忘れ物した!」と一目散に部屋へ駆け上がっていくMを見ながら「おいおい、だいじょうぶか~知事」とつぶやいている。
朝なのに、無愛想じゃないご主人。最近は、夜のお酒も翌朝まで残りがちなのかな。
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ふと「大沢温泉大沢館」の名前を思う。そうか、宿の前にこれだけ豊かな沢が流れてるんだものね。水がたくさん湧いてるわけだわね。だから「大沢」なのよね。


さて、宿をチェックアウトしたあとは、今度は観光マップに載っていた陶芸体験へ!…のはずが、途中で横切った通りが一瞬視界に入った瞬間、全員「なになに?!いまの道、なに?!なんか江戸みたい!」というわけで、急遽予定変更で散策タイムに。
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塩沢駅近くの、おそらくは普通の商店街であっただろう通りが、数百メートルにわたってまるで江戸時代にタイムスリップしたみたいな作りになっている。
三国街道塩沢宿牧之通り。
後で調べたところによると、地元の組合が2002年から整備を始め、街並みを白や黒の建物に統一し、電線を埋設させ 江戸時代の旧三国街道の宿場町を再現したのだとか。
古い酒屋さんや和雑貨のお店などもあり、若い二代目の世代が趣向をこらして頑張っているのが伝わってくる。お茶と練りきりのサービスもあったりして、行き当たりばったりだったけど、思いのほか楽しい時間をすごしてしまう。

最後は越後湯沢駅近くのすし屋でお昼ご飯を食べ、Sちゃん親子を駅まで見送りがてら、越後湯沢のお土産コーナーへ。これがまた、新潟物産テーマパークといってもいいくらいの充実ぶりで、朝どり山菜から、温泉まんじゅう、ホワイトチョコ柿の種、おかき…とショッピングハイになってしまい買いまくる。どさくさに紛れて、Mにイナズマイレブンの腕時計を買ってやってしまったことだけが不本意だが、まあ良しとしよう。

そんなこんなで1泊2日にもかかわらず、しかも何度も行ってる大沢館だったにもかかわらず、なんだかとっても新鮮で、とっても濃い時間だったのは、ひとえにSちゃん親子と一緒だったからに違いない。
同じ価値観を共有できる仲間と行く旅は、おのずと次から次へお楽しみに出会うものだ。
合唱で明け暮れて終わっていたはずの連休に、思いがけず楽しい思い出ができたことに、感謝…。


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ritz

広告代理店コピーライター
イタリア家庭料理研究家
HP→http://www.ristorante-ritz.com
著書に「トルテリーニが食べたくて」
日本ソムリエ協会認定ワインアドバイザー
イタリア料理、子育てから、オペラ、日本の旅、秘湯まで。

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