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欲望の京都旅行 ~一日目~

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昨夜は豪雨が降り続いた東京を離れ、西に向かうにつれ、いつの間にか新幹線の車窓にははまぶしいくらいの陽が差し込んでいる。天気は西から変わるというけれど、まさしく太陽を先取りする形で、11時過ぎに京都に到着。
まずは今夜のホテルに荷物を預け、いざ「龍馬の足跡めぐり」スタート。
晴れたのは助かるけれど、今日から10月というのが信じられないくらい強い日差しに、2~3分歩いただけで汗だくになってしまう。
御池通りに位置するホテルから、高瀬川沿いの小道を南へ下ると、ほどなく「武市半平太寓居跡」、
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高瀬川にかかる風情ある三条小橋を渡れば「池田屋事件」の池田屋跡が。
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龍馬の海軍操練所仲間の亀弥太が会合に参加したことがばれて、操練所が解散に追い込まれた、あの池田屋事件…負傷した亀弥太はどのあたりまでにげて命尽きたのだろうか。そのまま東へ数十メートルほど行った三条大橋の橋の上には、そのときの志士たちと新撰組が戦った刀傷の跡があるというが…ホント?!
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あっ、あった!見つけたぞ!橋の南がわ、東から二番目の柱にくっきりと。140年以上経つ今の世に、当時の生々しさをそのまま伝える傷に思わず感激。
高瀬川沿いに戻って足早に南へ下る途中に、土佐藩邸跡も発見。よかった、見逃すところであった。近くには、通称土佐稲荷ともよばれる岬神社も。土佐藩敷地内にあったものの、もともと地元町人の信仰があつく、土佐藩も地元民の通行を許可していたという。
…なんてあたりの情報は、事前に集めた資料本やネットなどによるもの。お恥ずかしい話、すっかり親のほうが躍起になっているではないか。
片っ端から龍馬の足取りをしらみつぶしに回ろうとしている私…。しかし親バカともちょっと違う。その昔、自らも幕末にはまった思春期時代のころにふとタイムスリップさせてもらってるような、ある意味、こうして息子と一緒になって夢中で歩き回ることが楽しくてしかたがないのである。

さて、我々はなぜに足早に南へ下っているかというと、祇園の近くの割烹に昼ごはんの予約をしていたから。時刻はすでに、約束の12時半を回っているではないか。急げ。
「梨吉」という、路地裏にある小さなこの店、初めて訪れたのは、結婚前に夫婦で京都を旅したときのことだから、もう15年近く前のこと。
奇をてらわないオーソドックスな料理の数々、素材の味が存分に楽しめるシンプルな盛り付け。余計な装飾品を一切必要としないストイックな店内や、美しいヒノキのカウンターがますます料理の味を引き立ててくれる、そんな店。それでいてとっても気さくなご主人と奥様の対応が、京都という敷居の高さをすっかり取り払ってくれるのだ。
息子のMが生後4か月のころに、イタリア料理の仕事で京都を家族で訪れた際も、奥の座敷を開放してくださって、座布団にゴロンと寝かせて料理を堪能させていただいた。
その後、Mを連れて2~3度京都を訪れているものの遠のいていたのだが、今回の京都行では、どうしても久々にお邪魔してみたくなった。
というのも、去年の今頃だっただろうか、ふとテレビをつけたらいきなりここのご主人が映っていて、
「いやあ、私はお断りしたんですけどね、こちらに何の連絡もなしに、掲載されちゃったんですわー」
と、つまりはミシュラン京都版の話。巷のシェフや板さんたちが、ミシュランに載るか載らないかで浮かれたり落ち込んだりしている中、なんという実直さだろうと思うにつけ、あらためてご主人の料理が食べたくなったのだ。その話をすると、
「いやあ、ご覧になりはりました?私、おこってましたやろ」
いやいや、あくまでも穏やか~に苦言を呈してらっしゃいましたよ。
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平日ということもあり、お昼のお客はどうやら私たちだけ。残念ながら奥様にはお目にかかれなかったけど、こうして息子と一緒に「横並び」でヒノキのカウンターで料理を堪能できる日がくるなんて、前回訪れた生後4か月のあのころは想像だにできなかった。
子供の相手も上手なご主人のおかげで、京都での第一食目を優雅に、そして楽しく終えたのであった。満足、満足。

さあ、ゆっくりしている時間はない。次なる目的地は、幕末の志士たちのお宝満載「霊山歴史館」だ。
中でも必見は、龍馬暗殺の際に使用されたといわれる刀。天井の低い近江屋での暗殺をあらかじめ想定して、二尺にも足りない、なんと脇差であった。
薩長同盟の際に龍馬が証として記した朱書きの裏書も展示してある。
売店に行くと、龍馬や新鮮組のみならず、高杉晋作、桂小五郎ら、幕末スターたちのストラップやキーホルダー、携帯用のステッカーなどが並び、修学旅行の女子高生たちが
「きゃーこういうの欲しかったん。沖田さまのもあるかしらん」などきゃーきゃー盛り上がっている。
考えてみたら、私も高校生の時に親の許しを取り付けて、幕末好きの友達4人で京都を旅し、もちろん真っ先にここを訪れたことがある。…が、刀も朱書きの裏書も、まったく記憶になく、ただ龍馬の巨大ポスターだけを購入した覚えがあるだけ。私も、こんなだったんだな~と、おもわずほほえましくなってしまったオバサンである。

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霊山美術館を出て、そのまま背後の山を登れば、そこは丸ごと、勤皇の志士たちのお墓。
龍馬と慎太郎も、暗殺された際に軍鶏を買いに行かされていた藤吉も、一緒に眠っている。墓の手前には銅像も。
ふりかえれば日が傾きかけた京都の町が見事に一望。二人はこの景色をどんな思いで見ているのかな。
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ここまで来れば、高台寺も清水寺も目と鼻の先。とはいえ時刻はすでに4時。両方見ている時間はない。ガイドブックの写真をMに見せ、どちらに行ってみたいかと尋ねると迷わず「きよみずでら!」。
そりゃそうだよな。この夏のJR東海のキャンペーン“父さんが連れて行く京都”のポスターの写真がまさに清水の舞台だった。そしてそのポスターを見ながら、ならば我が家は“母さんが連れて行く京都”にするつもりが、あまりの猛暑で“母さんが連れて行く下田”で諦めさせたという経緯もあった。

霊山から、静かな維新の道を下り、清水方面へ坂を上りだすと、次第に人、人、人…といつの間にか観光客でごったがえす参道を歩いていることになる。
中でも、外国人、とくに中国人観光客の多さは、もしかしたら銀座以上かもしれない。 
延々と坂を登り、やっと山門に到着。ここからさらに階段がつづく。
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この清水寺、M自身も幼少のころに訪れているはずだが、当然記憶にないらしく
「いやーすごい、すごいなー」とかつぶやきながら、シャッター押すにもずいぶん気合が入っている。
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それにしても、清水寺は妊婦にはさすがにつらい寺のひとつ。帰り道はもうくたくたで、当然、バスに乗る気力もなく、参道出口からタクシーに倒れるように乗り込むのだった。とほほ。

ホテルで一休みしてから、夜は今回の旅のもうひとつのお楽しみ、「知人と会う」シリーズの一晩目。
実は、お世話になっていた会社の元上司二人が、リタイヤ後に京都の美大で教鞭をとっていて、そのお二人と夕食をご一緒することになっていたのだ。
お店の場所は、四条と五条の間くらい。御池通りからも歩いて行かれないことはない。よし、せっかくだから私の好きな三条あたりの店を冷やかしながら行こうじゃないか。
…おかしいな、あんなにヘロヘロになっていたのに、もう、歩く気まんまんになっている私。これはもう、旅先で必ずかかる病気かもしれない。

今夜の店は「リストランテ美郷」。
シェフの毛利さんとは、彼がこの店を任される以前の、エノテカ・レプロットを切り盛りしていた頃からのお付き合いになるので、かれこれ8年になるだろうか。
素材をなにより大事にしながら、こうして町屋を改装したおしゃれな店を任されるようになっても決して変わることのない素朴さ、奢ることのない姿勢、お客様ひとりひとりへの心からのおもてなし、なにより、彼が編み出す、もはやイタリア料理の域をこえた手品のような味わい。すべてにおいて日本で一番のシェフではないかと私は思っている。
そんなシェフと、シェフの料理を、元上司にもぜひ紹介したかった。

ポレンタをうすくのばしてほうれん草を浮かべたスープも、キノコのベージュ色したパスタも、鴨とネギのタリアテッレも、牛ひれ肉の柔らかいステーキも、どれもこれも滋味あふれる素晴らしい逸品だったのに、あまりに美味しいものほど、写真などにおさめてる間もなくたいらげてしまうもので…。料理に、そして久々にあう元上司との会話に興じていたら、あっという間に気が付けばドルチェ。
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ああ、残念。ほかに撮った写真はといえば、こんなんばっか。ああ、後悔。
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ほとんどのお客さんがいなくなるまで居座った後、後ろ髪をひかれる思いでお店を後に。
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私たちがタクシーが通る大通りに出るまで、200メートルほど路地をてくてく歩いてる間、ずーっと手を振り続けてくれた毛利シェフだった。








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コメント

菱田 賢治

りつこ様 今度は京都ですかー!元気ですねえ。妊婦さんとは思えない行動力でびっくりします。写真がますますきれいですね。さすが一眼レフ!シャープさがちがいます。それにしてもあきくささんとてらおさん、京都にいらっしゃるんですね。知りませんでした。楽しそうな会食でうらやましいですーー。お二人が退社した後もお元気で仕事しているのは、こちらも元気をもらった気がします。ぼくも11月のそごう展にむけて頑張ってます!

ritz

ヒッシー、こんにちは。
そうなのです、お二人とも、組織人だったころより
数倍も若々しく、いきいきしてらっしゃいました。

11月にそごう展なのね。生まれてなければぜひ行きたい。
また詳細を教えてくださいね。

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ritz

広告代理店コピーライター
イタリア家庭料理研究家
HP→http://www.ristorante-ritz.com
著書に「トルテリーニが食べたくて」
日本ソムリエ協会認定ワインアドバイザー
イタリア料理、子育てから、オペラ、日本の旅、秘湯まで。

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