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イタ馬鹿日誌

昼は会社員、夜は母、週末は自宅で料理教室。ristorante-ritz.comのイタリア馬鹿な日々。

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悪夢に学ぶ

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小学2年生の愚息には一眼デジカメなどまだ早いと思っていたが、2年前に買い与えてやった専用のコンパクトデジカメにも最近は目もくれず、気がつけば私や夫の一眼をいじっていた。
目の前の風景が、ファインダーの中でピピっという音と同時に鮮明に浮かび上がる様を一度味わってしまうと、コンパクトデジカメで画面を単に切り取っていくような作業が急に味気なく思ってしまうのは当然といえば当然かもしれない。
ゆえに、私が新しい一眼の購入に踏み切った今回、私をさしおいて大喜びしたのは息子である。棚からぼた餅をてぐすねひいて待っていたのだ。

下取りにも出せない3年以上前の、しかも初級者用の一眼である。壊されたとしても惜しくはない。
とりあえず私が愛用していた18~200mmの長いズームレンズははずし、購入した当初にキットに付いていた18~55mmのレンズに付け替えてやれば、7歳児でも扱える重さに抑えられるであろう。
「やったー!こういうの、Mはずっと欲しかったんだよなー!!」
長らく見たことのなかった満面の笑みに、こちらも嬉しくなる。が次の瞬間。
「ね、ママ。シャッター下りないよ」

えええええーーーーって。ま、またかよーーーーー。
購入早々に別のレンズ乗り換えて、当初のキットについていたこのレンズを長年見捨ててきた罰当たりだろうか。レンズもが臍を曲げたようだ。…って、つい1週間前に言ってたことと、まるで同じ。おそろしきデジャブー。これはもう、悪夢である。

出発まで残り二日となった、今日、土曜。
朝イチで、Nikonサービスセンターに行くつもりだった。…のだが、なんと、今度は息子がひどいかすれ声、そして鼻水…熱も7度前後。経験則でいうと、これから高熱になるパターンである。ああ、この悪夢、いったいどこまで続くのか。
しかし、なんでこう、毎度、出発直前にいろいろふりかかるのか。今回は特に、直前も直前、前々日まで、まだ悪夢を引きずっている。涙。

なじみの医者に、ちょっと強めの薬を出してもらい、とりあえず今日は一日家の中で軟禁状態。
サービスセンターへは夫を派遣する。
さて、点検の結果は、やはりレンズ内のモーターが支障をきたしていて10日間の修理とか。
イタリアには間に合わん。後から合流する夫の出発日にも間に合わん。ううむ、困った

ここで新たに同じタイプのズームレンズを購入するのも馬鹿げている。「つなぎ」で買うとしたら、比較的安価で、しかも持っているものとかぶらないタイプのレンズ、たとえば、ズームの利かない35mmくらいのやつだろうか。
…ふと、先週二回もお世話になったヨドバシのお兄さんに
「本当はこういうレンズが1つあると便利なんですよね。被写界深度も浅いから、料理の写真とか、ヨリでとっても料理全体にきちんとピンが来るんですよ」
と薦めかけられていたのを思い出す。…それだ。
夫をそのまま遠隔操作し、今度はヨドバシへ、このお兄さんを呼び出させて、お薦めレンズを購入。

ズームがないとなると、子供の好奇心も半減するんじゃなかろうかと案じたが、微熱のままなんとか小康状態を保っている息子はしかし、ズームなんかついてなくても大喜び。
家の中でさっそくバシャバシャ撮りはじめたものを横目で見ると、ん?これがまた、結構いいのだ。

私と息子が同じものを撮っても、彼の方がクリアでシャープな感じがするのは、やっぱりf1.8とレンズが明るいせいだろうか。いや、素人の私には計り知れないいろいろな論理があるのはわかるのだけど、とにかく、今まで「一本で済めばラクだし」とばかりに、18mm~200mmなんてレンズを愛用していた自分がひたすら恥ずかしくなる。
夫もどうやら同様の感のようだ。
今朝、家を出るときは「オレ、ニコンのカメラなんて使ったことねえし、わかんねえよ」と嫌味たらたらで出かけて行ったくせに、部屋の片隅でニコンのカタログをひとしきり熟読していたかと思うと、
「レンズが修理から戻ってきたら、今日買ったレンズ、おれがもらおうかな」
え?だって、自分はニコンじゃないから使えないじゃん。
「だから、カメラ買い替えようかなと思ったりして、さ」
ここ1週間の一連のカメラ及びレンズの故障騒動(故障疑惑も含む)のおかげで、思わぬカメラ特需に沸いている我が家である。アホです。

さて、息子のほうは、無事に一眼が使えるようになったことがいい薬になったか、
「ねえねえ、どっか撮りにいって練習したいよぅ~」
微熱は下がらないものの、至って元気満々。
日もすっかり傾いて、少しだけ風も出てきたので、“ジージ”の散歩もかねて近所のお不動様へ。揃って一眼ぶら下げた母子が、車イスを押す姿…、かなり変である。

湧き水の滝で撮った龍の写真、灯篭、階段からのぞむ本堂、日影で涼むジージ…、息子の後を追いながら、同じモチーフを同じ35mmで撮ってみる。
なんとなく息子の方が上手なのは、気のせいだと思いたいが、ううむ、やっぱり奴のほうが全体的にイケテルかも。とほほ。

こうしてあっという間に日が暮れていく、出発二日前の土曜日。
ここ一ヶ月というもの、片付けなくちゃいけない諸業務に終われ、仕事の合間にはイタリア行きの準備や買い物に奔走し、24時間、イライラ、キーキー過ごしてきた。
そんな自分が、出発二日前に、こんな家のすぐ裏手の寺の境内で、なにをするわけでもなく、ただ無意味にシャッターを切り、時が過ぎていくことを甘んじて受け入れている。
子供の頃と何にも変わっていない境内で夏の夕風に吹かれていたら、今は目の前で車椅子に座っている父と、毎週ここに来て鬼ごっこやかくれんぼをしながら、うつりゆく季節の匂いや風を子供ながらに感じていた40年近く前の自分を思い出し、久しぶりに穏やかな気持ちにリセットされていくのがわかる。

いろいろな悪夢に振り回され続けた数週間だったけど、こんな時間をくれたのも、悪夢のおかげかな。
イライラ、キーキーしていた自分自身こそが、悪夢を招いていたのかもしれない。そんな気もしてきた。
出発直前の深呼吸。大事、大事。
毎度おなじみの出発前の悪夢だけど、前代未聞のひどさの今回のそれは、相変わらず懲りない私へのメッセージだったのかもしれない。

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Profilo

ritz

Author:ritz
イタリア家庭料理研究家
本業は広告代理店コピーライター
1999年以来、毎年有給休暇を使い果たす作戦でイタリアへ料理修行。年に1〜2回のペースで子連れでイタリアの農家やマンマの家々を転々としています。
HP→http://www.ristorante-ritz.com
Facebook"マンマの台所Ristorante Ritz"→https://www.facebook.com/ristoranteritz/

著書に「トルテリーニが食べたくて」
日本ソムリエ協会認定ワインアドバイザー
U.M.A.O.オリーブオイル鑑定士
イタリア料理、子育てから、日本の旅、秘湯まで。

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