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イタ馬鹿日誌

昼は会社員、夜は母、週末は自宅で料理教室。ristorante-ritz.comのイタリア馬鹿な日々。

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まだまだ、ぜんぜんアラフォーだし




季節は春から新緑の初夏へ、そして梅雨に向かってまっしぐら。
ああ、今年も私の大嫌いな季節に突入した。
「てことは、もしかして、冬生まれですか?」と言われることがあるけれど、とんでもない。
立派な5月末生まれ。つまり、誕生日は苦手な季節のド真ん中盛に位置している。
気候だけじゃない。この季節、なぜだか、ろくなことがない。

昔から、好きな人との別れを経験するのもこの季節。カラダを壊すのもこの季節。
去年を思い起こせば、慣れない小学生ママ生活の中、突然難聴に襲われたのもこの季節。
最近じゃ、そんな季節に位置する誕生日自体が憂鬱な一日でしかないだけに、それはもう救いようがない。

しかし、なんとなんと、今年の5月29日は自らの覚悟と予想を大きく裏切り、想定外に楽しい一日だったことを声を大にして自慢してしまおう。
その理由は大きく3つ。

その1。
イタリア人につきあって数年前から始めたものの、使いこなさないまま一方的に友達だけが増えていくFacebook。相変わらず友達の掲示板を覗きもしなけりゃ、発信もしてないのだが、イタリアから、シンガポールの友人から、そして最近ご無沙汰している友人から…、次々におめでとうのメッセージが届いたこと。
中でも、尊敬する指揮者のパオロ・カリニャーニ氏からのBuon Compleannoは、恐縮の極み。そのメール、転送している我が携帯で読んだときに座っていた箱根富士屋ホテルのラウンジから見た庭園の映像と一緒になって、脳裏に深く刻まれてしまうほどである。
(…なぜ富士屋ホテルなのかは、またあとで)

その2。
誕生日の週末、折りしも息子はキャンプに参加と淋しい限り。夫と二人で家に居ても淋しさが増すだけなので、息子を早朝に新宿に送り届けたその足で、御殿場アウトレットへ行ってみる。
「他のアウトレットにはないブランドが店を出していて、結構充実している」とかねてから聞いていたけれど、いつ通っても高速出口から早くも列を成していて未だに訪れたことがなかったので、せっかくの早起きを有効活用である。
9時30分現地着。すぐ裏手の一番便利な駐車場に停められた。10時の開店とともにお買い物開始!
もとが8万円のミュウミュウの靴が18,900円と書いてあると、すんごい欲しかったわけでもないのに、つい足を入れてしまう。おまけに、小さい足の私はめったにジャストサイズに出くわすことのない貴重な34インチとくりゃ、即ゲットだ。
アンテプリマの服も、あれ?これ去年私が買ったやつだ、みたいのが、そのまんま、5分の1くらいの値段で売られているではないか。あ、これ、そのとき迷った末にあきらめたワンピースだわ!それがいくらになってるわけ?ええーまじ!?すみませーん、ちょっと着てみていいですかあ~?
…なあんてことをやっていると、まだウエストの方の半分も見て周ってないのにあっという間に2時間だ。こりゃ、アディダスだ、ナイキだ、フランフランだのと、他のアウトレットに軒を連ねるような店なんか見てる場合ではないぞー。
いやあ、しかし…た、たのしい。
自分の誕生日のくせに自分のお金を散財しているわけだが、別に構わん。
夫も今日ばかりはこれだけつきあわせても文句ひとつ言わないし、挙句は完全な別行動で1時間放置しても電話ひとつかけてこないし、私としてはその方がよほど誕生日の有り難みがあるというもの。
おまけに「ママばかり買ってするいよぅ~。Mも何か欲しいよぅ~」という私と物欲競合する男もいない。息子のいない淋しさを紛らわすつもりが、すっかり買い物天国を満喫している。
こういうときは、大体一番大きな買い物で幕を閉じるのだが、今回のそれは、ジル・サンダー。
ジル・サンダーといえば、他のブランドでにはないミニマムな形のジャケットに憧れて、息子のお受験の際に、伊勢丹でスーツの試着まではこぎつけたが、さすがにジャケットだけで30万はねえだろう!とバカバカしくなってやめたことが記憶に新しいが、そのジル・サンダーでさえ、ほとんどが6割引~7割引くらいの破格な値段で売られているのだ。
いったい元の値段は何なのよっ、と文句すら言いたくなるが、くまなく見ていくと、うわー、私にぴったりの34号サイズ、しかも、ずっと欲しかったんだよな、これくらいの丈の皮のコート、なんてのを、見つけちゃったではないか。値段も、軽自動車が買えちゃうウン十ウン万円が、なんと8割引のウン万円。
悩みに悩んだ挙句、定員さんに「もとの値段って、ほんとにこの値段だったわけですよね?」と一応確認だけして…ええーい、買っちゃえーっ。
ひとしきり物欲を発散し、いくら使い果たしかは触れないとして、終わってみればなんと午後3時。
今まで半分バカにしてかかってたアウトレットだけど、御殿場のそれは、もいっかい行ってもいいかも。いやあ、なんともいえず、気分爽快である。

その3。
若い頃は、誕生日というのは、彼がどこにいくか何をするかどこで食事をするかぜーんぶ考えてくれることに憧れていて、そういうサプライズ自体がお誕生日プレゼントだと思っていた。そんな初々しい時期が、こんな私にもあったのだ。
しかし今やイタリアの旅もすべて私が決めているように、不器用で物事に無関心な夫より自分の方がはるかにセンスがあることを悲しいかな思い知らされてからは、我が誕生日でさえ何をするかは自分で決める。最初から期待しなけりゃ、期待はずれもないことを教えてくれた、考えてみたら夫は希少な男性なのかもしれない。ああ、ありがたや。
もちろん、御殿場アウトレットも私の思いつき。そして今夜のレストランも、私がいくつか挙げた中から夫が(おそらく値段で)選んだ。
「レストラン・オー・ミラドー」。
箱根に構えるオーベルジュ&フランス料理の老舗である。
予約していた6時までにはまだ時間もあるし、お腹も最高に減らせてから出向きたかったので、途中、「ての湯」なる立ち寄り湯で温泉につかり、汗を流せば時刻は5時。
ここから「オー・ミラドー」までナビによるとたったの25分。ううむ、なんだか中途半端だな。
秘湯の温泉好きになってしまった昨今では、箱根なんざ、もう15年近く足を運んでいないから超久しぶりすぎて、何も思いつかない。
「富士屋ホテルで茶でもするか」
この日、唯一の夫主導の決断が、これ。
そういえば、昔はよく箱根にドライブに来て、富士屋ホテルでお茶だけして帰ったりしたよな。なあんて若いころを振り返るのがぎりぎり精いっぱいの、早くも夫婦の老後シミュレーションその3状態。しかも、そんなわけで若い頃の思い出に浸る富士屋ホテルラウンジのはずが、パオロ・カリニャーニからのメッセージ着信にめちゃくちゃ舞い上がっていた次第である。

さて、時間もちょうどよくなったので、いよいよ「オー・ミラドー」へ。
小雨の中、立派な門構えを入ると津川雅彦似のおじさまが、こちらが名乗ってもいないのに「Tさまですね。お待ちしておりました」と駐車位置まで誘導してくれる。
想像していた超バブリーな雰囲気よりもむしろ、深い森の中の建物はまるで「王様のレストラン」そのものみたいで、緊張するよりも、素直に楽しい気分にさせてくれる。
「ムッシュー」「マダム」と真面目に呼ばれるのが、ものすごくこそばゆかったが、一皿進むにつれてそれも慣れてくるから不思議。
薦められるがまま、勝又シェフ渾身の24周年メニューというやつを頼んでしまうが、ふと、24なんてそんなハンパな数字なら、毎年いつ来てもあるってことじゃん、要は一番高いコースってことね、と気づくが、まあそんなツッコミもどうでもよくなるほど、正直、どれもこれも美味しいのである。
前菜だけで3皿、メインも魚と肉が両方、デザートも二皿。それでも、蛤のクリーム仕立てのスープに鎮座する脂の乗った白身魚、ぷりぷりのエビを巻き込んだウサギ肉…、付け合わせの野菜までもが、地のもの尽くしで、一皿ごとに「へー」と感心せずにいられない。
最初は「あの、そんなにたくさん食べられないので…」「けっこうですよマダム。シェフに一応伝えますが、小さいポーションでお持ちできないものもあるので、お気になさらず残してください」なんてやりとりまでしたくせに、おいおい、片っ端から完食してるよ、私。
御馳走してもらう代わりに帰りの運転役を買って出ていたためワインを楽しめなかったのが唯一の心残りだが、食べ過ぎるとついつい出ちゃうはずのゲップが、東京に帰るまでついぞ1つも出なかったのがさらなる驚き。「あんなにたくさん、しかもフランス料理を、もう動けなくなるくらい詰め込んだはずなのに、胃には一切もたれていないどころか、デトックスされたくらいの気持ちよさ。
バブル時代に一斉を風靡しただけのことはあるフランス料理屋。しっかりと生き残っているのにも立派な理由があることを思い知らされた気がする。

物欲も食欲も満たされた4十ウン歳の誕生日。まだまだ、今をときめくアラフォーの域であることに甘んじつつ、いやあ、誕生日も悪くないね、と大人になってから初めて思えた一日でした。
神に感謝。もちろん、夫にもね。


翌日曜の夜。息子は自分の背中よりも大きなリュックを背負って無事帰還。
「Mがいなくて、ママ、すごーく寂しかったよ」と言いつつ、心の中で「ごめんよー。ママ、すんごい楽しんじゃったんだよぅぅぅ」と謝るのであった。


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ritz

Author:ritz
イタリア家庭料理研究家
本業は広告代理店コピーライター
1999年以来、毎年有給休暇を使い果たす作戦でイタリアへ料理修行。年に1〜2回のペースで子連れでイタリアの農家やマンマの家々を転々としています。
HP→http://www.ristorante-ritz.com
Facebook"マンマの台所Ristorante Ritz"→https://www.facebook.com/ristoranteritz/

著書に「トルテリーニが食べたくて」
日本ソムリエ協会認定ワインアドバイザー
U.M.A.O.オリーブオイル鑑定士
イタリア料理、子育てから、日本の旅、秘湯まで。

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