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イタ馬鹿日誌

昼は会社員、夜は母、週末は自宅で料理教室。ristorante-ritz.comのイタリア馬鹿な日々。

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名残り雪さがしの旅(1) 奥飛騨温泉

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秘湯の会のスタンプ帳、2冊目も早くも満了になったから、またタダ泊に行けるぞ!
今度は息子のスタンプ帳も貯まったから、家族3人ともタダだぞ!
と思いながらも月日が過ぎ、気づけば特典の有効期限が迫っていた。しかも特典がつかえるのは平日限定。つまり春休みに行くしかないではないか!急げーっ。

というわけで急遽決まった今回の旅。
タダ泊したい宿はスタンプ10個貯めた宿の中から選ぶ。前回は新潟の「大沢館」を迷わず選んだが、今回も、10軒の中で迷わず選んだのが、奥飛騨温泉郷「湯元 長座」。
奥飛騨温泉のあとは、いつもは高山どまりで引き返していたけれど、せっかくなら今回は白川郷まで足を延ばして、あのあたりの温泉宿にもう一泊して帰ってくるのはどうだろう。
我が家の旅の計画は、いつもそんな風にして私の独断でどんどん膨らんでいく。

中央高速を松本インターで降り、単線の上高地線にぴっちり寄り添うように158号をひた走る。上高地線の終点「新島々駅」を過ぎると、そこから先は北アルプスの登山口である上高地を目指すための山道。1時間半かけてたどり着く上高地の入り口は、言ってみれば長野県の果てである。ここから安房トンネルを抜けて岐阜県に突入すれば、奥飛騨温泉だ。
高山の奥座敷でもある奥飛騨温泉も、安房トンネルができたおかげで意外と近い。長野県の果てと岐阜県の果てが一直線につながったようなものである。

東京の桜がちょうど満開になるという週末に、梅すら咲いてないような地域に逆戻りするのも、やぶさかではない。
春のけだるい陽気が大の苦手な私はもちろんのこと、なにより雪見温泉が趣味の我が家が今年は息子の合唱の公演のおかげで2月以降ずっと東京に釘付けだったわけから、待ちに待った“名残り雪見温泉”。全国的に天気が雨模様なのも、東京のお花見でぶるぶる震えている人たちよりトクした気分になってくるのは私の性格が悪いせいだろうか。

奥飛騨温泉郷を成す5つの温泉村のうち、もっとも小さく、もっともレベルが高いのが福地温泉ではなかろうか。13世帯しかない村の、その全世帯が温泉宿を営んでいる。どれも、団体客は受け付けないこじんまりとした宿ばかり。「秘湯を守る会」にも3つの宿が属していて、中でも「湯元 長座」は一番の老舗だ。
豪雪地帯のこの一体も、3月末に一時急に暖かくなってずいぶん雪が溶けてしまったらしい。駐車場から母屋の入り口まで、雪道を避けながら宿泊客を導いてくれる屋根つきスロープも、今日はただの雨よけと化しているのがちょっと残念…。
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人気の宿も金曜とあって満室ではなさそうだけど、しかしタダで泊まらせて頂くというのに、通された部屋は、ひ、ひろい!
3年前にお金を出して泊まった部屋より、断然高い部屋なのは一目瞭然。たった3人(しかも1人はガキ)だというのに、入ってすぐの囲炉裏の間の他に、テレビのついた4畳半の部屋、10畳近い広い和室しかも小部屋くらいはある床の間付き、さらに奥にはテーブルと椅子がおかれた洋間があり、ここから中庭にも出られるようになっている。
襖も梁も、当初の古民家のままのものを丁寧に手入れして使っているようで、すべてが古いのだけど、すべてが心地よい。
そういえば、前回、同様にスタンプ満了特典を利用して大沢館にタダで泊まった際も、大広間で夕飯を摂る一般客をさしおいて家族で囲炉裏部屋を貸切りで使わせてくれたことを思い出した。
こういうのをホスピタリティのプロというのだろうか。リピーターを大事にしてくれる宿のさりげない気配りに触れたとき、その宿の真価がわかる気がする。
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前回と違って、フロントを仕切っている感じのいい若い青年はどうやらご主人の息子さんだろう。こうしてしっかりと世代交代をしながら、家族経営ならではの温かさをちゃんと継承しているようだ。


長座には、敷地外にある渓流沿いの露天風呂、広い露天の付いた内風呂、そして3つの家族風呂がある。まずは日のあるうちに、敷地外の「かわらの湯」に行ってみよう。
3年前の2月に来たときは、長靴を借りて、ズボズボと雪道を行ったものだが、今年はサンダル履きで十分。これもまた、ちょっと残念だが致し方ない。
息子は私とともに先客が誰もいない女湯へ。渓流の豪快な音を聞きながら入る「かわらの湯」は素朴なつくりだけど素直に気持ちがいい。
kawaranoyu

…と二人で開放感に浸っているところへ、どやどやどやーっと入ってきたのは、おばあちゃんにお母さん、小学4~5年の娘におばさんといった風情の4人組。「きゃー寒いーっ」だの「きゃー桶に蜘蛛がついてるーっ」だの、とにかくうるさい。
同じ湯舟に浸かっているのがたまらなくなり、息子と二人、どちらから言うまでもなく早々に脱衣場へ引き上げる。
しかし、別にうるさいのはいいとしても、いつも温泉宿に来て思うのだが、最近挨拶のできない人が老若問わずものすごく増えている。こうしてお風呂場でちょっと顔を合わせたときに、軽く「こんにちは」くらい何故言えないんだろう。
イタリア人なんて、朝ごはんでも、夜ごはんでも、宿泊客同士、大人も子供も顔を合わせりゃ「チャオ!」が当たり前だというのに…。
と心中でがっかりしているそばから、うちの息子はといえば、風呂場の点検のため脱衣場に入ってきた宿のおばさんに、素っ裸のまま「こんにちわあ!」と挨拶している。
思わず「いいね、その挨拶!」と褒めると
「校長先生が言ってたんだよね。挨拶って大事ですよって。挨拶された人はね、とーってもいい気持ちになるんだってよ」
ほんとほんと、その通り。おばさんも今、うれしそうにしてたよ。
調子に乗った息子は、点検から戻ってきたおばさんにも今度は「さよーなら!」と深々とお辞儀。おばさんの顔からは、んもう、耐え切れない!と言った風に笑みがあふれ出たと思いきや
「いい子だね~。明日の朝もまた来てね、待ってるでな、お嬢ちゃん!」と言って出て行った。
…えーっと、おチンチン、ついてるんですけど…。

お風呂上りの客を、温泉で入れたお茶が迎えてくれる(冒頭写真)。こうしたちょっとした空間にも心癒される。
部屋に戻ってテレビ見てゴロゴロ。囲炉裏で火おこしてゴロゴロ。ああ、お腹すいた…けど、まだ夕飯にはゆうに時間がある…ので、今度は家族風呂へ。3つある家族風呂はどれも同じつくりで、内湯からそのまま外湯へ、足元が冷えないよう露天風呂に続く石の上にも常にお湯が張ってあるのが嬉しい。ああ、こんな風呂が家にあったらなあ。
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夕飯前に2度もお風呂に入ったおかげで、飢えは最高潮に。いよいよ待ちにまった夕食だ。
夕食も、これまた一グループずつ個室の囲炉裏部屋で頂く。
炉端で焼いた五平餅やヤマメ、田楽から始まって、山菜の天ぷらに飛騨牛のすきやきまで。
おばさんが、一つひとつ料理を運んできてくれるたびに、誰が教えたわけでもないのに「ありがとうございます~(しかしイントネーションは龍馬風)」と頭を下げる息子。このおばさんも、これまた感激した風に「はいこれ、娘さんのリンゴジュースでな」ときた。
気持ちよく挨拶するたびに、なぜか女の子と間違えられることに、息子も複雑な表情を隠せないが、親としては、さっきのアリみたいな小さな蜘蛛一つにきゃーきゃー言って挨拶ひとつできない女子に比べれば、うちの愚息もまともに成長してくれたものだと感慨に耽ってしまうのであった。

一休みしてから、今夜の締め風呂は内湯。ヒノキの大きな浴槽は、熱めの湯とぬるめの湯の二つに分かれている。
内湯ってそういえば露天風呂なかったんだっけ?さすがに3年前のこととなるとあまり記憶になく、誰もいない内湯に息子と二人、歌を歌いながら浸かっているとふと木の扉が目に入る。
何も書いてないから従業員用の通用口にも見えるけれど、もしかしたらこの扉の向こうは、露天風呂?
おそるおそる息子が戸を開けると、おおお!そこには月夜に照らされたひろーい露天風呂が広がっていた。
内湯からは窓の外もまっくらで見えなかったからまるで気づかなかったけど、あやうく露天に気づかずじまいで出るところだった…。
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二人で静寂の露天を楽しんでいたのも束の間、ドヤドヤドヤと喧騒が。またもや例の4人組が入ってきたようだ。やれやれ…。
「こんばんは」とこちらから声をかけてやったが、はて、彼女たちはどう感じたか。息子のいうような挨拶された人の気持ちよさをこの4人組が少しでもわかってくれることを願わずにいられない。





翌朝は、澄み渡る陽の光が差し込んで目が覚めた。今日は観光日和となりそうだ。
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宿をチェックアウトしたあと、福地温泉を発つ前に、村の人たちが共同経営している朝市に立ち寄る。
朝市といっても露天市場ではなく、納屋のような小屋で、村の特産物や民芸品、骨董品などをところ狭しと並べて売っている。壁にはごらんのような懐かしい看板がズラリ。これも誰かのコレクションだろうか。
asa_ichi
村特製のトマトジュースや「奥飛騨温泉の素」などを買っていく。
「今度ホームページも作ったんで、見てください!」と若いお兄ちゃんの笑顔が印象的だった。

小さな小さな温泉地だけど、団体客とは無縁の山里、福地温泉。
派手な売りは何一つないのに一年中客足が絶えないのは、村民の素朴なアイデアと温かいもてなしが、きちんと受け継がれているからだろう。

さて、旅はこれからが本番。今日と明日、二日かけて高山と白川郷を回る。
どちらの地域も、二日とも天気予報は晴れ。ならば、行きは高山は素通りして、行ったことのない白川郷まで先に行ってしまおう。
山道を約1時間かけて高山まで出てしまえば、そこから先は、新しくできた中部縦貫自動車道と東海北陸自動車道が、白川郷まで導いてくれるという。便利な時代になったものだ…。
では、いざ出発!

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ritz

Author:ritz
イタリア家庭料理研究家
本業は広告代理店コピーライター
1999年以来、毎年有給休暇を使い果たす作戦でイタリアへ料理修行。年に1〜2回のペースで子連れでイタリアの農家やマンマの家々を転々としています。
HP→http://www.ristorante-ritz.com
Facebook"マンマの台所Ristorante Ritz"→https://www.facebook.com/ristoranteritz/

著書に「トルテリーニが食べたくて」
日本ソムリエ協会認定ワインアドバイザー
U.M.A.O.オリーブオイル鑑定士
イタリア料理、子育てから、日本の旅、秘湯まで。

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