FC2ブログ

イタ馬鹿日誌

昼は会社員、夜は母、週末は自宅で料理教室。ristorante-ritz.comのイタリア馬鹿な日々。

0

お次は「温泉」初め

1
寒波到来、各地で豪雪なんてニュースを聞くと、体がうずうずして仕方がない。
何もスキーやスノボをしたいからではない。温泉につかりたくなるのである。
なんたって、アウトドア志向でもない夫が6年前にわざわざ4輪駆動車に買い替えたのも、ひとえに秘湯の雪見温泉に行きたいがためだった。

幸い子供も、親をしのぐほどの温泉好きになってくれて、秘湯を守る会のスタンプ帳は7歳の彼のも、とっくに2冊目に突入しているのだが、さて、さすがに子供が物心つくようになると、大人はただの雪見温泉にでかけたつもりが、スキー場を素通りして帰るわけにはいかなくなる。
ええい、仕方がない。そんなら少しだけ一緒に滑ってやるか。
と、大学卒業以来、長らく封印していた、一時だけ競技スキー部だったという過去を、恥ずかしながらほんのすこしだけ解いたのが、2年ほど前のことだっただろうか。
当時はまだ4~5歳の息子を私の両足の間に息子を挟んで半屈みで一緒に滑ってやったのが一年目。昨年は、スキーは息子の分だけレンタルして、ちびっこゲレンデでツツーっと背中を押して滑らせてごまかしたり、スキー場のスキー学校に1時間だけ入れてみたりして親は極力体力を出し惜しみ。
今シーズンに入ってからは、年末に3泊のスキー合宿にぶちこんでみたところ、なんと予想に反して「すんごーい楽しかった!春合宿もまた行くからね」と大喜びで帰ってきた。
そこまで満足気にされると、今度はどれだけ上達したのか実際この目で確かめたくなるのが心情というもの。親というのはつくづく勝手な生き物だ。

お、今週末って3連休?月曜が祝日じゃん!
と気づいたのが週末に突入するわずか3日前。
これなら土曜の合唱を休ませなくとも、日~月でスキーにいけるぞ!
うんにゃ、いかんいかん、あくまでもテーマは雪見温泉だ。スキーはそのついでなのだ。と自分に言い聞かせつつ、妥協せずに温泉宿を選ぶ。
夫とペラペラと秘湯の会の本をめくりつつ
「ここってさ、良く名前聞くから一度行ってみたいと思うんだけど、前に何度か電話したけど、いつも一杯なんだよね」
という宿に、まずはダメもとで電話をしてみる。…と、なんと、一部屋だけ空いているというではないか。きっとキャンセルが出たに違いない。よし、決まり!

「薬師の湯」またの名を「かやぶきの里」というらしい。
伊香保インターで下り、しかし榛名湖や伊香保温泉などの観光地とは無縁の、榛名山の北側の山道を浅間山を遠くに仰ぎながらどんどん進んで1時間。結局、寄り道するところも見つからないまま、チェックインより30分も早い2時半に着いてしまう。

何もない丘の頂に突然現れた大きな山門のような入り口。車をとめると、すぐに宿のスタッフのお兄さんが出てきて、荷物を持って誘導してくださる。
「どうぞ、もうお部屋のご用意もできてますよ」
この山門をくぐると、目の前の谷間に広がる、萱葺きの屋根、屋根、屋根。まさに萱葺きの建物だけが集まったテーマパーク。つまり、ホントに「かやぶきの里」なのだ。
茶屋や蕎麦打ちどころになっているいくつもの古民家の間をくぐり抜けながらひたすら下っていくと、その突き当たりに「旅籠」と書かれた一番大きな建物が。これが今宵の宿。こんなことになっているとはつゆとも知らず訪れたわけだが、息子にとっちゃ、言ってみれば日光江戸村の中にある旅籠に本当に一泊しちゃうぞ、みたいな、夢のような場所ではないか。
2
3

まずは部屋の用意もできているというし、早々にチェックイン。荷物を置いて一休みしてから、「かやぶきの里」めぐりに出てみることに。
全国各地から集めた江戸時代の刀の鞘や、火縄銃がずらりと展示されている家も。
4
「おっ、この銃、かっこいいな~」
ついこの前までは、“天地人”の影響で兜の写真を熱心に撮っていたくせに、今度は“坂の上の雲”の阿部寛扮する秋山好古に陶酔している息子はさっそく銃の写真をとりまくっている。
でもそれ、江戸時代の火縄銃だけどね。
「わっ、この銃、葵のご紋がついてるよ、すっご」
だから、秋山好古が持ってたような明治時代の銃じゃないんだよっつうの。

母は密かに、銃の隣に陳列してあった兜の中のひとつが気になって仕方がない。
これ、超イケてるではないか。
5
きっと私のような栗バカ武将が身につけていたに違いない。

明治~大正にかけて愛用された古箪笥ばかりが展示された珍しい建物もあり、いろいろなコーナーごとに、これまたかわいいスタンプが常備されておりスタンプラリーもできる。けん玉やベーゴマ、羽根突きといった昔の遊具で遊べる広場もあったりして、子供心(大人心も)をそそられるものが随所にちりばめられているあたりも心憎い。
なにより、こうして各地から集められた由緒ある「○○家」「××家」と名のついた萱葺の古民家が、雪化粧している風景をみているだけで、なんだか「にっぽんのふるさと」の代名詞のようなところに帰省してきたような、そんな気持ちになってくる。
6
7

さて、歩き回ってカラダも心から冷え切ったところで温泉に浸かるとしよう。
「かやぶきの里」の一番谷底にあるのが、希少な萱葺き職人がわざわざ作ったという全長24メートルもの萱葺き屋根を持つ本陣「旅籠」。しかしこの「旅籠」、見た目は他と同じく平屋の萱葺き、しかしその奥には鉄筋コンクリートの5階建てが谷底の川に向かって建っている。つまり、入り口が5階にあたり、下階にかけて客室があって、一番下の一階が、川に面した浴場フロアーになっているのだ。
充実した完璧な設備。しかしあくまでも見た目はのどかで派手さを極力見せない工夫も行き届いている。
我々の部屋は、入り口に近い「安政の間」。…って、大獄か?!
8
二間つづきの広い広い部屋に、高い天井。囲炉裏こそないものの古民家を意識した壁や梁。本物の古箪笥が部屋にいくつも置かれている。川に面したベランダにはデッキもあり、なんと半露天風呂までついているではないか。
確かに、1万円台の部屋ではないけれど、それでも18000円~30000円まで貧民、平民、富豪、大富豪クラスの部屋を揃える宿の中で、この部屋、これで「平民」クラスだ。決して高くは無い。むしろ設備を考えたら安いくらいではないだろうか。

欲場は建物の一階、ここは「湯屋街道」と名づけられているごとく、一本廊下に、露天風呂、内風呂、貸切風呂と、さまざまなお風呂がずら~と並んでいる。
まずは一番奥の滝見風呂へ。
9
うひょ~。気持ちいい~。外の景色にもっと雪がついてたら、もっと風情があるのにな。
お湯自体は42.8度の自噴水とか。ボコボコと湧き出る様子が24時間見られるモニターがさっき廊下にあったっけ。透明でやわらかいお湯質は、くせもないけど、いくら浸かっていても飽きがこない。
つづいて、内風呂もハシゴ。こちらは、寝ながら入れる湯舟や、ゲルマニウム温泉、源泉温泉の3つの浴槽で楽しめる。

10
川には時折ムササビなども姿を見せるらしいが…今回はちょっと会えなかった。残念。


さて、待ちに待った夕食は、川沿いの古民家にて。各部屋ごとに仕切られた個室に招かれる。
11
上品な前菜やお造り、椀物もその都度運んできてくれるのだが、なんといっても醍醐味は、囲炉裏の上で、高~い茅葺きの屋根に思いっきり煙をあげながらの炭火焼。
地の珍しい野菜や地鶏が山盛りに、びっくりしたのは子供食もお子様ランチなどではなく同様に炭火用に野菜と地鶏が、大人用のより少なめとはいえ用意されていること。しかも、大人用にはついていない和牛まで一切れ載っているではないか。これ、特別追加メニューとして部屋のパンフレットにのっていた上州和牛だ。く、うまそう。ケチらずに、追加注文しときゃよかったかも…。
12
しかし、すでに全て食べきれないほどお腹いっぱい。
最後は手打ちうどん入り薬膳鍋で締める。もちろん希望すれば新潟産コシヒカリの炊き立てごはんも出してくれる。これもまた、文句なく美味しい。

食後のあとは、ちょうど大河ドラマの時間。
「龍馬伝」の二回目を見終わって、それでもまだ9時か。せっかくだから、貸し切り風呂にも行っとく?というわけで、3つあるうちのひとつ、「くつろぎの湯」へ。
これまた、たった3人で貸し切るのは申し訳ないくらいのゆったりした作りで、川に面した窓際にはヒノキ風呂が、手前にはジャグジーも。
ふひゃ~、とため息ついて頭の後ろで腕を組む息子のおっさん臭いこと…。
13
目をつぶりながら
「人の命が、かかっちゅうがじゃき…」とつぶやいている。
どうやら、今宵の龍馬伝で、一番彼的にヒットした福山のセリフに浸っているらしい。
まさに「この、龍馬かぶれがっ」だ。

翌朝は、せっかくなので部屋についている半露天風呂に浸かったあと、朝食は、昨夜とはまた別の民家、「濱田家」にて。こちらは、人間国宝の陶芸家、濱田庄司の居宅を二年の月日をかけて移築したものだとか。中には、濱田庄司・晋作・友緒、3世代の作品も展示されている。
「よろしかったら膝かけをお持ちください」と入り口で係りの人に言われて一応お借りしたが、なるほど、これは…さ、さむい。実際にこの家に人が住んでいたのが信じられないほど、囲炉裏の火をがんがんおこしていても、石油ファンヒーターが各仕切りごとに一つずつ常備されていても、スースーする。昔の人は、ずいぶん忍耐強かったんだなあ。今の人間は、そりゃ精神も体力もひ弱になるわけだ。

14

宿をチェックアウトしたあとは、浅間山の向こう側をぐるりと回るかたちで東へ車を走らせ、去年も一度訪れたことのある小さなスキー場へ。期待通り、今回もガラガラで雪質もバッチリ。
さーてと、年末のスキー合宿での息子の成果を見てやろうではないか。

とはいえ、今年もちびっこゲレンデでちびちび滑らせりゃいいや…と息子用のスキーだけレンタルしようとすると
「えっ?なに言ってんの?リフトに乗らなきゃ意味ないじゃん」
と大人びた、しかも妙に自信に満ちた彼の一言。で、結局家族3人分のレンタルをする羽目に。

リフトに乗ってる最中も鼻歌まじりの余裕の表情。降りるときも親の心配をよそに、ススーっと降りて行ってしまい、「ね、早く滑ろ」的な顔でこちらを見上げる。上からボーダーがすっとんで来ないことだけ確認し「滑っていいよ」と言ってやると…、
うわ、はやっ。
これが結構早いのだ。
ボーゲンとはいえ、狭い幅の臼のようなコースでは、くるりくるりとこまめにターンしながら、そして広いコースに出ると、おいおい、それ直滑降じゃんかよ、ってな感じで、あれよあれよと滑って行くではないか。
15

どうせ1~2本だろうと思って一回券をその都度買っていたリフト券だったが、全長1キロのコースを結局5本も付き合わされ、半日リフト券を買った方が安くつくほどであった。
親の方は足がガクガク…、でも、こうして家族3人でスキーが「普通に」できる日が来るなんて、去年までは思ってもみなかった。なんというか、感無量である。

子供の成長は早い。早すぎる。
そのうち、あっという間に追い抜かれるだろう。そして、親と一緒にスキーなんて、行ってくれなくなる日も遠くないだろう。
ああ、子供ってこうしていきなり親の手を離れていくのか…
なんて思い出したら、今までは渋々スキー場につきあっていたくせに、今度は急に、今のうちにせっせと一緒に滑っておきたくなる。やはり親というのはつくづく勝手な生き物だ。

さあ、次にスキーに行ける日はいつかな?
「雪見温泉」と「息子とのスキー」のプライオリティが、やばいな、私の中で、ちょっと逆転しつつあるかも…。
スポンサーサイト



コメント

非公開コメント

Profilo

ritz

Author:ritz
イタリア家庭料理研究家
本業は広告代理店コピーライター
1999年以来、毎年有給休暇を使い果たす作戦でイタリアへ料理修行。年に1〜2回のペースで子連れでイタリアの農家やマンマの家々を転々としています。
HP→http://www.ristorante-ritz.com
Facebook"マンマの台所Ristorante Ritz"→https://www.facebook.com/ristoranteritz/

著書に「トルテリーニが食べたくて」
日本ソムリエ協会認定ワインアドバイザー
U.M.A.O.オリーブオイル鑑定士
イタリア料理、子育てから、日本の旅、秘湯まで。

Calendario

08 | 2020/09 | 10
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 - - -

月別アーカイブ

FC2カウンター

ブロとも申請フォーム

ブログ内検索