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早く来い来い、日曜夜8時。

生まれ変わったら、幕末の頃に生まれ変わりたい。
歴史の大きなうねりをこの目で、この体で体験してみたい。
歴史小説を読みあさりながら、そう思いつづけていた十代の頃を、最近改めて思い出している。

息子が3歳過ぎくらいの頃から時代劇好きになり始めたのは、別にこんな母などの影響ではなく、ウルトラマンやなんちゃらレンジャーに目が行かない代わりにチャンバラに興味を持ち始めた程度のものだろうけど、特に、当時木曜8時からNHKで放映されていた「木曜時代劇」の枠がお気に入りで、親子でずっと見ていた。
中でも息子のナンバー1は佐伯泰英の人気時代小説のドラマ化「陽炎の辻~居眠り磐音江戸双紙」。主演のワケあり浪人役の山本耕史は文句なくかっこよく、峰打ちで相手を負かす立ち回りシーンでは着流しの着物の裾から膝下がのぞくたびに、母もドキっとしたりして、やぶさかではなかった。
私のお気に入りだった藤沢周平原作の「風の果て」は江戸時代版サラリーマン哀歌。佐藤浩市の渋い演技に魅了され、毎回、現代社会(会社ともいう)の矛盾と照らし合わせては納得しきりのストーリーだった。

しばらく遠ざかっていたNHK大河ドラマも、息子が時代劇に目覚め始めた、そう、ちょうど「風林火山」のあたりからなんとなくつきあって見るようになった。
「風林火山」自体は特に感動はなかったけれど、久々に見てみると、ふむふむ金がかかってるだけのことはあるなと思い始めたりして。
つづく「篤姫」になると、「やっぱり女が主役だと歴史モノはダメね」などと最初はバカにしながら見ていたくせに、脇を固める名俳優が、高橋秀樹に松坂慶子、北大路欣也、中村梅雀など、次から次に登場して魅了されると同時に、堺正人の名演技ももちろん、瑛太の存在感に近頃の若手も捨てたもんじゃないなと関心したり。大好きな幕末モノとあって、毎回欠かさず見入っていたものだ。
「天地人」もしかり。最初のうちは、妻夫木に小栗旬なんて、NHKもそこまで若者に媚びるようになったかと落胆したものだが、どっこい、見始めたらすぐに虜。やばいぞ、かなり遅れて妻夫木くん&小栗旬ブームが来てしまったではないか、私。
毎回いやってほど聞かされる「義の心」も、そのうち毎回「義の心」が説かれないと気がすまなくなってくるから不思議だ。松方弘樹の家康役もハマリ役。この人、そういや俳優だったのよね、魚釣ってるだけじゃなかったのよね、と思い知らされる。
ミスキャストを敢えてあげるとしたら、松田龍平とフカキョンくらいだろうか。ぜひとも時代劇というものを勉強しなおして来て欲しいものだ。
「誰だ、この下手くそな俳優は。タレントか?」とか「時代劇をできるようになったら一人前」なんてことを大河ドラマを見ながらブツブツ言っていた数十年前の父の姿をふと思い出す。まるで今の私は、そのものだ。


さて、その「天地人」も終わり、家族3人の心にぽっかりと穴があいてしまったところへ、まさに、来たーっ!て感じで飛び込んできたのが「坂の上の雲」である。

中学か高校の頃に司馬遼太郎の原作を読んでいたはずの記憶を少しずつ掘り起こされながら、ぐいぐいとドラマに引き込まれていく。毎回、どこかで必ず涙が出る。笑いも出る。NHKが100億制作費をかけただけのことはあり、セットもロケ地も完璧なのはなおさら、キャストの人選が絶妙ですばらしい。
幕末から明治の日本の転換期を、全力で駆け抜けた3人の男たちの物語。
未来というものが限りない可能性と輝きを持っていた頃の、堂々たる日本の物語。
今の若者に、日本に、悲しいかな、この男たちのような、夢や挫折や志が存在する余地すらないのは、いったい誰のせいにすればよいのだろうか。もどかしく、また虚しい限りである。


「歴史とは、未来を学ぶことです」
中学の時、日本史のおばあちゃん先生が言っていた言葉を、今、改めてかみしめている。
なんのために過去の話を勉強しなくてはいけないのか、そんな誰かがつぶやいた愚問にピシャリと言ってのけたその先生のこの言葉が、今思えば、私を日本史好きにしてくれた原点かもしれない。

「坂の上の雲」を書いた司馬遼太郎が、現代の私たちに残したかったメッセージはなんだったのか。
そんなことを思いながら毎回ドラマにはまりまくっている日曜夜8時。
息子はそんな母の思いもつゆしらず、
「ボク、将来、軍人になろうかな!海がいいかな、陸がいいかな、ね、ママ、どっちがいいと思う?」などと言い出すし、学校に出かける時は最敬礼をして出かけていく。
彼がもう少し大きくなって日本史を学び始めた頃に、もう一度、このドラマをぜひとも見せてやらねば。

ああ、早く「坂の上の雲」のつづきが見たい。第三話が見たい。
早く来い来い、日曜8時。
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ritz

広告代理店コピーライター
イタリア家庭料理研究家
HP→http://www.ristorante-ritz.com
著書に「トルテリーニが食べたくて」
日本ソムリエ協会認定ワインアドバイザー
イタリア料理、子育てから、オペラ、日本の旅、秘湯まで。

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