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イタ馬鹿日誌

昼は会社員、夜は母、週末は自宅で料理教室。ristorante-ritz.comのイタリア馬鹿な日々。

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雨の出雲路

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うわーっ。なんじゃこりゃー。
出雲大社までのほんの数分の道のりなのに、八甲田山の吹雪の中を歩いてるかのよう。
今まで生きてきた人生の中で、こんなにすごい雨と風の中を歩いた経験は、そうない。
実家の母から「これ、持っておいきよ。かさばらないからさ」と持たされたポータブル合羽。こんなダサイの着ないよ、と思っていたのに、さっそく上からすっぽりと着込む。でないとカバンも中身までずぶぬれになってしまうからだ。
鳥居までの道もさることながら、そこから先の境内の砂利道も、一歩ごとに砂利から水がにじみでて来て、ブーツの中はもうびっしょり。一歩踏み出すことに、ブーツの中でも水がびしょびしょいっている。足元からしんしんと冷えきっていくこの感じ、うう、早く温泉に入りたいよう。と早くも弱気。
傘を差していてもほとんど意味がない。
息子だけが、「ぎゃははー、また逆さまになっちゃったー」
「ああ、おちょこね」と母は冷たく流したつもりが
「え?なに?おちょこって言うの?傘が反対になること?おちょこ?なにそれ、おっかし~。ぎゃははは~」と大ウケしている。
「見てママ!おちょこになったらさ、今度は風の方に傘を向ければ自然におちょこが直るよ~。おもしろ~い」
おちょこになった傘が風の力で自然と直る。それくらいすごい風であるのに、子供って、こういう非常事態、たまらなく楽しいんだろうな。
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折りしも出雲大社は平成の大遷宮の工事中とやらで、平成28年まで仮本殿でしか参拝できないことは知っていたけど、さすがに奥の出雲大社の真髄を、たとえシートにかぶされていようと一目は拝むものだと思っていたものの、そんな余裕すらない。
一番手前の仮本殿でお賽銭を入れて手を叩くのがやっと。こんなこと言ったらバチがあたりそうだけど、ああ、よかった、工事中で。とばかりに、巫女さんのいる売店でお守りだけ買って、とっとと大社を後にする。

参堂の小さな蕎麦屋で早めのお昼ご飯。
そして予定していたより一本早い、つまり1時間も早い一畑鉄道で、一気に松江市内に向かうことに。
このルート、出雲市駅まで戻ってJRの特急に乗り換えるより、時間はかかるかもしれないけれど、宍道湖の北を宍道湖沿いに延々と走るローカル線の旅の方がはるかに価値があるに決まっている。
…と思っていたのに、雨風から開放されたとたん、3人とも不覚にも熟睡。車窓からは雄大な雨の宍道湖の眺め、のはず。

約60分後、松江宍道湖温泉駅に到着。
ここからJRの松江駅まタクシーで出て、予約していたレンタカーを借りる。
さあ、いよいよ、今度は松江観光だ!
この時点で時刻は午後1時半。
大体、サンライズエクスプレスで出雲に来る人は、午前中に出雲大社、午後はゆっくり松江観光を楽しんだ後、市内からほんの数分のところにある超有名な温泉街、玉造温泉に泊まるのが一般的なケース。しかし、へそ曲がり家族はまたしても市内から40分ほど山奥に行かねばならぬ秘湯の宿を取ってしまったので、松江観光も早いペースで回らないと!

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まずは松江城。
石段を登ると突然目の前に現れる天守閣は、黒い!黒塗りの下見板で覆われていて、なんともいえず渋くてかっこいい。
城内に靴を履いて上がると、床に足跡がつくほど足がぬれているので申し訳ないが、しばし、びしょぬれブーツが脱げるのが嬉しい。
急な階段を上りながら城内の展示品を見ていく。これといってすごく貴重なものがあるわけではないのだが、息子は、兜の陳列にとにかく目を奪われたらしく、片っ端から写真をとっている。
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さらに進むと三代目藩主、家康の孫でもある松平直政にまつわる資料がいろいろとあって面白くなってきた。中でも直政が慶長19年大阪冬の陣で14歳ながら真田丸に迫った際、敵の武将、真田幸村がその武勇を讃えて扇子を投じたという、その扇子はなかなかの見もの。って、天地人に夢中の私と息子の頭の中では真田幸村は当然城田優になってるからなわけだけど。

松江城からそのまま城内の公園を北に向かって歩いていく。傘をささなくていいほど雨も小雨になってきた。野趣あふれる、でも明らかに計算しつくされた美しさのある石段を下りるとそのまま林の中の散歩道がつづく。深い静寂に包まれていて、小雨の松江もなかなか風情がある。
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このまま散歩道を抜けると、城山公園のちょうど北側に出て、小泉八雲の資料館、旧家、武家屋敷と、一連の見所が集まった場所を効率よく回れるようになっている。

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小泉八雲。
数十年ぶりに聞く名前なのに「=ラフカディオ・ハーン」と反射的に出てくる名前。子供の頃に習ったことほど、大人になっても覚えているものだ。
「なによ、ラフカディオ・ハーンって。だれよ、コイズミヤクモって」
お城に興味はあっても、さすがに小泉八雲資料館は息子にはつまらないらしい。

つづいて隣の、小泉八雲の住んでいた家へ。小さいながら、日本をこよなく愛した八雲の美意識が隅々に生きているような美しい家である。
入口に、小泉八雲の生い立ちを描いた漫画本が売っていた。
「あんたね、今はわからなくても、そのうち学校で小泉八雲を習ったら、小泉八雲の家にいったことある!っていってごらん。すんごい自慢になるから」と無理やり息子に漫画を買い与える。
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さて、この時点で時はすでに4時。武家屋敷も、もうすぐそこだが、松江の下町もゆっくり見たいし、残りは明日の午前中にまた市内まで戻って来よう、ということで、秘湯温泉を目指すことにする。
宿の名は「海潮(うしお)荘」。秘湯の会のスタンプをひとつでも多く集めたい気持ちもあって、島根県で唯一、秘湯の会に名を連ねていたこの宿にしたわけだけど、特にセンスがいいというわけでもない。でもまあ、ひっそりとした山里の一件宿で、お湯が良ければそれでいい、と素直に思える宿である。
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お風呂はちょっと変わったつくりをしていて、内風呂と露天風呂がひとつ湯船でつながっている。要するに、湯船の中にガラス扉があって、それを押し開けて露天に進む。
これがなかなか面白くて、つい、息子と二人きりなのをいいことに、二人で行ったり来たりしておおはしゃぎしてしまう。
「ママ、見て!イスだよ、イス」
お湯に打たれて自然にできたくぼみなのか、あるいは狙いなのか、イスのようにえぐれた石が子供が座るのにちょうどいい。しかし、母の尻には小さすぎて入らなかった…。
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湯船の底の石が緑に光って、美しい。今日一日の冷え切った身体が芯の芯から温まってゆく。

さて、風呂上りの夕食。当然、日本海の海の幸、この時期は早くも蟹が出始める頃か?と期待していたのだが、ちょっと山奥に入っただけだというのに、もろ山料理、牡丹鍋であった…。ま、おいしいけど。
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熱燗を飲んで、ああ、嵐の出雲大社から始まった、なんだかさんざんな一日だったな~と
振り返る。
10月は神無月。名前の由来は日本全国の神様が出雲大社に集まってくるからだそうで、出雲では逆に神在月と呼ぶのだそうな。もちろん陰暦の10月を指すわけだから、一か月以上先の話のはずなのだが、この日は折りしも11月1日。最近の神様は、もしかしたら陽暦で行動していて、今日は全国の神様が、風と雨を吹き荒らしながら一斉に地元に散っていったのではないだろうかと思わずにいられない。
とんだ11月1日だったなあ。…と、ここで初めて夫と目を合わせる。
今日は、そういえば12年目の結婚記念日であった。
嵐の結婚記念日、なにか大きな意味が含まれているような気がするのは私だけだろうか…。
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コメント

12年目のご結婚記念日おめでとうございます。
“嵐の結婚記念日”ではなく“共に嵐を乗り越えた結婚記念日”ですよね?ね?
ritzさん家族って、イタリアにいても日本にいても旅のスタイルが渋いですね。
こちらはそろそろ町がナターレに向かって活気づきだしました。

tsuさま
うまい!座布団二枚!
そうですね。共に嵐を乗り越えた結婚記念日ですね。
(今もなお、乗り越え中だったりしますが…)

毎度、3週間遅れでできごとをブログに記しているという怠惰ぶりでおかずかしい限り。一応、日付だけは、ごまかしておりますが…。

ナターレのイタリア、想像するだけで身体がうずきます。いいなあ~。
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Profilo

ritz

Author:ritz
イタリア家庭料理研究家
本業は広告代理店コピーライター
1999年以来、毎年有給休暇を使い果たす作戦でイタリアへ料理修行。年に1〜2回のペースで子連れでイタリアの農家やマンマの家々を転々としています。
HP→http://www.ristorante-ritz.com
Facebook"マンマの台所Ristorante Ritz"→https://www.facebook.com/ristoranteritz/

著書に「トルテリーニが食べたくて」
日本ソムリエ協会認定ワインアドバイザー
U.M.A.O.オリーブオイル鑑定士
イタリア料理、子育てから、日本の旅、秘湯まで。

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