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そつえんしき

09_3_13sotsuenshiki
 ついにこの日がやってきてしまった。
 5年間、息子がお世話になった保育園の卒園式。

 振り返れば、1歳のときに、それまでの私立のナーサリーから地元の区立保育園に転園して以来、5年間、雨の日も風の日も雪の日も、通い続けた保育園。
 両親ともに働いている子供たちにとって、家にいるときよりも長い長い時間を過ごすのが保育園。うちの息子にいたっては、毎夕、ぎりぎりの時間でかけこむ母のせいで、朝8時半から夜7時すぎまで。彼の6年間の人生のほとんどが保育園そのものだったわけだ。

 大した会社に勤めているわけでもないのに、わが子の大切な乳幼児期の日々のほとんどを、こうして他人に預けていることへの罪悪感で、最初の頃はいっぱいだった。
 でも、終わってみると、保育園の5年間で息子が学んだことの大きさは、計り知れないものがあったことを痛感する。
 親から離れて一日を過ごす子供同士が、日々、喜び悲しみをわかちあい、時には喧嘩しあい、認め合いながら体得したこと。それは保育園に通った彼らたちの一生の財産になるに違いない。
 我が息子が、父にも母にも似ることなく常に前向きで、何よりも一瞬一時を楽しく生きる術に長けているのも、物心つかないうちから保育園に通わせた賜物だと、今では親として胸を張って思えるようになった。

 息子の入園時から、ついに5年間、もちあがりで一人の担任の先生が徹底的に息子たちを見つめてくれていたことも大きい。私と4~5歳しか違わないこのK先生、自分の子供たちのように、いや、もしかしたらそれ以上に、そして実の親である我々以上に、子供たちを大きな大きな愛でもって、ほめちぎったり、叱りまくったりしてくれた。
 子供というのは、大きな愛情には、大きな成長をもってして応えてくれる生き物であることを、親の私はK先生から教わった気がする。

 K先生をはじめとした保育園の先生方のお心のこもった卒園式。
 ここでおじぎをして、ここで返事をして、ここで保育証書を受け取って、ここまで歩いてきてお母さんにそれを渡して…を、きちんと立派にやってのける子供の姿に、早くも目がうるむ母親たち。
 担任のK先生が、ひとりひとりにコメントを読み上げるその声が涙でうっと詰まった瞬間、堰を切ったように母親たちの目から涙がドドーッとあふれ出る。ああ、もう、たまんない。涙がとまんないよぅぅぅ。

 当の子供たちは、これだけいつもと段違いの正装をさせられているというのに、早くもあくびは出るわ、股ひらいて鼻くそほじるわで、感動どは程遠い日常の世界にいるらしいんだけど、そんなことはおかまいなしに、親と先生たちは、感涙にむせぶのであった。

 夜鳴きばかりしていた赤ちゃんが、たった5~6年で、時代劇と忍者とジュリーが大好きで、母とイタリアを転々と旅するような元気いっぱいの子供に成長してしまうなんて、あの頃は想像だにつかなかった。
 保育園の卒園式というのは、親にしてみれば自分と子供とのかかわりを根本から振り返るようで、この先に息子と迎えるであろうどんな卒業式よりも感慨深いものに違いないと、体験してみて初めて実感する。
 息子よ、もう母は、この先の君の人生における卒業と名のつく行事において、こんなに泣くことはないと思うよ。きっと、スネ毛やヒゲなんかが生え始めちゃって、声変わりした声で「うるせえな、ババア」とか言われちゃったりする、そんな息子の卒業式で、ハンカチをびしょびしょに濡らすことは、もう、ないと思うよ。だからこの母の涙を心して見ておきなさい。

 とかなんとか言いながら、中学高校の卒業式でも、泣いちゃったりするのかな、私。
 結婚式でも、号泣したりするのかな。ううむ…、しちゃうかもしんない。


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コメント

masakina

ご卒園おめでとうございます!
あ~、読んでいるだけでも目がウルウルして来ました。
保育園の卒園式って、ご両親と先生達のためのものなのですね。
何はともあれ、Mくんのご卒園おめでとうございます!
これからも、Mくんのことを見守らせて下さいね。

ritz

masakinaさま
ぜひ、これからもMの成長を見届けてやってください。
きっと親の言うことは聞かなくなっても、Masakinaさんの言うことは聞くと思うのです。わき道にそれるようなことがあったり、変なオンナを連れて来たりしたら、どうかビシッと言って聞かせてください。お願いします!
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ritz

広告代理店コピーライター
イタリア家庭料理研究家
HP→http://www.ristorante-ritz.com
著書に「トルテリーニが食べたくて」
日本ソムリエ協会認定ワインアドバイザー
イタリア料理、子育てから、オペラ、日本の旅、秘湯まで。

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