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「最後の一日」 イタリア携帯通信

notizia da italia sul cellulare(12)
20090223112213
最後の一日は幸運にも日曜日。共働きのパオロとアドリアーナ夫妻が、丸一日、私達と過ごしてくれた。

子供たちが高校と中学生になってしまったこの夫婦は、「これくらいのうちが一番いいわあ」とかいいながら毎回こうしてMとすごすのを楽しみにしてくれている。

モデナからアペニン山脈に向かって南下した、小さな小さな村、ヴィニョーラへ。
ここには千年近く前のカステッロがあり、しばらく放置されていたのが、近年手が加えられ、塔のてっぺんまで登れるようになったとか。
だんだん細く急になる階段をよじ登りつめ、最後はゼーゼーいいながら絶景を楽しむ感じは、なんだか日本の城の観光と近いものがある。

1500年代にこの村で生まれたイタリア建築史に欠かせないバロッツィという建築家がいるそうで、彼の名にちなんだ「トルタバロッツィ」というチョコレートの焼菓子が有名なんだとか。

小さな商店街にいかにも由緒ありげなお菓子屋が一件だけあり、ここでしかトルタバロッツィは作っていない。
アドリアーナも
「私も食べたことないのよ。味見してみましょ。なんでもレシピは超企業秘密なんだってよ」と興味津々。
店の女主人もいかにもお高くとまった感じで
「ええ、ええ、そうなんです。うちのレシピは秘密なんざます」とかなんとか言っていたが
小麦粉アレルギーのパオロのために、いつものようにアドリアーナが
「これって、小麦粉入ってます?」と聞くと、
「いいえ、そんな余計なものは入ってるわけないじゃないですか。カカオと卵と砂糖とアマレッティだけですよ」
私が「卵は卵黄だけ?」とツッコミ入れると「いえいえ全卵ですよ」なんて感じで、
なんだ、全然企業秘密じゃないじゃん。

しかしお味の方は、周りはサクサク、中身はねっとりの、確かにピュアで濃厚な味わいで、企業秘密とうたいたくなる気持ち、またそう信じたくなるもわかる。

すっかり遅くなってしまい、ミレーナの家にもどるとすでに夕食は食べるばかりにスタンバイ。
夕餉のあとは私が荷造りしてる間、Mとミレーナはハプニングビデオ番組みながら笑い転げている。これも、日本のいつものうちでの光景とまるで一緒だ。

明日の朝は、パオロも仕事が山積みなのでシャトルバスでボローニャ空港まで行くことにしたら、なんと、カルニバーレに連れていってくれたエリザベッタが空港まで送ってくれるといいだした。会社もわざわざ半休をとってくれたらしい。涙。

今回のイタリアの旅はまるで息子と二人で親戚めぐりしたみたいな、どこにいっても居心地よく、どこまでも甘えさせてもらってばかりの旅。幸せな十日間だった。
ああ、帰りたくないない…。
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ritz

広告代理店コピーライター
イタリア家庭料理研究家
HP→http://www.ristorante-ritz.com
著書に「トルテリーニが食べたくて」
日本ソムリエ協会認定ワインアドバイザー
イタリア料理、子育てから、オペラ、日本の旅、秘湯まで。

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