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後れ馳せながら、謹賀新年

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 ゴ~~~ン。
 紅白が終わって、“ゆく年くる年”の画面になった瞬間に、テレビの中から除夜の鐘。
 と同時に、まるで輪唱のように家のすぐ裏のお不動様で「生」の除夜の鐘がゴ~ンと響く。
 最近ではその隣の別の寺までもが除夜の鐘を始めたものだから、我が家にいると、あっちからこっちから、たてつづけにゴ~ン、ゴ~ン、ゴ~ン。
 こんな都会にいながら、こんな体験ができる場所もそうないだろうと思うものの、風情を通り越してケタタマシイくらい。
 北側の部屋の窓をめいっぱい押し開けてお不動様の山を臨むと、闇夜に浮かぶ鐘突堂。参拝客でざわざわと賑わい始めているらしい。夜空を渡ってくるこの喧騒と、頬を刺す冷たい空気。これが、私にとって子供の頃から変わらない、年越しの匂いだ。

 悠長に温泉なんぞにつかっていたおかげで、今年は、大晦日のたった一日しか正月支度をする時間がなかった。
 お供え餅も、この有様。
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 一夜飾りは縁起が悪いと年寄りの母がうるさいので、温泉に行く前に餅だけ丸裸のままボンと棚の上に置いておいたのだが、忙しい私たちにまとわりつく息子をなんとかさせようと、彼にお供え餅の飾り作りを任命した。はいいが…こんなん、できちゃいました。ついでに言うと、両脇の赤べこも、夏に会津若松に行った際に絵付け体験した私と息子の駄作である。
 日付が変わる直前で、なんと作り終えたおせち料理。2008年も無事に店じまいできたことに胸をなでおろしつつ、2009年の無事を祈って、供え餅に手を合わせる。その指の先は、ひび割れしてガサガサだ。

 正月の支度といったって、私は毎年、ひたすらおせちを作るだけ。それでもこうして手がカサカサになるまで、台所にかかりっきりになる。
 若い頃は、人気の割烹からわざわざ高級おせちを注文していた時期もあったけれど、大して美味しいわけでもない上に結局余ってしまうおせち料理というものに高いお金を出すのもアホらしいことにやっと気づき、子供が生まれてからは、本当に家族に食べてもらえそうなものだけを選んで、すべて自分で手作りすることにしている。
 田作り、栗きんとん、黒豆、鶏団子、お雑煮のためのスープづくり、お煮しめは椎茸、蓮、里芋、牛蒡、人参、こんにゃくと、互いにダシを使いまわしながら別々に仕上げる。

 おせち料理と呼ぶのもおこがましい素朴な内容だけど、これでも結構手間がかかるので、ついテンパって、イライラして…。そのとばっちりがいつも自分に来る夫は、「そんなに大変ならおせちなんかやめればいいのに、オレ興味ないし」と言った、毎年同じ目つきで私をチロリと見るが、正月らしい光景が次々に失われていく昨今、我が家でできるせめてもの正月の風景を子供に受け継いでやりたい。私にはそのことが何より大事な気がして意地でも続けている。

 おせちの中で一番、時間も気もつかうのが黒豆。今年は一晩水に浸しておく時間さえ取れず、どうしたもんかと思ったが、なんとか味がたっぷりしみこんだふっくら大豆が出来上がった。
 息子が大の煮豆好きで、あんなに莫大な量に膨れてしまう黒豆も最近では余らせることがない。というか、最後の汁までも一滴残らず彼が平らげてくれるから、息子のおかげでこちらもやっと、おせち作りに張り合いが出てきたというものだ。
 悪いけど夫には、今後も私のストレス享受係に徹してもらおう。

 2009年、今年もこんな私どもを、どうぞよろしくお願いします。
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ritz

広告代理店コピーライター
イタリア家庭料理研究家
HP→http://www.ristorante-ritz.com
著書に「トルテリーニが食べたくて」
日本ソムリエ協会認定ワインアドバイザー
イタリア料理、子育てから、オペラ、日本の旅、秘湯まで。

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Author:ritz
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