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年忘れ温泉

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 大掃除も年賀状書きも放り出して、日光方面へ一泊。夏以降、実に4ヶ月半ぶりの温泉である。
 何も、こんな暮れの押し迫った時期に行かなくてもと思うが、今年の後半は家族それぞれの立場でいろいろ頑張ったので、我が家の忘年会といったところか。

 まずは、「篤姫」の興奮冷めやらぬ気分で、東照宮へ。
 このクソ忙しいときに来る人、結構いるのね。意外とたくさんの観光客で賑わっている。
 「ほら、ここが江戸幕府を作った人のお墓があるところだよ」などと息子に教えるも、わかってるんだかいないんだか。しかし、外国人の多さに今まで訪れた神社仏閣とは何やら違う“なんかすごそうな感じ”を感じたのか、マイデジカメで撮影に熱中している。
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 子供の目線で撮る写真というのは、オトナが見てみるとなかなか面白い。
 え?こんなのどこにあったの?と聞きたくなるようなものばかり。大人がすっかり失ってしまった純粋な視線を思い知らされる。せっかくなので、息子の写真を4枚ほど、本人の了承を得ないまま、ちょっと紹介。
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 うっすらと雪化粧する境内をずんずん進み、眠り猫の下を通ると、200段の階段を上って家康公が祀られる山の上の奥宮を目指す。白い息を吐きながら、ぜーぜー。はーはー。情けないことに日ごろの運動不足が結構堪える。
 なんでまた、こんな高いところに作るのかね。当時は将軍クラスの人しか参拝は許されなかったらしいけど、お供の人もさぞ大変だったに違いない。なんて言っている気弱者の前に、突然この看板。
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 《人の一生は重きを負て、遠き道をゆくが如し。急ぐべからず》
 深い言葉だ。一国を治め、民の頂に立つ人間の発言というのは、こうでなくちゃいけない。400年前の自国に、今の日本が見習うべきことはたくさんあるではないかっ。

 そして、いよいよ奥宮に到着。
 それにしても戦国時代を治めた武将とはいえ一人の人間のお墓が「神社」になるなんて、と思っていたけれど、しかし鬱蒼とした杉林の中にたたずむ漆黒色のそれは、確かに神々しい雰囲気に包まれていて思わず背筋がピンとなる。江戸時代という、日本の歴史の中で近現代よりも文化の発展と栄華を極めたすばらしい時代を創りあげた将軍なのだから、もしかしたら生まれたときから神だったのかもしれないと、江戸時代好きとしては、思ってしまったりして。
 未来を担う若者も、もっと東照宮に来て万事を悟るべきだ。
 ん?だから日光って修学旅行でよく来るわけ?そういえば自分だって修学旅行で来たはずなのに、奥宮のことなんて、記憶のかけらすら無いではないか。恥。

 奥宮の脇には、願い事がかなうという神木もあり、せっかくなので列に並び、家族それぞれに願い事を唱えてくる。
 息子は何をお願いしたか聞いてみると「立派な忍者になれますように」だとか。
 忍者になる夢はまだまだ続いているらしい。春から小学生になるというのに、相変わらずそんなことを言っていて、学校でいじめられやしないかと心配になるが、反面母としては、忍者なんていまどきいるわけないじゃん、などと言い出す日が来るのが恐くて仕方がないのも事実である。

 さて、東照宮のあとは、本来なら日光江戸村と行きたいところだが、温泉が待っている。ここから江戸村まで目と鼻の先であることを、息子にはひた隠し、今夜の温泉宿を目指す。
 日光を後にして北へ。山道をひたすら進む。
 ふと気づけば、こんなに高いところまで上っていた。まさに一山超える感じだ。
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 途中から雪がつきはじめた山道を慎重に進みながら、約2時間。
 川俣温泉もすぎ、さらに山奥へ進むと、今夜の宿、「平家平温泉こまゆみの里」に到着だ。
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 「秘湯を守る会」のスタンプ帳も、早くも2冊目が満了し、3冊目に突入。今では息子も加わって3人で、守る会に入っている宿をしらみつぶしに泊まり歩いているが、守る会に入っているとはいえ、その内容はまちまちである。
 今回初めての「こまゆみの里」も、全くもってレベルが高い宿でなはなかった。
 女の私は、初めて訪れた宿の第一印象が期待値を大幅に下回った場合、いきなり気持ちがどんよりとなるのだけど、6歳そこそこの息子は温泉宿に清潔さやサービスの充実などを求めるタイプではないらしく、不思議なことに、毎度息子の「いいんじゃない、このお宿。ボク、あと2つくらい泊まりたいな」といった発言に救われることが多い。
 この宿、なぜか女っ気が一切なく、おっさんばかりの「山荘」といった風情で、部屋まで荷物も持ってくれなければ、お茶も入れてくれない、宿の中だって廊下に一歩出れば隙間風で寒くて仕方がない。けれど、息子にそう言われてみれば、なるほど不思議と嫌な感じがひとつもしない。きっと、必要以上に客に 「期待させる」ようなものが一切ないから、こっちも「期待しないですむ」のかもしれない。
 もっといえば、「つまるところ、風呂さえ良ければそれでいい」としなくては、温泉好きの名がすたるではないか。
 ということも、なんとなくいつも息子に教わっているような気がしてならない。というのも、彼が風呂からなかなか出ようとしない、そういう風呂は、大人の私たちも同じく共感できる、いいお湯だったりすることが多いのだ。
 今回の「こまゆみの里」の露天風呂も、例外ではなかった。
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 山の渓流に向かって突き出すように設けてあるこの露天。大きなヒノキの風呂と、丸太をくりぬいた五右衛門風呂のような風呂が二つ並んでいる。風呂から眺める絶景はいわずもがな、まあなんともたっぷりの湯量で、湯舟の外の足元にも、ふくらはぎくらいまでつかる湯が張ってある。わかりやすく言えば、子供用の大きな浅いプールの中に、大きな桶が1つと、小さな桶のプールが設置されているという感じ。これはいい。冷たい石床の上を歩かないで済むから、寒い思いをしないで済む。
 ついでにいうと、女湯の露天のほうは、この「浅瀬システム」が脱衣場から続いていて、その上、浴槽のすぐ横にもこうして脱衣小屋があるから、浴衣の裾だけまくって入ってくれば、ぎりぎりまで裸にならなくて済むのだ。
 ちなみに、この脱囲小屋、男湯の方にはついてないらしい。おっさんだけの宿でも、風呂にだけは、気配りが行き届いているではないか。
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 息子はあっちの湯舟からこっちの湯舟と、まるで猿のように出たり入ったりして楽しんでいる。私が丸太の風呂に入ると、お湯がドドーっと外に溢れ出るのが愉快でたまらないらしい。そうして溢れ出た湯は、足元を温める湯として再利用され、私が大きな浴槽に移動して温まっている数分の間に、丸太の風呂は早くも新しい湯で満たされていく。
 また、ここの温泉は湯の花が極めて多い湯で、息子に至っては、最初
「うわーっ、ママ、すごいよ。足を入れた瞬間、足から垢が出てきた!」と大騒ぎしていたほど。
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 母子貸し切りで、サマーランド状態を堪能しながら、いったい、どれくらい入っていただろう。
 夫はひとりロビーで、ストーブにかじりついて暖をとりながら、漫画がかなり進んだらしい。
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 ここへ到達するまでの川俣温泉あたりの大きな宿は、乗り付ける車や送迎バスで賑わっていたけれど、ここは打って変わって静寂に満ちている。お客も中高年の夫婦、4組ほどしかいない。そりゃそうだ。カップルや家族がわざわざ年末の大事な時間を過ごしに来る宿ではないわな。
 夕食も、4つに仕切った大広間で、それぞれが貸切でゆったりと。
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 特に珍しい料理や豪華なものが出るわけではないけれど、炊き立ての白いご飯と適当なおかずがあればそれでいい。
 何より、子供食が、大抵の宿では仕出し屋から取ったのがバレバレのハンバーグやチキンライスに子供が喜びそうな飾りが施してあったりするプレートのところ、ここでは春巻きに鮭フライにフライドポテトにコロッケという揚げ物オンパレード。このセンスのなさは仕出し屋とは考えにくい。ここの厨房でわざわざ作ってくれたものに違いないと、なんだか逆に、この宿のあったかさを感じてしまったり。
 こんなところでも、息子のおかげで、意外な面から宿の本質を垣間見ることができるのだ。
 山奥の秘湯で、これで一泊1万二千円。むしろレベルは高いというべきかもしれない。

 翌朝、当然、おっさんたちの見送りもないまま「こまゆみの里」を後にし、本当なら真っ先に家に帰って正月支度をするところ、息子のたっての要望で、ちょっとだけスキー場に寄っていくことに。
 たまたま近くに「エーデルワイススキー場」なる小さいけれど充実したスキー場を発見。親子3人でレンタルスキーをし、初心者用ゲレンデを2本だけすべる。
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 去年は股の間に挟んで一緒に滑り降りるのがやっとだったけど、ごくごくゆるーい斜面ではあるものの、こうして息子と手をつないで滑ることができるようになるなんて、ちょっと感動。
 封印したはずのスキー部という過去も、こうして20年ぶりに息子のせいで再び露呈することになったわけだし、つくづく子供の存在っていうのは自分の人生を180度変えてしまうことばかりで侮れない。

 まあ、なんだかんだこの1年も、彼のおかげで、いろんなことを経験する羽目となり、いろんなことを前向きに乗り越えざるを得なかった2008年でありました。
 来年も親子でうんと、成長できますように。
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ritz

広告代理店コピーライター
イタリア家庭料理研究家
HP→http://www.ristorante-ritz.com
著書に「トルテリーニが食べたくて」
日本ソムリエ協会認定ワインアドバイザー
イタリア料理、子育てから、オペラ、日本の旅、秘湯まで。

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