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イタ馬鹿日誌

昼は会社員、夜は母、週末は自宅で料理教室。ristorante-ritz.comのイタリア馬鹿な日々。

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祝6歳。

08_11_21cake
 「まーったく子供が成長するたびに、こっちも歳をとったなーって思うのよね」
 昔、母がよく言っていた言葉が、最近になって身にしみるようになってきた。
 今年もやってきた、息子のMの誕生日。11月21日で、6歳になってしまった。
 一人の人間が、赤ん坊からこうして立派な子供にまで成長した6年という年月の間に、かたや私はといえば、相変わらずイタリア関係の執筆も進んでなければ、会社で偉くなってるわけでもなけりゃ、第二子ができたわけでもない、人間として何一つ進歩してないのに、シワとたるみだけが増している。
子供の誕生日というのは、いつの間にか、自分の誕生日よりもわが身にずっしりとのしかかる、ある意味、意義深いものにもなるものだ。
 
 一方、息子がこの1年で成長したと思うことは、挙げればキリがないほどたくさんある。興味の範疇が広がっただけでなく、ぐっとマニアックになってきたこともその一つだ。
 時代劇好き、忍者好きから始まって、歴史にも興味を持ち始めたり。夏に初めてSLに乗ってからというもの、それまで大して執着もなかった鉄道の世界に急に引き込まれ始めたり。
 毎年誕生日が近づくと、息子はそれとなく(の、つもりなのだろうが、かなり大きな声で)ひとりごとを言い出す。
 「今年の誕生日は、なに買ってもらおっかなー」
 こちらが聞こえないふりをしていると
 「あー、もうすぐクリスマスだしなー、サンタさんにお願いしてもいいなー」
 などと構わず続けながら、欲しいものを口にする。
 今年は「小松帯刀の刀」か、「SL関係」が欲しいんだそうな。
 小松帯刀の刀は、そのレプリカであればネットで売ってることは確かめたが、基本的に飾っておくもので、息子が想像しているようなチャンバラごっこに使えるようなものではない。
 ならば、SLか。しかし、プラレールは幼稚すぎるし…。
 そこで夫と相談し、夏に乗った「SLばんえつ物語号」のNゲージでも買ってやろうか、ということになった。プレゼントの種明かしは当日まで持ち越しだ。

 さて、鉄道とくれば、鉄ちゃん歴50年の例の上司、E男さんに頼らない手はない。
 Nゲージが手ごろに買える専門店を教えてもう。インテリアIMONの二代目が趣味が高じて始めたという鉄道模型専門店がいいらしい。2割引きだし、会員カードを作ればポイントもどんどんたまるとか。それから、「ばんえつ物語号」を作っているメーカー名や、店への在庫確認の仕方などまで、手取り足取り指南してもらう。
 「KATOのシゴナナ180の機関車と、それと一緒に“ばんえつ物語号”の客車も探してるんですけど。はい、12系の7両で新塗装のやつです…」
 今まで口にも耳にもしたこともない単語を、会社のデスクで大声で連発しているあたしゃいったい何者なんだ。
 希望の品は青山の本店にはなく、取り寄せには1週間かかるという。誕生日を明日に控え、猶予はない。ならばNゲージの在庫が豊富という秋葉原店に電話をかけてみる。
 「あっ、そうですか!ありますか!じゃ、取り置きしてもらえます?はい、今日伺います。今すぐ行きます!」
 早々に会社を後にして秋葉原へ。午前中にプレゼンがあり、こんな日に限って私にしては珍しくパリッとした服装、オタクな方々がうようよと彷徨うアキバの路地裏で相当浮きまくりながら、たどり着いたの小汚いビルの一室はといえば…
 一歩入ると、そこは表の喧騒とは別世界。きれいなショールームに懐かしい特急列車やSLたちが美しく並ぶ、夢の鉄道ワールドだ。
 こんなおばさん相手に、不思議がる様子も鬱陶しがる様子もないお店のお兄さんの親切な対応にすべてお任せして、SLばんえつ物語号の客車7両編成と、C57-180の蒸気機関車、そして、最低限の走行が楽しめる線路にコントローラがついたトライアルセットも買ってしまう。
 「あの…、“ばんえつ物語号”のヘッドマークは…」
 「はい、客車の方にもちろん入ってございますよ!」
 ほっ。完璧だ。

 そして21日の誕生日当日。
 保育園のあと、近所の中華料理屋で夫と待ち合わせて夜ご飯。ささやかだけど、ま、いいか。今夜のメインディシュは、Nゲージだしね。
 さて、ここで今回のNゲージ入手をアレンジしてくれた上司のE男さんから、思いも寄らず頂戴してしまった息子へのプレゼントを本人に手渡す
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 なんと、ご自身が昔撮影した、雪の中を走るC57-180号のモノクロ写真ではないか。しかもオール平仮名のお手紙つきだ。
 「うわーっ。すごーい。SLの白い煙が、まるで雪みたいだね!」
 と一丁前にロマンチックなことを言っている。
 これで帰ったらC57-180号のNゲージが待ってるんだから、できすぎたシナリオではないか。まったく6歳になったばかりのガキにはもったいないくらい完璧なお膳立てである。
 いつもの黒酢の酢豚と、エビマヨ、小龍包、チャーハン、焼きそばをおそろしい速さでたいらげて、誕生日ケーキとNゲージが待っている我が家へ足早に帰る。
 階上に住む祖父母の部屋でケーキ・カットしたあと、いよいよ、父と母からNゲージの贈呈だ。
 「うひゃー。やったー。SLだ。あ、しかも“シゴナナ”じゃない?あっ。ばんえつ物語号だ!おっ、夏に乗ったよ、これ。ここの展望車、乗ったよ、ね、ね。うひゃひゃー」
 期待以上のリアクション、母は満足じゃ。アキバまで行った甲斐があるというものよ。
 セッティングはすべて父任せになるわけだが、狭いリビングに散らかったおもちゃと衣類をどどーっと脇に寄せ、小さな空きスペースに丸くレールを組み立てると、慎重に機関車を滑り降ろす。つづいて客車も。
 家族3人、背中を丸めて床に顔をおしつけんばかりの姿勢で、息を呑むように機関車を見つめる。いざ、息子がコントローラーのレバーをゆっくりと上げ、ばんえつ物語号が走り出した瞬間といったら、それはもう、なんともいえず、背中がぞぞーっとなるものだ。
 「うひゃ、うひゃひゃ。すごいよ、本物ソックリだよ!」
 嬉しさのあまり、息子がついつい手を出すたびに機関車も客車も大脱線。そして、そのたびに夫が
 「おいっ、手は出しちゃダメだって言っただろうがっ。線路に乗せるの大変なんだからなっ」
 とかなり本気でむっとしている。
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 その晩、息子が寝た後で、保育園から持ち帰った誕生日カードを広げてみる。
 保育園では、こうして毎年、その子供の誕生日当日に、クラスで誕生日を祝うと同時に、担任の先生からの手作りカードをもらう。カードには先生からのメッセージのほかに、その歳の数だけいろんな質問を先生がして、それに対して子供がどう答えたかを書いてくれることになっていて、これがなかなか面白い。その年ごとの子供の思考や好みを通じて成長を実感する一つの指標にもなる。
 さてさて、今年の「Mくんへの“6つ”の質問」は…?
 好きな色は?→むらさき
 好きな動物は?→こうもり
 好きな給食は?→カレーライス
 好きな遊びは?→忍者ごっこ
 将来の夢は?→忍者
 欲しいものは?→Nゲージ

 え!? Nゲージってコトバも知ってたの!?しかも、親から絶対もらえるとふんでいたわけ!?
 最近の6歳児はなかなかあなどれない。シナリオを描いていたのはむしろ息子の方で、まんまと乗せられていたのは親の方ではないか…。
 子供が賢くなればなるほど、親は愚かになっていくものなのかもしれないな。
 

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ritz

Author:ritz
イタリア家庭料理研究家
本業は広告代理店コピーライター
1999年以来、毎年有給休暇を使い果たす作戦でイタリアへ料理修行。年に1〜2回のペースで子連れでイタリアの農家やマンマの家々を転々としています。
HP→http://www.ristorante-ritz.com
Facebook"マンマの台所Ristorante Ritz"→https://www.facebook.com/ristoranteritz/

著書に「トルテリーニが食べたくて」
日本ソムリエ協会認定ワインアドバイザー
U.M.A.O.オリーブオイル鑑定士
イタリア料理、子育てから、日本の旅、秘湯まで。

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