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イタ馬鹿日誌

昼は会社員、夜は母、週末は自宅で料理教室。ristorante-ritz.comのイタリア馬鹿な日々。

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「鉄」道、一直線.

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 書きそびれていた、この一~二ヶ月間の話をいくつか。
 私の母の用事につきあって、平日だというのに息子とともに小田原へ日帰り。いや、日帰りというより、3時前に出て夜には帰ってくるんだから、ただロマンスカーに乗りに行くようなものだ。
 しかし、それでよいのだ。それがよいのだ。息子的には。

 一番前の座席が展望スペースにすらなっていない、超古くさいタイプの薄茶色の車両EXE。
 「え~? …ロマンスカーVSEに乗りたかったのに…」
 そりゃあそうだ。一度は乗ってみたいよね、VSEに。というかVSEに乗らないと意味ないよね。というわけで、翌週、再び祖母の用事にくっついていくことにする。
 今度は新宿発2時40分のVSEを、しかと予約。一番前の展望席はすでに売り切れていると聞いて、ならばそれに劣らぬ席をと「サルーンシート」なるものを奮発して購入してしまった。コンパートメント式シートを4人分の特急券を支払って貸し切るというものだ。

 全部で3室しかないこのサルーンシート、「お飲み物などいかがですか?」と、一頃のロマンスカーのように、お姉さんがわざわざ席まで注文を取りにきたり、オリジナルのおしゃれなグラスカップでコーヒーを運んできてくれるVIP扱い。
 普通のシートに座っていたら素通りの車掌さんも真っ先にやってきた。さすがにサルーンシートとなると乗車券をチェックしないわけにはいかないということか。
 と思いきや、40歳そこそこの小太りの車掌さんは、席に来るなり
 「こんにちは~。ご乗車ありがとうございます」
 小さな、でもとても優しい口調で息子に話しかける。そして、
 「よかったらお写真撮りますよ~」
 あ、じゃあせっかくなので、お願いします。とカメラを渡そうとすると
 「あ、ちょっと待ってくださいね」
 と言ったまま、おもむろに自分の車掌帽を脱ぎ、内側をハンカチでせっせとふいている。な、なにが始まるんだろと思いきや、その帽子を息子の頭にちょこんと載せるのだ。
 「えーと、それから、ボク、これ持ってくれるかな」
 息子に手渡したのは、手書きで書かれた乗車記念プレート。息子の写真を1枚撮ると
 「ではお母さん、おばあちゃまも、こちら側へご一緒に」
 私と母も一緒に、と促す。
 物静かな口調なんだけど、なんだか完全に車掌さんに仕切られている。
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 そして最後に
 「はい、これはぬりえです。おウチに帰ったら、ぬってくださいね~」
 と一枚の紙を息子に渡して去っていった。
 これ…さ、私が書いた方がうまくない?みたいな絵には、もしかして誰か子供が書いたのかな?みたいな字で「ぼく。わたしの小田急ロマンスカー。VSE50000形」と書かれている。
 車掌さんの手描きの塗り絵としか思えない。ついでに言うと、さっき写真を撮ってくれるときに息子に持たせた「乗車記念」のプレートも、そういえば手書きだった。
 VSEに乗務するそれぞれの車掌さんが、こうした独自の企画を車内で展開しているのかもしれない。
お金もかかってない手作りのサービスだけど、なんだか微笑ましくて、あったかくて、とんぼ帰りのロマンスカーの旅に、ちょっとしたトキメキを与えてくれる。
 ふと外の景色に目を向けると、都会の面影はいつの間にか消えて、緑が広がってきた。田んぼの脇に、民家の庭先に、群れをなして咲いている真っ赤な彼岸花。
 日常に忙殺されていると、つい見失いがちだった季節の訪れ。とんぼ返りのロマンスカーの車窓から、しみじみ感じた秋景色だった。


 さて、すっかり鉄道好いてしまった息子のために、次の日曜は噂の「鉄道博物館」へ行ってきた。
 あいかわらずの混雑ぶりは覚悟の上、しかし10月半ばから「開館一周年記念イベント」が始まると、さらに混雑するに違いないと読んで決行。
 「大宮かあ。ばんえつ物語号のC57が蘇った工場があるところだよね」
 などと知った口を利きながら、盛り上がる息子。
 覚悟していたほどの人ではなかったけれど、予約が必要な各運転シミュレーションや体験モノはすべて受付終了。
 ま、いずれにしても未就学児向けのものではないので、じっくり館内を回るとしよう。
 まずは「日本食堂」で腹ごしらえ。
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 新幹線の器に入ったお子様ランチ。な、なつかしい~。
 「ねえママ。これは…、持って帰っちゃいけないの?」
 えー、それってもっと小さな子供が欲しがるんじゃないのお?と息子をたしなめつつ、ううむ、確かに欲しいよなと思う母。
 そういえば、子供の頃読んだサザエさんの漫画本で、カツオが新幹線の器を家に持って帰ろうと、ぺろぺろなめてきれいにしたというシーンがあったなあ。

 腹ごしらえをしたあと、いよいよ館内を回り始める。
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 子供が憧れる鉄道、その登竜門はどんな子供だってまずは新幹線なのでは?と思うのだが、不思議なことに、お子様ランチの器以外、新幹線にはあんまり興味がないらしい。
 息子が足を止めるものとえば、初期のSLや昭和を代表する特急列車など。
 日本発の蒸気機関車1号車の模型の前で写生を始めたり、特急「とき」や寝台特急「あさかぜ」の車両になぜか興味を示したり、南武線などを走っていた往年のチョコレート色の車両の、ちょっともりあがったシートに座ってみては「すごいね、これ、かっこいいね」などと言ったりしている。
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 ジオラマコーナーに並び、学習コーナーもくまなく周り、SLのしくみ、信号のしくみなど、親子ともども学びながら館内を制覇していると、あっという間に3時間経ってしまう。
 日も傾いて、人もまばらになったところで、退館する前に運転シミュレーションをやって帰ることにする。
 すぐに順番がまわってきそうなのは山手線に新幹線。さすがにこの二者の選択だったら新幹線でしょう、というわけで、新幹線の運転シミュレーションに挑戦。
 一人5分前後の持ち時間、目の前のスクリーンに実際の運転席からの映像が流れる臨場感は、さぞ面白いに違いないと思ったのだけど、
 「新幹線って、壁ばっかりで、景色が見えなくってつまらない」といった表情。
 挙句は「停電のため、緊急停車します」で息子の持ち時間は終了し次の人にバトンタッチとなった。
 やっぱり新幹線には向いてないらしい。

 充実した3時間、おまけにほとんど立ちっぱなしだったせいか、親子ともどもぐったり。大宮から飛び乗った湘南新宿ライン、思わずグリーン車へ。
 鉄道旅行気分を最後まで味わいながら、次回来るときは頑張って早起きして、中学生以上が対象のSL運転シミュレーションを息子に内緒で真っ先に予約を入れようと、密かに誓う私であった。





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ritz

Author:ritz
イタリア家庭料理研究家
本業は広告代理店コピーライター
1999年以来、毎年有給休暇を使い果たす作戦でイタリアへ料理修行。年に1〜2回のペースで子連れでイタリアの農家やマンマの家々を転々としています。
HP→http://www.ristorante-ritz.com
Facebook"マンマの台所Ristorante Ritz"→https://www.facebook.com/ristoranteritz/

著書に「トルテリーニが食べたくて」
日本ソムリエ協会認定ワインアドバイザー
U.M.A.O.オリーブオイル鑑定士
イタリア料理、子育てから、日本の旅、秘湯まで。

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