FC2ブログ

オリンピック効果

(1)
 もともと、セリエAやアッズーリ以外、スポーツ選手にはまったく興味がない。だからオリンピックも特に関心がないはずだった。
 けれど、こう毎日、ニュースもそこそこに五輪情報しかやっていないと、昼飯どきも、打ち合わせの合間の雑談も、サラリーマンは自ずとオリンピックの話題になるものだ。
 子供の世界でも一緒らしい。
 北島康介が100メートル平泳ぎで金を取って以来、保育園での話題はオリンピックで持ちきり。200の方はどうかねとか、柔道は女子ばっかりだね、なんて感じらしい。なんだか早くも、おっさんくさいなあ。

 「ママ大変!ほいくえんに忘れ物しちゃった!」
 急いで保育園に取りに引き返らされた、その忘れ物とは、なにやら書かれた数枚の紙切れ。よく見ると、「ほしのじゃパン」とか「きたじまこーすけ」とか書いてある。その上には、5個の丸印が。五輪マークか?
 園庭のピーマンの鉢植えの陰におちていた、干からびたピーマンを利用して、先生が芋版ならぬ、ピーマン版を作ってくれたとか。それを使って、各自が五輪応援旗を作ったのだとか。

 「ほしのじゃパン」の方は、息子の応援もむなしく、先行き不安な予選リーグだが、「きたじまこーすけ」の方は、世間の期待にこたえて二冠達成。翌日の保育園では、午前中のプールの時間、大いに盛り上がったらしい。
 その晩、迎えに行くと、担任のK先生が頬を紅潮させながら私に言う。
 「マ、ママっ。Mちゃん、すごいですっ。今日、急に顔つけて、そんでもって足をバタバタさせ始めて、な、なんと、ほんの1メートルくらいですけど、泳いだんですよっ」
 またまた、先生ったら、そんな大げさなー。
 「本当ですよっ。いやあ、保育園のプール生活の中で、Mちゃんがクラスで一番成長しました!」
 ってことは、Mが一番水泳が上手っていう…?!
 「い、いや、そうではないんですけど…。Mちゃんの場合、今まで顔に水が撥ねただけでもすっごい不機嫌になってましたから…」
 そうだね、そうだね、そりゃそうだ。顔を自分で洗えるようになったのもつい最近のうちの子が、一番水泳が上手なんて、有り得ない話だ。つまり、やっと底辺に追いついたというところだろう。それでも、うちの家系において、男は水が大の苦手という遺伝子を見事に克服してくれたのは十分賞賛に値する。
  「ママ、Mね、すごいんだよ!今日ね、プールで潜れたんだよ。しかもバタバタしてみたら前に進んだの」
 っていうか、それって「浮いてた」ってことだよ。すごいねえ。えらいねえ。と息子をめちゃくちゃ誉めてみると、嬉しそうに目をキラキラさせている。
 以来、毎日お風呂に湯を張り、「北島康介推薦マーク」のついたジュニア水中めがねをつけて、風呂の中に潜っては北島康介の真似。ぴょこんとお尻を水面に突き出して、ばしゃばしゃとひたすらもがいている。平泳ぎのつもりなのに、なぜか息継ぎはクロール式なのも笑える。プハーと横っちょに出す顔がカワウソみたいなのも、すごく笑える。
 いつまで続くか知れないが、ここ5日間ほどの「将来の夢」は「水泳の選手になってオリンピックに出ること」だとか。
 「じゃあ、Mちゃんがオリンピックに出たら、『才能を最初に見出したのは、この人です』って、先生のこと紹介してね!」などと、担任のK先生と盛り上がっているようだ。
 水泳選手かあ。まあ、息子が最も苦手な分野を克服する勇気を与えたくれたという意味では、とりあず北島康介には感謝すべきであろう。

 …でも、スポーツ選手の母になるんだったら、ママは、おナルな北島康介よりも、やっぱり体操の内村航平くんがいいかな。
 飄々としながらも、ビリ同然から21人も抜いて2位まで上がっていく感じがいいよね。いつもニコニコしてて、メダルを決めても、間違っても「ウオ~ッ」なんて獣みたいな喜び方をまったくしないところが、すごくいいよね。
 勝負に集中するためだか、なんだか知らないけど、飛び込む直前までヘッドホンつけて音楽聴いてるより、競技の直前までゲームをピコピコやってるほうが、なんかカッコイイよね。うん。やっぱ航平くんだわ。
 だいたいさあ、記録残すスポーツ選手になるほど、いつも同じ音楽聴かないと走れないとか、朝はいつも同じ時間に同じ味のカレーを食べないと打てないとかって言うけどさ、それって本当に強靭な精神力と言えるわけ?神経質なだけじゃないの?

 ん?おかしいなあ。スポーツ選手には興味なかったはずなんだけど。なんだかんだ、好きなのかなあ、私。
 スポーツ選手の母になったらなったで、結構舞い上がっちゃったりするのかもしれない。
スポンサーサイト



コメント

非公開コメント

ritz

広告代理店コピーライター
イタリア家庭料理研究家
HP→http://www.ristorante-ritz.com
著書に「トルテリーニが食べたくて」
日本ソムリエ協会認定ワインアドバイザー
イタリア料理、子育てから、オペラ、日本の旅、秘湯まで。

Profilo

ritz

Author:ritz
広告代理店コピーライター
イタリア家庭料理研究家
HP→http://www.ristorante-ritz.com
著書に「トルテリーニが食べたくて」
日本ソムリエ協会認定ワインアドバイザー
イタリア料理、子育てから、オペラ、日本の旅、秘湯まで。

Calendario

01 | 2020/02 | 03
- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29

月別アーカイブ

FC2カウンター

ブロとも申請フォーム