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16年ぶりの、おままごと。

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 息子がキャンプに行ってみたいと言い出した。
 ここ十年の私しか知らない人ならば、いくら愛する息子にせがまれたとしても、私がキャンプなど、するわけがないと思うだろう。
 しかし、何を隠そう、15~6年前のアウトドアブームに乗じてバーベキューやキャンプにハマった時期がある。北海道をテント持参で旅したこともある。まだ20代だった当時は、あの「ままごと」感がなんとも言えず楽しかったのだ。
 ところが、結婚すると毎日が「ままごと」。何もわざわざ外で「ままごと」しなくたって、とすっかり冷めてしまい、キャンプ道具は地下室のホコリをかぶったまま、早くも十年以上が過ぎた。
 「○○くんちはキャンプに行ったんだって…Mもやってみたいな、キャンプ…いいなあ…」 
 息子にそう言われ、思わず口がすべる。
 「何言ってるのっ!ママもパパも、キャンプの道具、ぜーんぶ持ってるのよ。テントもタープも寝袋も、ストーブもツーバーナーも、みんな地下室にあるんだからっ」
 これはもう、行く!と断言してしまったようなものである。

 私たちにとっては16年ぶりの、そして息子にとっての生まれて初めてのキャンプ。行き先は、長野県は小諸の近く、キャンプ場ガイドに載っていた、オープンして一年と経たない「あさまの森キャンプ場」。
 途中、関越が渋滞したり、友人夫妻の別荘を見学させてもらったりしていたら、すっかり遅くなってしまった。御代田のスーパーで買出しをし、標高千メートルを越えるキャンプ場に到着したのはすでに4時を回っていた。
 深い山の中に、忽然と現れるキャンプ場。山林の傾斜をそのまま利用しながら作られた20近くものサイトは、自然の中に見事に溶け込んでいる。
 この日の利用者は私たちを入れてたったの3組。まるでありのままの山林にテントをはるようで、ますます野趣あふれる光景だ。
 建物は、トイレやシャワー室、炊事コーナーが設備されたサニタリー棟と、バンガローが2つ、そしてログハウスの管理棟のみ。その管理棟も、実はキャンプ場のオーナーご家族の自宅になっている。
 「夫の趣味に私も娘も付き合わされる羽目になって…。埼玉から引っ越して来たんですよー。まったくねー」
 きれいな奥様が対応してくれる。ご主人は、16年ぶりの「初心者同然キャンパー」にも、何か足りないものがあったら声かけてくださいと気を使ってくださる。小学校高学年と思しきお嬢さんは、つかまえたカブトムシをうちの息子にあげるといって、カブトムシゼリーとともにテントまで持ってきてくれる。なんだか、家族経営の旅館にでも泊まりにきたかのような安堵感がある。

 さて、それじゃさっそく設営…、と、とりかかったところで、やばし…、ゴロゴロと雷が。日は差しているというのに、容赦なく雨が降り始めた。
 ええええー、天気予報は晴れだったのにいいい。
 すでに完璧に設営したタープやテントの中で、余裕で雨をしのぐ他の家族づれを見るにつけ、思わず涙が出そうになる。いや、ここで弱音を吐いちゃいかん。息子の手前、ぐっとこらえて余裕を装う私と夫。
 願いが通じ、夕闇に包まれる中、夫の努力によりようやく設営完了。私の料理の下ごしらえもなんとか整い、いざ、ディナータイム。
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 その昔、アウトドア料理にもえらく凝っていたものだけど、いったいどんな料理を作っていたか全く思い出せない。とりあえず、炭火の上で、はんごう、タレに漬け込んだ豚肉の網焼き、白身魚のホイル包みを調理。ツーバーナーでは鶏肉と野菜のカレー風味煮込みを作る。うん、久々にしては、まあまあかな。
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 食後は夏らしく花火。絵日記の見本にしたくなるような夏休みの過ごし方もたまには悪くない。それにしても、息子ははしゃぐばっかりで、なんも役に立たなかったなあ。
 水を汲んでくるよう鍋を持たせて炊事棟に行かせりゃ、帰りは手ぶらで戻ってくるし、傘持ってママについておいでと、後を歩かせてトイレに行くも、ふとふりかえると手ぶらで雨にぬれてるし…。
 挙句、あれだけ楽しみにしていたくせに、いざテントに入れば「明かりは絶対消さないで」としくしく泣き出す始末。
 電気つけっぱなしだと、夜中にクマさんが入ってきちゃうよ、それでもいいの?
 などとワケわからない脅しがいまだに通用するのが幸い、やっとのことで言い聞かせ、明かりを消して真っ暗闇に。数十秒としないうちに、スヤスヤ寝息を立て始めた。
 息子はそのまま朝までぐーっすり。かたや夫と私は、腰が痛くて痛くて、ほとんど眠れずぐーったり。若い頃はこんなことなかったのにな。
 次回に課題をたくさん残す、十数年ぶりのキャンプであった。

 とはいえ、なんだかんだ、不覚にも楽しかったなあ。子供がいると、ままごと遊びもまた楽しい。
 そうそう、フライパンがすっかりサビついていたから、キャンプ用をまた新調しなくては。炊事棟が遠い場合のために、飲み水用の大きなポリも必要だな。さすがに割り箸じゃ、アウトドアの精神に反するだろう。カトラリーも一式ね。それからそれから…。
 やばい、またハマりそうな予感。
 こんなアクティブな私は、会社では絶対内緒にしなくっちゃ。
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ritz

広告代理店コピーライター
イタリア家庭料理研究家
HP→http://www.ristorante-ritz.com
著書に「トルテリーニが食べたくて」
日本ソムリエ協会認定ワインアドバイザー
イタリア料理、子育てから、オペラ、日本の旅、秘湯まで。

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