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チャイルドシートにうずくまり「気持ち悪い…」と言い続ける息子のMを、なんとかだましだまし寝かしつけ、フィレンツエからアペニン山脈の丘陵地帯をぐんぐん北上。ボローニャの南に位置する山の一件宿を目指す。
山道とはいえ、一面に色とりどりの花が咲き乱れ、黄金の麦穂たなびく丘、丘、丘がひたすら見渡せる景色に、思わず息を呑む。後ろにも前にもクルマは一台もなし。Mの体調さえこんなじゃなかったら、たぶん、大声でヤッホーとでも叫んでいたと思う。
フィレンツェを出発してからおよそ2時間半後、家族で農場と宿を経営しているアグリトゥーリズモに到着。去年の夏に初めて訪れてから、一年経たないうちの再会に、宿の主人、ジュリアーノはとても喜んでくれる。さっそく、Mの手を引いて、鹿に餌やり。
乾燥させたトウモロコシを、ガリガリとすごい音をたてて食べている。中でも、身重のメス鹿の食欲はすさまじい。
Mの顔色も、少しずつよくなってきた。吐き気も腹痛もおさまってきたらしい。おいしい山の空気は、何よりの良薬なのだろう。ああ、親もやっと一安心。やっぱりイタリアは田舎の方が性に合う。
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この晩は、ボローニャ市内に住むカペッリ家の面々が訪ねてきてくれて、宿で一緒に食事。このカペッリ家、実は明日の晩に私たちの方が泊まらせてもらい行くというのに、明日の晩はこちらが別の知人宅に招待されていて一緒に夕食がとれないからと、わざわざこうして訪ねてきてくれたのだ。
もともとは、カペッリ家のお母さん、マリアが私の料理の先生だったことがおつきあいの始まり。その後息子さんが、日本人女性T子さんと結婚してからは、ますます親しく、こうして一家ぐるみでお付き合いさせていただいている。孫のロレンツォ啓介くんも、もう1歳。
すでによーく知ってる顔に囲まれたおかげで、ようやくMにも笑顔が戻ってきた。
翌日は、宿を発った後、その足でボローニャへ。今までの一週間と一転して、日がさすと夏のように暑い。さすがボローニャだ。約束のお昼に市内のカペッリ家へ到着すると、早くも食指をそそる、いい匂いが出迎えてくれる。
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料理の先生、マリアの料理には、すべての料理において一つも妥協がない。すみずみまで周到に計算しつくされている味わいは、いつ食べても、何を食べても目からうろこの発見ばかり。
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今日はカボチャのスフォルマティーノのチーズソースがけに、うずらの丸焼きサフランピラフ添え、そして最後に出てきたのは、なななんと、私が先々週の自分の誕生日に食べ損ねた「丸いケーキ」ではないかっ。Tanti Auguriの唄まで歌ってもらい、恐縮の極み。周りはサクサク、中はねっとりのこのケーキ、チョコの生地は焼いてすぐに冷蔵庫で冷やし、わざとぺったんこに圧縮させることで、この食感が実現するのだとか。マリアの料理はまるで数式の世界だ。
MはT子さんから卵とじうどんを作ってもらい、2日ぶりに、ほぼ完食。マリアの夫、カルロからは、おもちゃの虫観察用顕微鏡のプレゼント。今の彼のマイブームにどんぴしゃなうえに、明日から訪れるウンブリアの山奥で大活躍しそうな予感。カルロのセレクトにも、思わず感服。
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夜は、もう10年来のつきあいになる、ボローニャでのもう一組の私のお父さんとお母さん、ジョルジオとジリオーラの家へ。
共働きだから、平日の夜に人が来るなんて迷惑だろうに、いつもこうして、心のこもった手料理で私たちをもてなしてくれる夫妻。
おしゃべりに花が咲き、気がつけばもう11時半。Mもすっかりいつもの「猿人」に完全復活しているではないか。ああ、大事に至らなくて本当によかった。やっぱり、わが心の故郷、ボローニャは、あったかい。一気にチカラが抜けて、じんわり目頭が熱くなってきてしまう。
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さあ、明日からは、これまた毎年しつこく通っているウンブリアへ。さあ、どんな昆虫に、いやいや料理に、出会えるだろうか。
- 2008/06/11(水) 02:28:22|
- イタリア料理修行(Viaggio)
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